学校水泳プールの安全管理について 学校における安全管理マニュアル作成の手引き

掲載日:2007年5月24日

はじめに

 平成18年7月31日、埼玉県ふじみ野市の市営プールで小学校2年の女児が流水プールの排水口に吸い込まれ尊い命を失うという痛ましい事故が起こりました。この事故により、自治体におけるプールの構造に対する安全対策や管理運営体制等があらためて問われることとなりました。

 昭和43年から平成16年までに、全国で32人(小学校6人、中学校23人、高等学校3人)もの子どもたちが学校管理下におけるプール排水口の事故により亡くなっています。平成7年からは、文部省(現 文部科学省)が、プール排水口に係る全国調査を開始するとともに、再発防止を継続的に呼びかけてまいりました。しかし、残念なことに同様の事故が絶えないのが現状です。

 プールの管理運営のあり方が、生命の存否に関わる重大事であることを認識したうえで、公営・民営を問わず、関係者が強い危機感をもって安全対策や日常点検に臨めば、事故は必ず防げるものと確信しています。今後、一人も犠牲者を出すことのないよう、まずは、神奈川県内の学校が、安全管理を再徹底する必要があります。

 つきましては、各学校において安全管理を徹底するため、神奈川県教育委員会では、本冊子「学校水泳プールの安全管理について」を作成いたしました。是非、この機会に全ての学校で安全管理マニュアルを作成・充実させ、児童・生徒が安全にプールを利用できるよう環境整備をお願いします。


学校水泳プールの安全管理について (全ページ) (PDF 104KB)

こちらをクリックしていただくと、学校における安全管理マニュアル作成の手引き全ページがPDFファイルで表示されます。


 目次

 

はじめに

 

1 学校プールの安全管理について

(1)本冊子作成の趣旨

(2)安全管理マニュアル作成の必要性について

2 プールの施設・設備の安全管理について

(1)プール全体の安全点検 

(2)排(環)水口 

3 プールの事故を未然に防ぐための安全管理について

(1)プールの安全管理責任者

(2)プール使用開始前の安全点検

(3)プール使用時期の安全点検 

(4)使用時期終了後の点検 

(5)心肺蘇生法研修会等の実施・参加

4 学校における安全管理マニュアルの作成について

 (1)マニュアルの項目(作成例)

(2)管理体制図(作成例)

(3)緊急連絡体制図(作成例)

(4)使用開始前点検チェックリスト(使用開始前点検結果報告書)

(5)日常点検チェックリスト(作成例)

(6)使用終了時点検チェックリスト(作成例)

(7)プール利用者への点検結果の掲示(作成例)


1 学校水泳プールの安全管理について

本冊子作成の趣旨

 本冊子は、平成19年3月29日に文部科学省スポーツ・青少年局長から「プールの安全標準指針」が通知されたことを受け、神奈川県教育委員会として、県内の公立学校が「学校水泳プールの安全管理」について真摯に取組み、事故を未然に防ぐことを目的として作成しました。

 各学校においては、早急に「学校水泳プールの安全管理マニュアル」の作成及び見直しに取り組み、その内容を職員及び児童・生徒に周知・徹底されるようお願いします。

安全管理マニュアル作成の必要性について

 学校水泳プールの安全管理については、これまで、一部の教職員によって管理されていることが多く、万が一、プール事故が起きた際に、学校として迅速かつ適切な対応ができるかが非常に危惧されるところです。    

 各学校が「学校水泳プールの安全管理マニュアル」を作成することで、全職員が共通理解のもと、事故の未然防止、事故が起きた際の応急手当(心肺蘇生法及びAED・酸素ボンベの使用)及び緊急連絡体制を確認することができ、児童・生徒が安全に、そして、安心してプールの利用ができるようになると考えています。

2 プールの施設・設備の安全管理について

 

プール全体の安全点検

プールの使用に際しては、使用開始前、使用時、使用終了後に点検を行い、破損箇所や異常な状態がないかを必ず確認してください。また、万が一に備え、救命具(担架、AED、酸素ボンベ等)の準備や設置場所の確認をするとともに、危険な状態が予測される場合には、直ちに使用を中止するか、事故等が起きないよう応急そちを行ってください。

 

排(環)水口

 プール排(環)水口の二重の安全対策については、これまでも各学校にプール清掃時の際に必ず確認をするようお願いしてきました。このことは、平成19年3月に国が策定した「プール安全標準指針」においても、特に強調されています。

 また、「排(環)水口の蓋はかなり重いので、ネジ・ボルト等での固定は必要ないのではないか」といった問い合わせもありますが、全国の事故事例では、持ち上げられるはずのない蓋が開けられ(子どもが数人で動かしたと考えられる)、足を吸い込まれてしまったという事故が報告されていることから、必ず固定してください。

 なお、「プール安全標準指針」では、プール排(環)水口の蓋がコンクリートやコーティング加工等で完全に固定されている場合、また、プールの構造上、多数の排(環)水口が設置されており、かつ、一つの排(環)水口の吸引力が体(手足を含む)を吸い込む恐れのないものについては、配管の取り付け口への「吸い込み防止金具」の設置は必ずしも必要がないとされていますが、循環装置の機能の低下等により吸引力が弱くなったものは、これまでどおり、二重の安全対策が必要です。

排(環)水口の蓋と配管の取り付け口への二重の安全対策

※「排(環)水口とは…「プールの水を排水・循環ろ過するための吸い込み口」


二重の安全対策が必要

排(環)水口はプールの底面や壁面に設置されており、利用者の手や足が吸い込まれないよう、排水口の上蓋はネジ・ボルト等で固定し、さらに、配管の取り付け口には吸い込み防止金具を設置しなければなりません。

