孵化器によるアユ卵の孵化管理の簡略化

掲載日:2017年8月1日

孵化器によるアユ卵の孵化管理の簡略化

内水面試験場 業績発表会

【目的】

 これまで一般的に、種苗生産施設等におけるアユ卵の孵化管理は、受精卵を着卵基質に付着させて管理する方法が行われている。しかし、この方法は卵の付着作業、収容作業など、多大な労力が必要となる。また、水生菌対策のための受精卵の消毒は、毎日、卵管理池全体に実施するため、消毒に要する薬剤が多く必要となる。環境負荷の軽減を実践するためにも、薬剤の使用量を低減させることが望まれる。そこで、アユ卵を用いて着卵基質による卵管理方法と円筒型孵化器による方法について、受精から孵化までの作業量および水生菌対策のため卵消毒に用いる薬剤使用量等を比較した。また、円筒型孵化器によるアユの孵化管理方法についても併せて検討した。

【方法】


着卵基質による卵管理方法
 採卵供試魚は当場で継代飼育しているアユ(継代数27)を用い、2005年9月7日より1から4日おきに採卵した。着卵基質(以下、「魚巣」とする。)1本当たり受精卵4から6万粒を付着させ、卵管理池(円形水槽7.5t、2面)に収容した。卵の消毒は受精後7日まで毎日実施した。

円筒型孵化器による卵管理方法
 採卵供試魚は、当場で継代飼育しているアユ(継代数28)を用い、2006年9月4日より前年同様に採卵作業を行った。受精卵は、井水をかけ流した水槽で約3時間管理した後、20%陶土懸濁液による不粘着処理を実施した。その後水洗し、採卵日ごとに円筒型孵化器へ収容した。卵の消毒は受精後7日まで毎日実施した。

円筒型孵化器による孵化飼育方法
 神奈川県内水面種苗生産施設において2006年に円筒型孵化器を導入したので、第1回目取り上げ時(孵化後約60日目)の生残尾数について、魚巣による方法(2003から2005年)と円筒型孵化器による方法(2006年)で比較した。

【結果】


 魚巣による卵管理方法に比べ、円筒型孵化器法を用いる方法は受精卵の高密度管理や、水生菌の抑制が可能となり、省スペース化、用水の節減が図れ、採卵、受精卵の収容作業ならびに水生菌対策の受精卵の消毒作業などが削減できた。
 神奈川県内水面種苗生産施設の生残尾数は2003から2005年の魚巣で孵化管理した結果が240から297万尾(生残率36.4から45.0%)であったのに対し、孵化器で孵化させた2006年は415万尾(同62.9%)となり直近の4年間で最も多かった。このことから、量産規模において高い孵化率が得られることが推察され、安定した生産結果を得るには孵化器による方法が有効であると思われた。

相川英明

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター内水面試験場 です。

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