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更新日:2018年8月27日

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第110回神奈川県総合計画審議会 審議結果

第110回神奈川県総合計画審議会の審議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 第110回神奈川県総合計画審議会
開催日時 平成26年3月26日(水曜日)13時00分から15時00分まで
開催場所 神奈川県庁新庁舎8階 議会大会議室
出席者

江口隆裕、○斎藤聖美、牛山久仁彦、内田裕久、大賀圭治、大久保一郎、川名和美、マリクリスティーヌ、柏木教一、清田祐介、丸山善弘、植松正博、齋藤文子、尾上信一、河本文雄、谷口かずふみ、中谷一馬、三橋政雄

〔計18名〕(順不同)(○副会長)

次回開催予定日 未定

問い合わせ先

政策局政策部総合政策課計画グループ 松田
電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過(議事録)

(事務局が、委員数30名に対しこの時点で16名の出席を確認し、半数を超えるため審議会が成立する旨発言。)

 

1 開会

 守屋総合政策課長:開会に先立ちまして、本日の進行につきまして事務局からご報告申し上げます。金澤会長におかれましては、本日の審議会をご欠席とのご連絡が入ったところでございます。つきましては、当審議会規則第3条第4項に基づきまして、江口副会長に会長の代理をお願いしたいと思います。それでは、江口副会長、進行をよろしくお願いいたします。

 

 江口副会長:金澤会長に代わりまして、本日の進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。それでは、ただいまから、第110回神奈川県総合計画審議会を開会いたします。前回の審議会から委員の変更がございましたので、新しい委員の方々をご紹介いたします。日本労働組合総連合会神奈川県連合会会長の柏木教一委員です。日本青年会議所関東地区神奈川ブロック協議会会長の清田祐介委員です。なお、神奈川県町村会会長の尾上信一委員は、所用のため30分程度遅れてご到着の予定です。また、神奈川県農業協同組合中央会会長の志村委員につきましては、所用のため瀬戸常務が代理としてご出席です。議事に入ります前に、事務局から机上にお配りしております資料の確認をさせていただきます。

 

(事務局から配付資料の確認)

 

2 議事

議題1 社会環境の変化に伴う課題について

 江口副会長:それでは議事に入ります。お手元の次第に記載のとおり、本日は議題が2つございます。まず、議題1の「社会環境の変化に伴う課題について」です。審議に先立ち、部会での審議内容につきまして、私からご報告したうえでご審議いただきたいと思います。まず、事務局から資料を説明していただいて、その後、私から部会で行われた議論についてコメントを加えたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。

 

(資料1に基づき、事務局から資料説明)

 

 江口副会長:それでは、今の説明を踏まえ、部会での議論の主な点について簡単にご説明したいと思います。資料1の構成は、2ページからの第1章と、15ページ以下の第2章の2章構成になっていますが、部会での議論は、第1章と第2章の一体的な議論がなされておりますので、第1章、第2章を分けずに、政策分野ごとに主な内容をご紹介したいと思います。

まず、エネルギー・環境分野についてですが、第1章では10ページに「エネルギー・環境問題の新たな動向」が、第2章では16ページに「エネルギー・環境」がございます。基本的な情勢の認識として、全国の原子力発電所が停止しており、電力需給に関わる基本的な問題が存在しているということをきちんと認識しておく必要がある、という指摘がございました。これにつきましては、現在の総合計画の策定にあたっての視点にもあります、東日本大震災と福島原子力発電所の停止による電力不足への対応等ということを該当箇所に明記しました。

次に、安全・安心分野については、第1章では11ページ、第2章では17ページです。大規模災害や身近な犯罪、事故等に対する取組みが基本となるわけですが、このほかにも、風疹の大流行であるとか、季節性インフルエンザやノロウイルス、新型インフルエンザへの対応など、感染症に対する状況をしっかりと受けとめて対応していく必要があるのではないか、という意見を踏まえた内容に修正をしております。

