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更新日:2023年6月29日

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熱水土壌消毒法について

熱を利用して病害虫を死滅させる「熱水土壌消毒法」が注目されるようになってきています。今回は生産現場で実際に利用されている熱水土壌消毒法について解説したいと思います。

経済性を最優先する現代の集約的な農業生産では、同一作物を連作することは避けられない現実です。しかし、連作をすれば土壌病害虫が発生しやすくなり、土壌消毒をしないと経済栽培できなくなってしまいます。一般的には、その対策としてクロルピクリンやダゾメット等の土壌施用農薬が利用されていますが、環境への負荷が懸念されています。そこで、熱を利用して病害虫を死滅させる「熱水土壌消毒法」が注目されるようになってきています。今回は生産現場で実際に利用されている熱水土壌消毒法について解説したいと思います。

 

熱水土壌消毒法は、旧農業研究センターと旧神奈川県園芸試験場で1980年代はじめにそれぞれ独立して開発された我が国のオリジナル技術です。その原理は言うまでもなく、熱水が持つ湿熱によって土壌病害虫を死滅させるという極めて単純なものです。熱水土壌消毒装置の基本的なシステムは、ボイラー、送湯チューブ及び熱水散布装置からなります(図1)。ボイラーについては、通常型の他に軽トラックに積載可能(350kg未満)でありながら大熱容量を有するパルスジェットエンジンを利用したタイプも開発されています。熱水の散布システムとしては、旧神奈川園試で開発した熱水散布装置をウインチでけん引する平坦地、大規模施設向きの「けん引方式」(図1A)と旧農研センターで開発した耐熱性のチューブを用いて熱水を散布する傾斜地向きの「チューブ方式」(図1B)の二つがあります。けん引方式では、ボイラー、熱水散布装置及びこれをけん引するウインチを組み合わせ、熱水散布装置をけん引しながら熱水を土壌表面に散布します。チューブ方式では、耐熱性のチューブを用いて熱水を処理しますので、いずれも熱水処理中ずっと付き添っている必要はありません。熱水処理量は、根張りの深いトマトやバラなどでは1平方メートルあたり200~300L、根張りの浅いホウレンソウなどの軟弱野菜類では150L程度で十分です。処理する熱水の量とボイラーの能力によりますが、施設の形状をうまく考慮して作業すれば3~4日で10aを処理できます。

熱水土壌処理装置のシステム構成

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