古文書所在調査

掲載日:2011年3月15日

公文書館の仕事の一つに歴史資料の所在調査があります。公文書館というと国・県・市町村が行政をおこなうために扱っている書類だけを対象に仕事をしている施設と思われがちですが、そうではありません。

国立公文書館が、徳川幕府から受け継いだ文書等を管理する内閣文庫を持っていることは知られていますが、国内各地にある公文書館・文書館の多くにも、地域の歩みを伝える歴史資料が集められ、大切に保存されています。

当館でも、神奈川県史を編集したときに収集した原資料および写真撮影資料、さらに当館が設立されてから新たに受入れた寄贈・寄託の古文書・私文書など、古代から現代に至る膨大な資料が保存され、利用に供されています。

江戸時代に名主や組頭などの村役人をつとめた家の文書には、今日の土地台帳に当たる検地帳、徴税令書である年貢割付状、その受領書としての年貢皆済目録、町・村勢要覧に当たる村明細帳、村の財政を示す村入用帳、戸籍謄本台帳である宗門人別改帳、人の移動証明通知に当たる人別送り手形など、今日の市町村役場における行政遂行のための文書と同じ役割を持つものが残されています。

先人たちの生活や足跡を知ろうとするとき、その手がかりを示してくれるのがこのような歴史資料となるわけです。これら歴史を紐解く紙に書かれた前近代の資料を一般的に「古文書(こもんじょ)」と呼んでいますが、近年、こうした「古文書」は急速に散逸していく傾向にあります。資料の劣化(カビや虫による損傷)や都市化の波によって保管場所を失った「古文書」が単なる紙屑として処分されていくケースも少なくありません。

当館では県内に残された古文書等、歴史資料の散逸防止を目的にして、歴史資料の所在確認調査を実施しています。この調査は、歴史的公文書・古文書等を県民の共有財産として永く後世に伝えるために、収集・保存・利用、これに関連する調査研究を行うことを業務内容にうたった「公文書館設置条例」等に基づいて実施されているもので、資料保存の第一段階として欠かせないものです。

所在調査では、公文書館職員が県内各地に直接赴いて所在の確認につとめ、資料の発掘や整理にあたります。

資料整理は、当該資料の全時代におよびますから、特に江戸時代に限ったものではありません。古代・中世と時代を遡ることもあれば、明治・大正・昭和期におよぶこともあります。整理の方法は、資料の原状を崩さないように注意して、資料目録の作成を行います。

手順は、

  1. 資料保存用・中性紙封筒に資料表題名・内容・年代・差出人・受取人等の必要事項を記入する。
  2. 資料を中性紙封筒に入れる。
  3. 項目や通年にしたがって袋に番号をふる。
  4. 資料の番号順に目録用紙に記入する。
  5. 作業終了後、資料の内容と今後のアフターケアについての説明を行う。
  6. ここで作成した目録を、「神奈川県歴史資料所在目録」として刊行する。

といった形が通常とられています。

また、この調査では資料のマイクロフィルム撮影も同時に実施していますので、後日当館で閲覧することも可能です。

時代の流れの中に、過去を伝える知の遺産が次々と薄れゆく現在、古文書等の歴史資料の保存は急務といえましょう。私たち公文書館職員と一緒に資料の保存について考えていただけたら幸いです。


なお、当館では県内の資料の所在や資料の保存に関する情報を広くあつめています。ご協力をよろしくお願い申しあげます。

神奈川県

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