次に、産業・労働分野については、第1章では8ページ、第2章では18ページです。地域経済の担い手である中小企業の経営基盤の強化が重要という認識は共通しているところですが、特に小さな企業においては、後継者の育成が死活問題となっているという状況を踏まえながら、県としても地域社会を担う小規模な企業に目を向けて、可能な支援を行うことが必要ではないかという意見をいただいております。また、労働の分野ですが、特に高齢者の就労環境について、生きがい対策とも関連して議論がありました。具体的には、超高齢社会ということをマイナスに捉えるのではなく、高齢者が現役時代から持っている能力や技術を発揮できるように、働きたい高齢者がいきいきと活躍できるよう支援していくという視点が大事ではないかという議論がありました。また、医療・福祉の産業は、ある意味今後の成長産業とみられる分野ですが、現状では必ずしも労働環境が魅力的ではないという問題があります。これらの改善を進めることによって産業分野の活性化だけでなく、高齢者の生活しやすい社会づくりにもつながるのではないかという議論がありました。

次に、健康・福祉分野については、第1章では11ページ、第2章では20ページです。今後の医療・福祉のあり方としては、地域包括ケアの推進が基本的な考え方となるわけですが、部会においては特に、医療機関と介護・福祉施設との連携や、認知症対策、医療福祉人材の育成などの重要性について指摘があり、この報告書の中に反映しています。また、県民の健康づくりという視点から、オリンピックの開催なども契機としたスポーツの振興についてもご意見をいただいております。これについては、学校の体育だけでなく、県民一人ひとりが地域でスポーツに親しめる環境づくりを県としても進めていく必要があるのではないかという議論もありました。さらに、女性について、シングルマザーの問題、特に若年女性の貧困化ということが指摘されておりまして、それが子どもの貧困に連鎖している状況についても指摘をいただいています。

次に、教育・子育て分野については、第1章では12ページ、第2章は22ページです。個別の問題の前に、教育・子育てというのは、将来の社会の担い手、さらには経済や地域の担い手を育成すること、そういった人を作っていくことが教育の役割であって、そこを基本に検討するべきという指摘をいただいております。そういった前提に立って、個別の課題としては、まずいじめの問題ですが、学校以外の学習支援や地域コミュニティの支援についても言及すべきではないかというご意見、インクルーシブ教育の関連では、乳幼児健診の重要性、特に発達障害の方が乳幼児健診で早期に診断されることもあるということで、そのような重要性も踏まえて、県の積極的な取組みが必要との意見が出され、必要な修正を行っております。

次に、県民生活分野については、第2章の24ページです。先ほど高齢者の生きがいの話がありましたが、それとの関連で、女性と高齢者に関する意見をいただいております。女性については、女性の就業状態、いわゆるM字型カーブについて、神奈川県が全国の水準に比べて低くなっている状況にきちんと触れておく必要があるという意見をいただいております。また、潜在力の活用という観点からは、女性だけではなく、高齢者も重要であり、性別や年齢にかかわりなくその能力を活かしてもらい、活躍を支援する環境づくりが重要であるという意見がありました。

次に、県土・まちづくり分野については、第2章では26ページですが、行政が主な整備の主体となることは当然ですが、特にソフト面を意識して、行政以外の主体と連携してまちづくりを行っていく必要性、さらにまちづくりにおける市民参加という面を強く出していくべきだという意見をいただいています。

それから、27ページの「課題の解決に当たっての留意点」については、先ほど事務局から説明があったとおり、全体の構成として(1)、(2)の順番を入れ替えています。それから、新たに「(3)ICTの利活用」という項目を設けております。この中で「(2)多様な担い手との連携」についてですが、地域で活動する主体に対して行政が支援をするだけでなく、行政がパートナーの活動を適正に評価する仕組みの創設が必要ではないか、という意見をいただいています。同時に、評価も重要ですが、あまり評価を厳しくするとかえって多様な主体の参入が難しくなってしまうため、事後的な評価が大切ではないかというご意見もいただいております。従いまして、ここでは、「連携に当たっては、多様な担い手が参画しやすいしくみや協働のパートナーの活動や協働の効果等を適正に評価し、よりよい連携に向け検討していくことも必要」と、双方の視点を考慮した表現とさせていただいております。

それから3番目に「ICTの利活用」という新しい項目を立てております。ICTの利活用が重要であるということは委員の皆様もご承知のところかと思いますが、他方で、個人の情報が流出するリスクや、高齢者のようにそもそもネットが利用できない人々が不利益を被るのではないかという問題が指摘されています。そこでICTの利活用については、27ページの(3)にありますように、こういった問題点も踏まえたしくみを考えていくことが必要だという記載をさせていただいております。

