丹沢湖における流入河川のワカサギ産卵

掲載日:2017年8月1日

ワカサギの飼育管理

初期飼育

 当場では初期飼育および親魚養成に関する研究を行っています。
  • 初期飼育では、50t水槽(写真左下)や8t水槽を用い、収容密度は1から1.5万尾/tとします。
  • 用水は0.65%人工海水で、淡水クロレラを75万から100万cells/mlになるよう添加します。
  • 孵化前日に卵を水槽に収容しますが(写真右下)ワカサギは孵化直後に摂餌を開始するため、同時にワムシも投与しておきます。
  • 孵化後30日以内では被甲長140μm以下のワムシに高い摂餌選択性を示すので、S型のシオミズツボワムシを高密度培養して給餌するようにしています。
  • 飼育水中のワムシ密度が、孵化0-5日目で3個体/ml、6-10日目で6個体/ml、11-20日目で9個体/ml、21日目以降は12個体/mlになるよう、毎日給餌してやります。ただし、孵化後10日目までは、魚の摂餌よりも水槽内で増殖するワムシ数のほうが卓越することが多いので、無給餌の日もあります。
  • ワムシは40日目まで与えます。これまでの飼育例では、孵化後100日前後で平均体重0.20-0.26g、生残率は22.9-38.6%という成績が得られています。なお、ワムシ給餌終了後にはトビ(他の個体より極端に大きく成長した個体のこと)が出現しやすく共食いが始まるので、これ以前の生残率はもっと高いものと思われます。
  • これ以降は、より大きな野外水槽へ移収して、飼育を継続します。
50t水槽50トン水槽 8t水槽 8トン水槽

親魚養成

 
  • 孵化後100日目以降の稚魚は、野外にある500tのコンクリート水槽に移収して飼育を継続します。
  • 地下水の掛け流しですが、水槽容量が大きいので夏場には水温が上昇しやすくなります。これを防ぐために、寒冷紗で作製した遮光枠を水面に浮かべています。また同時に、アオミドロやアミミドロなどの藻類の大量繁殖を防ぐ役割もあります。
  • 以前は魚の収容前に、施肥によりミジンコを増やしておきましたが、数日で食べ尽くしてしまうので今は行っていません。
  • 餌はアユ育成用の配合飼料を与えます。日間給餌量は体重の2-3%で、朝と夕方の2回に分けて自動給餌します(写真右下)。
  • ただし、ワカサギはアユほど摂餌が活発ではないので、時間をかけて少量ずつ与えます。
  • 成熟が進んでくる12月から翌年1月過ぎからは、餌食いが低下するので給餌量を減らしてゆきます。
  • 野外水槽に移収した後の生残率は70-75%ほどです。1年で平均全長11cm-13cm、体重9から15gほどに成長します。
  • ワカサギの抱卵数は体重の約1,000倍数ですので、1尾のメスから9,000-15,000粒の卵を採ることが出来ます。
  • また、大きいものは体重が30gを超える個体も見られます。
500t水槽  遮光板  自動給餌機
500トン水槽 遮光枠を並べる 自動給餌機で配合飼料をまきます

初期飼育放流の実例

 一般的にワカサギの増殖では、孵化放流という手法が用いられます。陸上施設において孵化させた仔魚をそのまま放流するか、卵を湖面や流入河川で管理して、仔魚がそのまま泳ぎ出すというものです。 しかし、ワカサギは孵化後数日の間に餌を食わなければ、その後の生残は見込めないとされています。したがって、孵化放流では湖内における初期生残が、放流時の餌料環境などに大きく左右されると考えられます。この対策として、初期飼育して成長させた稚魚を放流する方法があり、これまでに粗放的飼育・放流の試みが数例あります。
 当場では、より確実に餌付けすることが可能な集約的飼育を、(財)山北町環境整備公社と共同で試みることにしました。
 2003年4月に丹沢湖畔にある90tコンクリート水槽で孵化仔魚の飼育を開始しました。飼育水槽や給餌方法は、前述の初期飼育研究で得られた知見を応用しています。
その結果、約1ヶ月間の飼育で体長15mmほどに成長した稚魚を約100万尾放流することができました。
 ワカサギの初期飼育は決して困難ではありません。今後は、湖内生残率の向上が飼育コストに見合うか否かを、放流後の調査で評価する必要があるでしょう。

飼育水槽by丹沢湖 ワムシ培養槽 夜間作業
飼育に使用した水槽 水槽脇でワムシの連続培養・自動給餌を行う 夜間、集魚灯に集まった稚魚を取り上げ
飼育水槽by丹沢湖 ワムシ給餌作業 ふ化仔魚
寒冷紗で遮光を施した 高密度培養したワムシをふ化したワカサギに給餌   計数した後に放流。
神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター内水面試験場 です。

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