コーヒー粕の農業利用

掲載日:2003年12月1日

 食品リサイクル法施行に伴い、厨芥生ごみや食品工場廃棄物の有効利用法の開発が求められています。

そのなかから、コーヒー粕の農業利用について、当所で検討したとりくみを紹介します。


はじめに

コーヒー粕って何?

 コーヒー粕は、清涼飲料製造工場で毎年多量に発生する有機性廃棄物で、ご家庭などでコーヒーを淹れた後の残渣と物理的には同じ物です。

 粉砕方法によって粒径は異なりますが、数mm以下程度であり、取り扱い性は良いと言えます。含水率が65以上と高いため、焼却処分には適しません。

 ほぼ99%が有機物で、その多くが炭素成分であり、窒素2%、リン酸0.2%、カリ0.3%程度を含有します。


コーヒー粕の特徴

 コーヒー粕の粒子は、炭のような多孔質の形態をしており、いったん乾燥させてから使用すると、水分や悪臭物質を急速にトラップします。

堆肥化時に他の資材と混ぜて使用すると、他の資材から発生する水分や悪臭物質を取り込んで、堆肥全体の性状を良好に保つという傾向があります。


コーヒー粕の問題点

 コーヒー粕は若干の窒素を含んでいますが、この窒素は微生物によって分解されにくいという特徴があります。

従って、工場から搬入したコーヒー粕を、多量にそのまま施用すると、逆に土壌中の窒素成分が減少して植物が肥料不足になる(窒素飢餓)という現象がみられます。

 また、コーヒー粕は、発芽阻害物質を含んでいるようです。


 施用前に充分な堆肥化を行うことにより、これらの問題は解消されます。




当所における研究事例

コーヒー粕の作物生育阻害要因についての知見

 野菜類17種類と花卉類10種類について、コーヒー粕施用の影響を調べたところ、作物によって生育抑制の傾向が大きく異なることがわかりました。

 さらに、コーヒー粕の窒素成分のほとんどが難溶性分画に含まれており、植物に利用されにくいこと、原料であるコーヒー豆や、その焙煎物は生育阻害を示さないこと、堆肥化に伴う微生物反応により発芽阻害要因を軽減できること、などを明らかにしました。


参考文献;神奈川県農業総合研究所報告 第138号(1998)pp31-40


キノコ栽培培地としての用途開発とその廃培地の農業利用

 森林総合研究所との共同で、コーヒー粕をキノコの栽培培地として利用し、その廃培地を有機質資材として利用する、コーヒー粕リサイクルシステムについて検討しました。

 その結果、供試した食用キノコ15種24菌株のほとんどについて、コーヒー粕100%の培地で生育可能であることがわかりましたが、慣行のおがくず主体の培地に比べて生育は劣りました。

 3種類のキノコについて培地組成を検討したところ、エリンギィの培地としてコーヒー粕に米糠と廃培地を容量比で1:1:1で混合した培地で実用化が可能と思われました。

 堆肥としての利用について検討した結果、コマツナ栽培について、コーヒー粕含有キノコ廃培地は、それを堆肥化することによって有用な資材として利用できることがわかりました。


参考文献;神奈川県農業総合研究所報告 第139号(1999)pp13-19


野菜屑堆肥化への利用(1)スイカを堆肥化する。

 産地では出荷できない屑スイカの処理方法の開発が望まれています。

 スイカは含水率が極めて高く、糖度も高いため、放置すると有機酸やアルコール類が発生して、嫌気性の腐敗を起こします。

 また堆肥化に際しては、積み込み前に破砕して、空気に触れさせる必要がありますが、果肉の崩壊に伴って、急激に水分が発生し、副資材を選択しないと吸水速度が間に合わないといったことが起こります。

 天日で乾燥したコーヒー粕と、乾燥させたコーン茎葉を副資材として用いると、スイカ由来の水分を吸着して資材の酸性化を防ぎ、堆肥化を良好に推移させることができることがわかりました。

 こうして作成された堆肥は栽培に有益に使用できますが、堆肥化に際して、発酵槽が必要であることなどの課題が残されています。


関係記事;野菜収穫残さの堆肥化試験について(2000年05月)

参考文献;堆肥化による屑スイカの農業利用技術の開発,神奈川県農業総合研究所研究報告 141号 pp15-22 (2001-3)


野菜屑堆肥化への利用(2)ダイコンを堆肥化する。

 産地では、出荷できないダイコンの適正処理について研究要望があります。

 しかし、ダイコンは極めて含水率が高く、容易に堆肥化できません。

 そこでダイコンの堆肥化条件について検討したところ、コーヒー粕を混合することが有効であり、発酵槽を使わない自然堆積でも発酵が可能なことがわかりました。

 しかし、この方法では、現物重量比で野菜屑の1.5倍以上、乾物重量比で野菜屑の10倍以上のコーヒー粕を混合する必要があります。また、61日間発酵したものでは、コマツナ栽培試験結果、コーヒー粕に由来する生育障害がみられました。この障害回避には、さらに長期間の二次発酵が必要です。


オカラを堆肥化する

 オカラは伝統的な食品であり、飼料としても有効活用されていますが、全量は消費されておらず、一部は廃棄処分されています。

 オカラは窒素成分を多く持っていますが、分解に伴い水分や悪臭が発生しやすく、単品では堆肥化は困難です。そこで、コーヒー粕を副資材として、オカラの堆肥化を検討し、良好な堆肥が作成できることを明らかにしました。


関係記事;おからとコーヒー粕を混合した堆肥の作り方(1997年08月)

参考文献;未利用資源の農業利用に関する研究(3)-おから・コーヒー粕混合による堆肥製造-神奈川県農業総合研究所研究報告 137号 p. 43-50 (1996-12)

神奈川県

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