以上が部会で行われた主な議論ですが、一点、私からのご提案で修正させていただきたい部分がございます。報告書の15ページをご覧いただきたいのですが、今の案では第2章「対応が望まれる課題」となっていて、「1 検討にあたっての視点」となっております。以前、委員の皆様方にお送りした案では、第2章が「実施計画の点検に向けて」、そして「1 点検の基本的な視点」となっておりました。今我々が行っておりますのは、今後対応が望まれる課題が何かを考えるということですので、第2章のタイトルを「対応が望まれる課題について」に、1を「検討に当っての視点」というように修正させていただいております。

私からのご報告は以上です。これからご意見をいただきたいのですが、中谷委員お願いします。

 

 中谷委員:私からの意見は7ページの「情報化の動き」の部分です。最下段の情報格差に具体的な対応の方向性を加えてはどうかと思います。次に8ページの「労働をめぐる状況」の中段部分に「ICTを活用した在宅勤務などが徐々に浸透」とありますが、少子高齢化社会を迎えて、生産年齢人口が介護現場に取られるといった影響が想定される中で、タブレットの活用などにより、自宅にいても職場の自席にいるときと変わらないような環境を整えていく必要があるだろうといった趣旨の文言を付け加えてはどうかと思います。次に27ページにあるICTの利活用については、重要な問題と認識していますが、他の項目と比べて簡潔すぎると思うので、例えばインターネットを利用した犯罪であったりネットいじめであったりといった文言がグランドデザインにはあったので、そういったところを加えていただければと思います。また、今後の展望については最後の1行にまとめられているのですが、より文章を分かりやすく広げてもいいのかなと思いました。

 

 江口副会長:高齢者の場合、ICTだけではなく紙媒体も併用するということになりますか。

 

 中谷委員:まさにそのとおりだと思います。情報は、発信も受信も多様化しており、50歳代以上の方であれば、紙媒体を利用している方も多いと思います。30歳台以下であれば、スマートフォンやタブレットなどにより情報の受信・発信を行っていると思います。

 

 江口副会長:ありがとうございます。

 

 丸山委員:よくまとめられていると思います。社会が成熟していく中で、高齢化は当たり前のことであり、15ページの高齢者標準社会への転換ということは、とても大事なことだと思います。元気な高齢者は社会にとって財産であり、元気な高齢者をもっと増やしたい、もっともっと元気な高齢者になっていただきたいという中で、社会において居場所や役割、生きがいを得ることはとても大事です。高齢者標準社会への転換というのは、どの分野においても関係すると思われますので、高齢者標準社会の視点で、高齢者が労働力の面や医療介護、健康福祉の部分にとどまらず、地域社会が活性化するためにどうしたらよいのかといった点で考えることができればと思います。

 

 江口副会長:部会でも同じような指摘がありまして、初めは高齢者の視点はなかったのですが、24ページの県民生活の中で、新たに高齢者の活躍支援の項目を立てたといった経緯があります。ご意見としては、もう少し総論的に記載を加えた方がよいといった趣旨でしょうか。部会の議論では、高齢者も大切だが若者のことも大切ではないかといったバランスの議論があったことも事実です。

 

 丸山委員:第1章の項目をみると、神奈川の人口がどうなっていくのか、高齢化がどうなっているのかといった内容は、グラフなどの記載はありますが、他の項目と比べて記述が少ないので、もう少し触れていただきたいと思います。

 

 クリスティーヌ委員:先ほどお話しがありましたように、20代、30代の、タブレットやIT社会に育った若者達と、50歳以上の世代間のギャップがある中で、非常に横文字が多いように感じます。ICTとはどういう意味でしょうか。

 

 江口副会長:昔はITと言っていました。Cはコミュニケーションの意味ですから、インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジーとなるのでしょうか。

 

 クリスティーヌ委員:横文字をよく分からない方がICTと書かれてもよく分からないと思うので、その後に日本語でどういう意味なのかと言うことをきちっと書かないと、理解できないと思います。ADHDについても、日本語で多動性障害とも言われますが、ADHDとは何なのか、言葉の使い方をもう少し丁寧にしていただけるといいなと思います。

