アユ冷水病経口ワクチンの量産化の検討

掲載日:2017年8月1日
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アユ冷水病経口ワクチンの量産化の検討

内水面試験場 業績発表会

【目的】

アユ冷水病の予防対策として、ワクチンの開発が進められている。経口ワクチン は、投与が簡便で養殖業者からの期待が大きいが、胃の消化作用でワクチンが変性して効果が低いとされた。しかし、消化作用を受けないマイクロカプセルを用いた経口 ワクチンの基礎研究において、予防効果が認められたことから、平成17年度から(独)水産総合研究センター養殖研究所、滋賀県、広島県および神奈川県が協力して実用化 研究が開始された。そこで、マイクロカプセルワクチンの量産化について検討したので報告する。

【方法】

基礎研究で作製したマイクロカプセルワクチン(基礎型MC)およびスケールアップ 等により量産したマイクロカプセルワクチン(量産型MC)について1工程あたりの作製量、MC1g当たりの作製コストおよび性状を比較検討した。また、1gのアユ1000尾 に投与する時の1尾当たりのワクチン投与コストを次式により試算した。1尾当たりのワクチン投与コスト(円)=(MC1g当たりの作製コスト(円)×20)/1000 基礎型MCの作製方法は次のとおり。

1.油相液(0.1%乳化剤含有の流動ハ°ラフィン)100mL を300rpmで攪拌しながら注射針26G1/2を用いて水相液(冷水病原因菌 Flavobacteriumpsychrophilumのホルマリン不活化菌液109CFU/mL)10mLを油相へ約1分間かけて注入

2.5分間以上攪拌後膜液(酢酸フタル酸セルロース40g+アセトン 400mL+フタル酸酢酸ジエチル12g+エタノ-ル40mL)10mLを約30秒間で注入

3.直後に硬化剤(クロロホルム)50mLを添加し3分攪拌

4.4500rpm1分間遠心分離で油相とMC を分離

5.MCペレットを人工胃液で2回洗浄

6.MCペレットを濾紙の上でほぐし冷蔵庫 に入れて24時間乾燥して完成。

 量産型MCの製作方法は次のとおり。

1.油相液500から 1500mLを950rpmで攪拌しながら注射針26G1/2を用いて水相液100mLを油相へ約15分 間かけて注入

2.5分間以上攪拌後膜液100から150mLを約30秒間で注入

3.直後に硬化剤 500mLを添加し3分攪拌。以後は基礎型MCの製作方法と同様。

【結果】

 基礎型MCの1工程あたりの作製量は1.3g、このMC1gあたりの作製コストは209円で、1gのアユ1000尾に投与する時の1尾当たりのワクチン投与コストは4.2円であった。

水相、油相、膜液及び硬化剤の用量を10倍にスケールアップした量産型MCは作製可能であることが確認されたが、若干MC同士の凝集が認められた。

このため、油相及び水相の用量を変えて更に検討した結果、油相1500mL及び膜液120mLの条件で作 製したときに凝集がほとんどない良好な性状のMCが得られた。

このとき、1工程あたりの作製量は19.4gで基礎型MCの約15倍、このMC1gあたりの作製コストは161円で基 礎型MCの約8割、1gのアユ1000尾に投与する時の1尾当たりのワクチン投与コストは3.2円であった。

原日出夫・相川英明・山本裕康

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター内水面試験場 です。

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