神奈川県水産技術センター メルマガ506

掲載日:2017年2月3日

【メルマガ最終号】神奈川県水産技術センターメールマガジン  506号    2017年2月3日号

□ 研究員コラム

1 マレーシアでエイ焼きを!!(企画資源部 臼井一茂)

2 東京湾でトラフグ繁殖中!?(栽培推進部  古川 大)

----------------------------------------------------------------

1 マレーシアでエイ焼きを!!(企画資源部 臼井一茂)

 以前お世話になった職場の先輩、退職したら温かいところでゴルフ三昧との夢を叶えたとのことで、その様子を伺いにマレーシアのクアラルンプールに行ってきました。こちらの気温は27から33℃、さすが赤道そばで熱帯雨林の気候、常夏のお国なのですが、風がさわやかで、蒸し暑さは余り感じなくて以外に過ごしやすいですね。
 早速、観光よりも市場かスーパーとお願いして、市内で最も品揃えが多いという大型スーパーに。ひろーい売場のさらに奥に、綺麗に砕氷の上に並べられている鮮魚。日本の魚とは少し形や色彩などが違いましたが、マナガツオ、シロギス、高級魚のハタやクロダイ、見たこと無いフエダイの仲間やカラフルなブダイの仲間、イカ類も色々いますねぇ。
 ソウダカツオも無造作においてあるし、話題のスマも並んでた。それからいいサイズのサンマが手頃な値段であったし、淡水魚の大きなコクレンやアオウオ、ライギョは活かして置いてありました。それから、貝類とエビ類は種類が豊富。水槽やタライに活かしてあり、横にいたおばちゃんなんか、可憐なエビをむんずと掴んで、怒濤の現地語で値段交渉!!風圧じゃなく迫力でとばされちゃうよ。
 そんな鮮魚や活魚の横に必ずあったのが、大きな魚の頭。ぶつ切りされて残った頭なんですが、これが結構いいお値段。聞くと蒸し魚やカレーなどに使うとのこと。冷凍品でも、サーモンやハタなどの大きな魚の頭も売られてたし、さらには3枚におろしたアラの部分の中骨や削いだ小骨付の腹の部分なども売られてましたよ。そして小さなエイは丸のまま、大きなエイはヒレの部分と胴体部分はぶつ切りにされて売られてました。
 これを見ると、「魚食」を誇っている日本。しかし、魚がおろせないとか、上手く料理できないとかよく聞きますが、そもそも魚の頭などタイの兜煮とか、ブリ大根などあるけど、アラをもっと上手に、色々な魚ももっと上手に利用しなきゃいけないよって。せっかくの魚食国家、小魚も怪魚も骨まで愛さなきゃ。
 ここ、マレーシアでは、近年、ファミレスの献立にもなり一般的になったナシゴレンやラクサ、専門店が進出している海南チキンライス、ピーナッツソースがかかる串焼きのサテなどがメジャーですが、今回の目的はずばり、「エイのイカンバカ-ル(魚の焼き物)」です。
 一般道がある時間からは歩行者天国になり、どこからともなくテーブルが道まで用意されて屋台天国状態に。さっそく席に案内され、このサテが美味しいとか、野菜も食べなさいとか。色々と勧められた後に、ありました!エイの焼き物。これをちょーだいって、写真付きのメニューを見せながら手を振って待っていると、なにやら分かった分かったという感じの声がして、しばし待つことに。その間にラムのサテーや空心菜の野菜炒め、名物という味付け手羽先をいただいていると、来ましたよ。直径30センチほどの小さなエイのヒレ片側が炙られて出てきました。
 見た目はスルメイカのポンポン焼き、表皮の紫色がよく似ていますよ。そしてぷっくりふくらんだ皮の焼き痕もそっくり。まずはちぎって香りを確認、あれれ、アンモニア臭は全くないね。そうしたら店員さんが、添えてあるライムみたいな柑橘を絞れって。はいはいと。
 では早速一口。軟骨がそのままの形で身が綺麗にほぐれて食べられる。もちろん、軟骨もコリコリとして食べられる。ブリカマの骨の中にある部分のように、ふっくらと柔らかく、細やかな繊維感と上品な食感が似ている。そして、味わいはさっぱり系のヒラメかカレイに近いかな。添えてある赤っぽいタレ、説明が分からなかったけど、ご当地のサンバルソースにニンニクとエビのような風味が加わって、ほんのり甘酸っぱい感じ。このさらっとしたソースに付けてまた一口!!なかなかに味わい深いねえ。これがご当地料理、エイのイカンバカールなんだね。ただ焼いただけだと言っているけど、保存法かな?とにかく血抜き処理が上手なんだよね。東京湾で獲れるホシガレイに肉質が似ている感じ。一度、同じく焼き物料理にしてみるかな?今度試そう。