それから、24ページにあるM字型カーブというのは日本だけで、日本が生んだ言葉であり、外国では、女性の社会にはありません。こういうM字型カーブが日本の社会を妨げているという認識の中で、女性がずっと仕事ができる環境づくりを神奈川県がしていることがもっと見える方が良いのではないかと思います。

それから、「女性や高齢者」とありますが、女性と高齢者は一緒ではありません。女性と高齢者を一緒にすると、高齢者にとっても女性にとっても失礼です。よく、女性、高齢者、弱者、障害者が一緒になっていたりしますが、施策の中で対応できていない部分なので、もう少しきちんと整理していただきたいと思います。世界に扉を開いた最初の県でもあるわけですから、神奈川県らしさをもう少し強調されながら、色々な施策を打ち出した方が良いと思いますので、言葉の分け方というのをもう少しピンポイントでやった方が良いのではないでしょうか。

それから、エネルギー施策もそうですが、ICTエネルギーというのは、EUの中では、ローカルでどうやってエネルギーを使い回しするかということであって、「原子力ありき」とか、何かが「なき」とかではなく、むしろその地域が持っている特性を持ちながら、コミュニケーションテクノロジーを使って選んで活用できるということで、例えば、「私は原子力エネルギーを使いたくない」と思われる方は、そこで選ぶことができるのです。そういうチョイスがない中で、一緒くたにされてしまうことも、ちょっと言葉の使い方が間違われてしまうのではないかと思います。ICTが全部を救うのではなくて、各分野を分けて、その中にICTがあるということにしていかないと、ICTがあればこの分野全部が救われるわけではないということが、もう少し分かりやすくなるといいと思います。

 

 江口副会長:ありがとうございました。いくつかご意見いただいていますが、まず、用語については、確かにICTと言っても分からない方も多いのですが、ただ、日本語で何と言うか、適切な訳語があるかどうかが難しいと思います。それから、2点目の、女性と高齢者が一緒でいいのかというご意見ですが、たとえば24ページをそれぞれ女性と高齢者を分けるということも考えられますが、24ページの中身を読むと割と女性が中心の記述になっています。高齢者を書き分けて、どこまで高齢者について中身があるのかというのがありますが、できるかどうかを検討させていただきたいと思います。フランスでもM字型カーブとは言いませんが、女性が育児子育てで職業活動を中断するということがあります。フランスも女性の年金が低いことが問題になっていまして、女性の問題というのは外国も決して無くは無いということだけご指摘をさせていただけたらと思います。それから、エネルギーの問題ですが、先ほどのエネルギーを自分で選べるというのは、日本の電力供給システム全体がそこまでできるようになれば別ですが、県だけでできることではないので難しいのではないかというのが率直な意見です。

 

 クリスティーヌ委員:私が言いたかったのは、ICTありきでこういうものが動いているのではなく、各政策の中にICTを今後活用していくというスタンスならいいのですけど、ICTが大きな傘になってしまっているというところに少し問題があるのではないかなという感じがします。

 

 江口副会長:傘になっているというのは、27ページで別に項目を立てているという意味ですか。

 

 内田委員:私はずっと神奈川のエネルギーの色々なところに絡んでいるのですが、この意味は、分散型電源ということになると、地域地域で地産地消型で使っていくようなことを考えていきます。そのときに、あるところではたくさん使っている、あるところでは使っていないという状態を調整していくのを人が見て決めるのではなくて、自動的にコンピュータを使ってやっていきましょうということです。その時にICTを使うという意味で使っているところであって、ICTありきではありません。ICTはしょせん道具です。ICTをむしろ活用しないと、エネルギーの利用に無駄が出るということです。

 

 クリスティーヌ委員:エネルギーを活用するためのICTというふうに書かれているならば、エネルギーを分散するために使われているのだと思いますが、エネルギーのためにも、医療のためにも、防災とあらゆる面でということになると。

 

 内田委員:16ページのところは、できる限り効率的に無駄なくエネルギーを使っていきましょう、無駄な分は貯蔵しましょうということです。これは全部コンピュータを使って、お互いに地域地域でコミュニケーションを取りながらやっていきましょうという意味での使い方です。

 

