更新日:2023年3月8日

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焚き火、テント、バーベキューについて

焚き火、テント、バーベキューについて

丹沢は、そのほとんどの区域が「丹沢大山国定公園」または「県立丹沢大山自然公園」に指定されています。日本において、自然公園区域内の土地は、個人で所有している方がたくさんいらっしゃいます。

名称が「国立公園」や「国定公園」であるため、誤解されやすいですが、国や県や市町村(これらをまとめて「公共団体」と呼びます。)が実際に所有しているのはそのうち一部であり、それらの一部の土地についても、国有林や県有林といった木を育てるための土地で、そのほとんどが公園にするために持っている土地ではありません。

アメリカのように、国立公園に指定されている土地をすべて所有している国もあります。日本でも、街中にある児童公園や運動公園は、公共団体の土地であったり、公共団体が持ち主から借りていることが多いですが、日本の自然公園は、土地の所有者が好意的に開放してくれているケースが圧倒的に多いです。

自分の土地であれば、本来は何を作っても良いし、どのように利用しても良いはずです。でも、皆が欲しいままに自分の土地を利用したら、美しい景観が台無しになってしまうかも知れません。

そのために、法律や条例で土地の所有者であっても自由に利用できないように制限がかけられていますが、そのような土地が「国立公園」や「国定公園」、あるいは「県立自然公園」と呼ばれており、これらをまとめて「自然公園」といいます。

したがって、自然公園の中で何かをしようとする場合、基本的にその土地の所有者が良いと言ってくれるかどうかという点と、自分のしようとしていることが法令によって制限されていないかを考える必要があります。

また、他の利用者の迷惑にならないかという視点も重要です。

一般社会と同様、自然公園内でも自分だけが好き勝手なことをできる訳ではありません。

以上を踏まえ、自然公園区域内で次のような行為が認められるのかを説明しますが、個別の説明に入る前に、法律や条例による制限の基本を説明いたします。

「自然公園法」では、国立公園や国定公園の中で特に保護しなければならないと考えられる場所については、特に利用を厳しく制限しています。

最も規制の厳しい場所を「特別保護地区」と呼び、丹沢などでは山頂の稜線近くにこうした指定がかけられています。これ以外の場所を「特別地域」と呼び、規制の厳しい順に「第1種特別地域」「第2種特別地域」「第3種特別地域」と段階的にエリアが定められており、一般的には山裾側に近いほど規制が緩やかになっています。

「神奈川県自然公園条例」でも県立自然公園を二つに分けて捉えています。

一定の行為をするときに役所の許可が必要な地域を「特別地域」、役所への届出が必要な地域を「普通地域」と呼びます。

焚き火は禁止されているのか

焚き火は、基本的には土地の所有者であれば禁止することができます。自分の土地に、無断で火をつけられるのを喜ぶ人は多くないでしょう。

特に山の中では、枯葉や枯枝など火のまわりやすいものが沢山あり、人の目につかない場所も多々あります。また、いったん火が燃え広がれば、被害は自分の土地だけでなく他人の土地にまで及びます。

そのため、土地所有者が焚き火を禁止している例はありますし、消防署や山を利用する人たちがお互いの迷惑にならないよう、山の中で焚き火をするのはやめましょうと呼びかけています。

自然公園法では、特別保護地区内で「火入れ又は焚き火をすること」は、学術研究など公益性がある場合等、特殊な場合以外はしてはならないこととされています。

一方、特別地域では法律上の規制はありません。しかし、前述のように山中での焚き火は山火事の危険があり、土地所有者が禁止している箇所もありますので、土地の管理者がそばに居てきちんと管理されている場所でない限り、止めておいた方が良いと思われます。

テントを設置してもよいのか

テントも基本的に、土地所有者がそこに張っても良いと認めていることが前提となります。

ただし、土地所有者が良いと認めても、特別保護地区や第1種特別地域の場合、原則的として設置は認められません。

第2種、第3種特別地域や自然公園の特別地域であれば、土地所有者の同意と自然公園法の許可を得ることでテントの設置が認められます。

こうした手続きを怠って設置した場合、立ち退きを求められても文句は言えません。

一方、河川敷などにテントが張られていることがあります。

河川は自由使用(国民全体の土地だから特定の所有者に排除されない)という考え方が歴史的にあるため、気楽に使われる傾向があります。

しかし、実際には誰もが使用してよい範囲は水が流れている部分だけで、河川敷部分には所有者が居る例もよくあるため、注意が必要です。

また、所有者の同意が必要なくとも、土地に定着させると「工作物」とみなされるため、自然公園法の許可は必要になります。

ただ、所有者の同意を得る必要がない場所で、自然公園法の許可を得ても、河川敷が危険であることには変わりありません。したがって、安全面から考えると、テントを設置するのは止めた方が良いと思われます。「自分は危ない場所であることを承知しているんだ!」と主張して申請をされた場合、自然公園法では許可を出さざるを得ませんが、他の人に迷惑をかける可能性もあるため、できる限り避けるようお薦めします。

バーベキューセット持ち込んで食事をしてもよいのか

まず、バーベキューセットを持ち込んでよい場所かどうかの確認が必要です。テントと同じく、キャンプ場のような土地の管理者がそのために用意した場所であればまず問題ありません。

テントと異なり、バーベキューセットの場合、地面に固定するわけではなく、容易に持ち運びできるため、「工作物」には当たらず自然公園法の許可申請を必要としません。

しかし、焚き火と同様、きちんと火の始末をしないと、火事を起こしたりして、本来は無関係な多くの人に迷惑をかける場合があるため、持ち込む際は利用中も利用後も責任をもってしっかり管理してくださるようお願いします。

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