神奈川県水産技術センター メルマガ301

掲載日:2014年1月23日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.301 2009-06-26

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.301 2009-06-26
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□研究員コラム

○クモの網、漁業の網           (資源環境部 加藤 充宏)

○アユの成熟      (内水面試験場 原 日出夫)

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○クモの網、漁業の網

 毎日海で活躍している漁業者の皆さんは様々な漁法で魚を獲っていますが、その多くは糸や網でできた漁具を使っています。一方、人類が道具を使い始める前から、糸や網を使って獲物を捕らえている生き物といえば・・・そう、クモですね。今日は、クモの網と漁具の相違点について、私なりにちょっと考えてみました。

 まず漁業で使う網ですが、使用方法により大きく2タイプに分かれます。ひとつは「まき網」や「地びき網」、「タモ網」等のように、船や人の力で網を動かして能動的に魚を捕らえるもの。もうひとつは「刺し網」や「定置網」等のように魚道に網を仕掛け、通りかかる魚を受動的に捕らえるものです。

 一方、クモの網はどうでしょうか? 実はクモの場合、網を引っ張ったり振り回したりして能動的に獲物を捕らえるものはあまりおらず、ほとんどは虫の通りそうなところに網を張り、虫が引っかかるのを待つ受動型なのです。

 ただし例外もあります。ムツトゲイセキグモというクモ(日本のクモですが発見例が少なく、私はまだ見たことがありません)は、先にネバネバした球のついた糸を振り回し、飛んでくるオスのガを捕らえます。なぜ「オス」なのかというと、このクモは捕食の際にメスのガのフェロモンに似た匂いを出すからです。これなどは漁業に例えると、コマセを撒いて魚を集める「コマセ釣り」に近いのかもしれません。

 また世界の熱帯域に広く分布するメダマグモの仲間(写真1)は、脚の間に四角いレース状の網を構え、近くに虫が通るとその網をかぶせて捕らえます。このクモは英語で「ネット・キャスティング・スパイダー(網を投げるクモ)」と呼ばれますが、実際の行動を観察すると手から網を離す「投網」というより、川などで手に持って使う「サデ網」に近い印象を受けます。

 さらに獲物を釣り上げるクモもいます。それは物置や縁の下などで普通に見られるオオヒメグモというクモ(写真2)で、網から何本もの糸を地面に向けて張りめぐらせます。この糸は地面に近い部分にやはりネバネバした部分があり、そのすぐ下側が切れやすくなっています。通りかかった虫がネバネバに触れると糸は地面からたやすく離れ、文字通り「宙吊り」になってしまうのです。このクモはなかなかの釣師で、時にはトカゲなどの大物を釣り上げることもあります。

 クモの網と漁業の網、一見まったくの別物ですが、意外と似ているところもあるようです。暇なときにクモの行動を観察していれば、新しい漁法を思いつくかも?

 (クモの網、漁業の網)

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○アユの成熟

 アユは、夏至を過ぎ日が短くなると、成熟が始まります。見た目には直ちに大きな変化は出ません。しかし、体内では生殖腺が徐々に発達し、秋になる頃にはオスなら精巣に、メスなら卵巣になります。その頃には外見も変化してきます。

 オスは、体表がザラつき、体色が黒っぽくなり「サビアユ」と呼ばれます。メスは、腹部が膨らんできます。この他、尻鰭の形に違いが出てきます。性成熟前は、「く」の字の切れ込みがある全てメス型の尻鰭(写真1)です。しかし、成熟したオスはオス型の尻鰭(写真2)になります。

 メス型に較べて「く」の字の切れ込みが不明瞭となっています。養殖技術の一つに、日没後一定時間飼育池を電照して、アユの成熟を遅らせる技術があります。成熟に伴う変化を延期させ、若いアユの姿や味を維持するための工夫です。アユにおいても若さを維持するためには努力が必要なのです。

(アユの成熟)

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