神奈川県水産技術センターコラムno.2

掲載日:2017年4月7日

神奈川県水産技術センターコラム  2号    2017年4月7日号

□ 研究員コラム

1 昭和20年代の漁業許可証 (企画資源部 石井洋)

2 よもやま話 19 (相模湾試験場 村上哲士)

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1 昭和20年代の漁業許可証 (企画資源部 石井洋)

 現在、神奈川県が発行している漁業許可証は、神奈川県海面漁業調整規則で定められた様式でA4縦の用紙に印刷されたものであり、漁業許可証といえば紙に印刷されたものだと思っていました。ある時、いつもお邪魔している生麦子安漁業連合組合の組合長と昔の漁業について話しているときに、昔の許可証は木片に刻印したものだったと伺いました。
 後日見せてもらったところ、表面?は「神奈川県漁業許可證(証の旧字)」と刻印されています(写真1)。裏面は許可内容などが刻印及び手書きされていました(写真2)。許可内容は、漁業名称「・・網漁業」、漁獲物種類「・・えび・・」、漁業期間「1月1日から12月31日」、許可期間「昭和24年・・・昭和29年・・・」などと書かれています。
 昭和20年後半、小学生だった組合長は、おじいさんの三平丸に乗って子安浜から東京湾に出漁し、いくつもの桁網を船べりから出し帆の力で桁網を曳くのを見ていたそうです。そのことから漁業名称には打瀬網漁業※と書かれていたと思われます。アナゴ、ワタリガニ、クルマエビ、シャコや貝類がたくさん獲れ、小学校から帰ってくると水揚げされた魚介類の加工などの作業を手伝わされたと、懐かしく語ってくれました。
 子安浜には、150隻くらいの打瀬網漁船がいたそうですので、当時の先輩職員は、大量の許可証を刻印のうえ手書きして、切り替えのたびに大変だったろうなと感心しました。昭和30年代の漁業許可証も見せてもらいましたが、紙に印刷されたものに変わっていました。
 おじいさんが操業していた打瀬網漁業は、エンジンによる曳き網が導入されて東京湾から姿を消しました。今、組合長は、筒に餌を入れてアナゴを漁獲するあなご筒漁業を操業し、おじいさんと同様に江戸前のおいしいアナゴを水揚げしています。

 打瀬網漁業:風力又は潮力によって底曳網を引き回して行う漁業をいう。(図1)

写真1:漁業許可証 表面(縦10.5cm、横7.5cm、厚さ8mm)
写真1 漁業許可証 表面(縦10.5cm、横7.5cm、厚さ8mm)

写真2:漁業許可証 裏面
写真2 漁業許可証 裏面

図1:打瀬網漁法 (出展元:香川の漁具漁法 打瀬網)
図1 打瀬網漁法 (出展元:香川の漁具漁法 打瀬網)

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2 よもやま話 19 (相模湾試験場 村上哲士)

 小田原に在ります相模湾試験場に移って2年目となりました。
 当初は訳もわからずがむしゃらにやっていた仕事も1年過ぎると何となく理解が進み、この時期にはこの仕事というのもわかってきました。
 ただ仕事に追われるのは変わらないような、能力が低いだけか・・・。
 平成28年度は、従来の仕事を見直して新しい仕事を立ち上げました。俗に言うスクラップアンドビルドですね。
 この新しい仕事の中に「漁業へのロボット技術の導入」というものがあります。
 漁業の現場にロボット技術を持ち込み、省力化や安全性の向上を図るという仕事ですが、福祉の現場などでは既にいろいろな技術が投入されていますが、漁業の現場ではまだまだです。
 平成28年度は、定置網漁具の保守管理等への対応としてROV(遠隔操作水中カメラロボット)、作業の省力化・軽労化ということでパワーアシストスーツなどの開発や導入の試験を行っています。
 パワーアシストスーツについては、合羽の下に着るには邪魔になるとか錆びへの対処など、陸上の物をそのまま利用とはいかないようです。
 ROVについては、当場でも既に定置網や漁場の調査で使用しており、現在使用している物はニ代目で、もう10年を超えています。さすがに最近は調子が悪くなることも多くなり、これを書いている今も修理中で留守です。
 神奈川県では「さがみロボット産業特区」を展開しており、当場もそれに関わらせてもらい、いろいろなメーカーさんと意見交換などの場がもてました。
 その中で、水中ドローン(この会社ではそう呼んでいます。)を開発している会社と連携することになり、この3月の初めにその会社の試作ドローンの実証試験を行いました。
 当場のROVと違いバッテリー内蔵なので、コントロール用のケーブルは操作関係と映像用の通信のみとなり、さらに光ファイバーの直径2.3mmです。因みに当場の物は動力も入っていますので直径20mm、それなりに太く、水中では抵抗にもなります。
 今回試験をした水中ドローンは推進力も強く、多少の流れでも問題なく定位できましたし、水深350mまで潜航しました。
 この性能で価格は低めに抑えたいとのことでしたから、早く市販されないかなーと思った次第です。
 ドローンについては水中用だけでなく飛行用も含め、いろいろな調査やその他の用途への使用について検討・実用化し、作業の安全性の向上などに貢献できるよう試験・連携を実施していく予定です。

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発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
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