写真1:エイのイカンバカール
写真1 エイのイカンバカール

写真2:身をほぐした様子
写真2 身をほぐした様子

----------------------------------------------------------------

2 東京湾でトラフグ繁殖中!?(栽培推進部  古川 大)

 高級魚の代名詞『トラフグ』が、神奈川ブランドの水産物として食卓に並ぶ日が来るかも知れません!
 『日本の高級魚は何ですか?』と聞かれたときに、みなさんはどんな魚介類を思い浮かべますか?寒い時期が旬のクエや縁起物のイセエビ、独特な食感と風味が魅力的なアワビなど、三者三様に様々な答えが出てくると思います。しかし、多くの人が思い浮かべる日本の高級魚といえばやはり『フグ』でしょう。ちょっとリッチなお正月を過ごした人の中には、まだ味わいを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。食用となるフグ類は複数ありますが、その中でも最も美味で高価とされるのが今回取り上げる『トラフグ』です。このトラフグが、東京湾で繁殖している可能性が出てきました。
 事の起こりは2016年の4月、東京湾口で釣りをしていた遊漁船がトラフグを大量に釣ったとの情報が入ってきたことでした。トラフグの産地といえば山口県下関が有名で、神奈川県沿岸でもトラフグは獲られてはいたもののその漁獲量は多くはなく、まとまった量のトラフグが釣れたというのは珍しい現象でした。特にこのトラフグ爆釣で気になったのは釣獲量が多いこともありましたが、漁業者の方から聞き取った「釣ったトラフグを持ち上げたら、大量の精子が垂れてきた」との言葉でした。「トラフグ成魚が垂れるほどの精子を蓄えていたのなら、もしかして東京湾に繁殖に来た親トラフグだったのでは…?」と考えたのです。これまでに神奈川県沿岸で獲れていたトラフグは、伊勢湾・三河湾で繁殖したものが神奈川県沿岸に来遊して漁獲されたと考えられており、東京湾にトラフグの産卵場が存在するとの報告は今までにありませんでした。
 そしてその情報に続いて、2016年10月には葛西臨海水族園が野外生物調査においてトラフグの稚魚を採取したとの情報が入ってきました。早速水産技術センターのトラフグ担当職員らで葛西臨海水族園にうかがって、採れた稚魚の標本を確認させていただくと、採られた稚魚は確かにトラフグであること、そしてさらに興味深いことに、神奈川県では毎年トラフグの稚魚を放流しているのですが、採られた稚魚は放流されているトラフグ稚魚よりも明らかに小さく若いことがわかりました。このことは、葛西で採られた稚魚が神奈川で放流された稚魚ではなく自然界で生まれた稚魚であるかもしれないことを意味しており、東京湾のどこかにトラフグの産卵場が形成されている可能性がだんだんと現実味を帯びてきています。
 現在水産技術センターでは、「葛西で採られた稚魚は本当に天然で産まれた稚魚なのか?」、「神奈川で放流した稚魚は繁殖に加わっているのか?」、そして「東京湾にトラフグの産卵場が形成されているのか?」を調べるために調査を進めています。もう何年かしたら、東京湾生まれ東京湾育ちの江戸前トラフグが食べられる日がくるかもしれませんよ! 
 神奈川でのトラフグ稚魚の放流についても少し触れておきます。神奈川沿岸では2004年から漁業者によってトラフグ稚魚の放流が始まり、そしてそれに呼応するかのようにトラフグの漁獲量も上がりました。それまでは神奈川沿岸でのトラフグ水揚げはほとんどなかったことから、放流による漁獲量の増加が実感され、稚魚放流への関心は高まっていきました。そして2006年度からは神奈川県水産技術センターおよび神奈川県栽培漁業協会によるトラフグ稚魚の放流効果調査が始まり、現在は水産技術センターで放流効果調査に続けて取り組んでいるほか、放流用のトラフグ稚魚の生産技術開発も行っています。生産技術開発では実際にトラフグの受精卵を当センターに運び込んで稚魚を育てながら技術開発に取り組むため、トラフグの産卵シーズンである4月頃から稚魚が放流可能な状態まで成長する7月頃まではトラフグの稚魚が元気にセンターの水槽を泳いでいます。なかなか見る機会のないトラフグの赤ちゃん、興味のある方はぜひセンターの見学にいらしてください。

写真1:放流用のトラフグ稚魚
写真1  放流用のトラフグ稚魚

----------------------------------------------------------------

 【重要なお知らせ】
 日ごろよりご愛読いただきましてありがとうございます。
 これまでメールマガジンにより情報をお届けしてきましたが、県庁の情報システムの変更にともない、平成29年3月からメールマガジンの配信ができなくなる予定です。 
 メールマガジンによる配信は今回が最後となりますが、平成29年3月以降はこちらのページ(http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/)で「水産技術センターコラム」として情報発信は引き続き行ってまいりますので、これからもご愛読よろしくお願いします。

 ■ご意見やお問い合わせは水産技術センター への問合せフォームからお願いいたします。

発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。