 クリスティーヌ委員:16ページは大丈夫だと思いますが、27ページになりますと、逆にICTが一人歩きしていて、ICTが支える道具としてではなく、むしろ、逆にICTを使うことで全てが解決されてしまうというようなイメージがあります。医療の中でもICTを活用して、たとえば病院から病院へのコミュニケーションで、自分のカルテを全部のところの病院で共有できるようになれば、すごく理想的なことでもありますし、防災の時も全ての家庭に、こうやって避難しましょうというように使っていただければすごくいいと思うのですけど、そこのところが少し不明確かなと思います。

 

 内田委員:利活用のもっと具体的なことを整理して書いていけばいいということですね。

 

 江口副会長:今のご意見についてですが、20ページを見ますと「医療のICT化の推進」ですとか、「ICTを活用した」とかありまして、部会での議論の経緯としては、むしろ各論の中にICTが入っているが、大事なことなので総括的な留意事項としてまとめるべきだということで、27ページに入れたという経緯があることをご理解いただければと思います。

 

 瀬戸常務(志村委員代理):少し農業分野のことで質問とご意見をさせていただきます。まず、9ページですが、グラフの上の下から3行目なのですけれども、米の生産調整の廃止を打ち出したということですが、ここは、正確には生産調整の見直しだと思います。それから、19ページの最後のくだりで、競争力のある農林水産とありますが、この場合の競争力とはどういうものを指すのか、価格競争力なのか、輸入品に対する競争力なのか、その辺はいかがでしょうか。

 

 江口副会長:まず、9ページはよろしいですね。それから19ページですが、これ何か事務局でお答えできることありますか。

 

 守屋総合政策課長:国でも先日、農業創造本部の中で、2020年に農業輸出1兆円に向けての大改革を実現ということが議論されていて、大規模化による競争力の強化の打ち出し、またその中でも減反、新聞などでは廃止などと書かれていますが、そういったことが謳(うた)われているところで、国際競争力のアップをイメージした項目と考えています。

 

 瀬戸常務:神奈川の農業の現状からすると、海外まで輸出していこうというよりも、県民の方々に供給していくという農業のあり方が主流だと思います。したがって、この場合ですと対外的に打って出ようというのではなく、むしろ、県民に支持される農林水産業を振興していくということの方が神奈川の方向性としてはよいのではないかと考えています。

 

 江口副会長:県民に支持されるということが「地域特性を生かした」ということなのであり、農業に「県民の支持」というのもなじみにくいので、むしろ「競争力のある」というのを落としてしまい、「地域特性を生かした」農林水産業を振興するとした方が多分ご趣旨によく合うのではないかと思いますが、いかがですか。

 

 瀬戸常務:それでもいいのですが、前段の方に「県土の保全」ですとか「水源かん養」だとか、という多面的機能もあると述べられていて、そういうことも含めて県民のために農業は必要だという支持をしていただくという意味で、食料の供給だけではなく、「支持される」と入れていただいた方がいいかなという気がします。

 

 江口副会長:「県民に支持される」というと、農業に限らず医療なども全部、県民に支持されないといけませんし、農業だけに限らないのではないかという気がします。

 

 瀬戸常務:分かりました。

 

 江口副会長:他にいかがですか。

 

 内田委員:「国際化と情報化」という項目があります。この組み合わせがよいのかどうかはちょっと分からないのですが、「かながわグランドデザイン 実施計画」のプロジェクト25「神奈川を世界にアピールする国際戦略」の中に、神奈川県が県内企業の海外展開支援をするとか、企業誘致をするとか、外国人観光客の誘客促進、国際戦略総合特区を活用していくなどがあるのですが、今回、攻めというか、発信があまり見えない気がします。国際化ということで、神奈川の取組みがかなり積極的にあるわけですから、そういうことが記載されていた方がよいという気がしました。

 

 江口副会長:できれば具体的に、どの辺にどういうものということをご指摘いただけますか。

 