※下図をクリックしていただくとPDF版拡大図が表示されます。

排(環)水口

排水口がプールの底に取り付けられている例と横に取り付けられている例

3 プールの事故を未然に防ぐための安全管理について

 

プールの安全管理責任者(基本)

点検総括責任者
点検責任者
点検主任
学校長
事務長

副校長

(教頭)

保健体育科教諭(総括教諭)

水泳部顧問教諭

 

プール使用開始前の安全点検

◇ プール水槽内の清掃

    ア プール清掃の際に給排水を行う場合には、必ず最寄りの消防署及び水道局に連絡をする。

    イ 清掃時に怪我等をしないよう十分注意して行う。

      ・土砂の中には、空き缶やガラス瓶の破片など危険なものが混じっていることがあるので、素足で作業したりせず、必ず靴や軍手等を着用する。

      ・コケなどにより、滑りやすくなっているので、転倒などの事故防止に十分留意する。

◇ 排水時にプール排(環)水口の二重の安全そちの状態を確認

    ア 排水時に、土砂やコケ等を取り除き、水でよく流した際に、プール排(環)水口の蓋を固定しているネジ・ボルト等をゆるめ、蓋を開ける。

    イ 次に、蓋を取り除いた状況で、中の吸い込み口を点検し、吸い込み防止金具等のぐらつきがないか、腐食していないか等の固定状況を確認する。

    ウ 異常がなければ、排(環)水口の蓋をネジ・ボルト等で固定し、さらに二人ないし三人で固定した蓋について、ぐらつきがないか等を確認する。

◇ 付帯設備等の整備・点検

    ア 更衣室やトイレは、定期的に清掃するとともに、壁等に穴や破損がないか確認する。

    イ シャワー・洗眼器等の金具に汚れ及び破損がないか確認する。

    ウ 出入り口や機械室等のドアの鍵に破損がないか確認する。

    エ 浄化装置が正常に作動するか点検・整備を行うとともに、作動手順を明示しておく。

    オ コースロープの状況を確認する

      ・ワイヤーが劣化していないか、ささくれのように針金が出ていないか。

      ・ブイの破損はないか、ブイの数が不足していないか。

      ・フック(ターンバックル)のカバーがそろっているか。

    カ 酸素ボンベやAED、担架等の応急手当に係る物品を点検するとともに、所定の位置を明示しておく。

    キ プール内の雨等に濡れない場所に「緊急時の連絡体制図」を掲示する。

    ク プールの安全管理が適正に行われていることを利用者に知らせるため、安全点検の結果を掲示する。

◇ プールサイドの清掃及び周囲の整備>

    ア プールサイドに危険物が落ちていないか、タイルの剥がれや障がい物、突起物がないかを確認する。

    イ プール囲いのコンクリート塀や金網の柵に破損がないかを確認する。


プール使用時期の安全点検

(2)「プール使用開始前の点検」で挙げた内容を中心に点検を行う。ただし、プール排(環)水口については、水の張った状態では、吸い込み防止金具の状況までは確認できないため、排(環)水口の蓋がネジ・ボルト等でしっかり固定されているかについて、目視のみならず、実際に水中で持ち上げてみるなどの確認を行う。

◇ 水量が保持され、オーバーフローが適切に行われているかを確認する。

◇ 水質の管理については、疾病が発生することがないよう定期的な水質検査、浄化装置の適正な運転を行うとともに、水を汚さない指導を徹底する。

使用時期終了後の点検

◇ プールの使用期間が終了したら、施設の点検・修理及び用具の整理・格納などを徹底する。

    ア プール本体及び周囲の点検

    イ シャワーや洗眼器などの金具の取り外し

    ウ シャワー室、更衣室、便所などの清掃

    エ コースロープ、ビート板、清掃用具などの格納

    オ 浄化装置及び残った薬品等の始末、特に塩素系の薬品は使用上の注意に従い処理する。

    カ 施設の施錠

◇ 施設の修理や備品の購入など予算の必要なものについては、緊急なもの以外は書類として残し、次年度に引き継げるようにしておく。

心肺蘇生法研修会等の実施・参加

◇ 教職員の誰もが緊急時に対応できるよう、所轄の消防本部等の協力を得るなどして、各学校が自主的に心肺蘇生法等の研修会を実施する。

◇ 県立体育センター等で行われる心肺蘇生法等の研修会に積極的に参加する。

 

4 学校における安全管理マニュアルの作成について

 

マニュアルの項目(作成例)

「学校水泳プール安全管理マニュアル」

    1. プールの安全管理責任者の明示
    2. プールの管理体制図
    3. 緊急連絡体制図
    4. 救命具(担架・AED・酸素ボンベ等)の設置場所を明示
    5. プール使用開始前に整備すべき事項
      • プール使用開始前の点検チェックリスト
    6. プール使用期間中における日常点検事項
      • プール使用期間中の点検チェックリスト
      • 利用者への情報提供掲示物
    7. プール使用終了後の整備事項
      • プール使用終了後の点検チェックリスト
    8. 心肺蘇生法等の職員の研修実施計画
    9. その他
      • 必要に応じて学校独自の内容を盛り込む

管理体制図(作成例)(PDF 13KB)

 

緊急連絡体制図(作成例)(PDF 15KB)

 

使用開始前点検チェックリスト(使用開始前点検結果報告書を利用)(PDF 16KB)

 

日常点検チェックリスト(作成例)(PDF 13KB)

 

使用終了時点検チェックリスト(作成例)(PDF 13KB)

プール利用者への点検結果の掲示(作成例)(PDF 11KB)


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