 内田委員:例えば、資料1の6ページで「国際化と情報化」がセットになっているところは、明治の文明開化した直後の日本という雰囲気があって、日本は情報化によって海外から一生懸命情報を取っているという雰囲気があるのですが、そうではなくて、この部分は、情報化が普段の日常生活にも浸透している中で、私たちの生活も変わっているということを多分言っているのだと思います。もう一つ手前の国際化のところは、世界経済との結びつき、訪日者数の動向という項目はあるのですが、プロジェクト25を見ると、県内企業の海外展開支援とか、外国人観光客の誘客促進とか、国際戦略総合特区を活用した拠点形成とかがあるので、この辺りはどこかに出てくるのかと思ったのですが、あまり出てきません。県民生活のところにも出てこないし、産業・労働のところにも入っていません。この辺りの神奈川県の攻めの姿勢がせっかくあるのに、ちょっと見えないという気がしています。私はかながわサイエンスパークを運営していまして、これは神奈川県も出資者でございます。安倍総理がソチに行ってプーチン大統領と決めてきた日露投資事業の件でも、ロシアの代表団とMOUを交わしたばかりですし、サウジアラビアの人たちもどんどん来ています。色々な国々が来て展開しているところがあって、こういう国際化というところで、もっと経済活動を神奈川は積極的にやっているという点がもう少しあってもよい気がしています。「かながわグランドデザイン 実施計画」のプロジェクト25と比べると、ちょっと沈んでしまっているように見えるので、ここだけ分けられないのかなと思いました。

 

 江口副会長:ありがとうございます。今、ご指摘いただいたのは、「かながわグランドデザイン 実施計画 プロジェクト編」の44ページのプロジェクト25「神奈川を世界にアピールする国際戦略」の中で、国際交流のほかに、県内企業の海外展開支援、国際戦略総合特区などが書いてあるので、この辺をもっと表に出せないか、というご意見ですね。これは事務局、よろしいですか。

 

 守屋総合政策課長:資料1の18ページには、2つの特区について記述がございますけれども、こういったところをさらに強化して、「経済のエンジンの原動力としていく必要があります」というような課題認識を審議会の意見としていただいて、今後、県が力を入れていくべき施策については、来年度の政策全般の点検の中で検討していく構造になるかと思います。

 

 内田委員:国際化というのは、私たちがインターネットでどこでもつながるということが国際化ではないのです。肝心なのは、私たちの意識が変わることです。だからこういうところでも、国際化といったん謳ったからには、せっかく県が取り組んでいる活動、例えば、神奈川県は国際ファンクラブも一生懸命やっている、そういう宝物を持っているのに出さないのが残念だと思うので、それをアピールして、県民の普段の感覚を少しずつでも変えていった方がよいと思います。

 

 江口副会長:ありがとうございます。ただ、今のやりとりはすれ違いがあって、今、審議会で検討しているのは社会環境の変化に伴って新たにどういう課題が出てきたかということです。ご指摘の議論は、事務局の話ですと、課題というよりも、今後の点検の方に入れていくというご意見ですか。

 

 守屋総合政策課長:そのとおりです。

 

 江口副会長:内田委員がおっしゃったのは、新たな課題なのかどうかという意味で、それをもうちょっと入れるべきということなのでしょうか。

 

 内田委員:報告書に見えないということだけです。

 

 江口副会長:では、例えば、今までよりも取組みが進んでいるということを社会環境の変化の中に入れさせていただきます。

 

 大賀委員:農業の関係について、特に生産調整の廃止とよく新聞で書かれるのですが、これは非常に誤解を招く言葉です。正確には、生産調整のやり方の見直しにしか過ぎず、面積当たりの固定支払いの廃止は明解ですが、それは生産調整の廃止ではありませんので、誤解を招かないように言葉にしていただきたいと思います。

もう1点、「新たな政策課題を検討するに当たっての視点例」の最後のところに、「新たなコミュニティの創造」ということが書かれていますが、高度成長期の日本で、企業が高度成長に若い人たちを動員するシステムを作ってきた中で崩壊させられたのが、地域コミュニティだと思います。「まちづくり」の部分を見ても、ハード面の老朽した建物やインフラの話ばかりですので、「まちづくり」はもっとソフトな面も含めて考えた方がよいと思いますが、人口減少等に伴う空き家の増加に対し、それを地域活動の拠点として活用する「など」という形で弱く書かれています。コミュニティづくりを行う場合、地域の人たちというよりは、集合住宅等の人たちが、日常的に集まれる場所が非常に大事だと考えます。自治会館というものもありますが、広域の範囲で特別の場合に集まることは可能ですが、日常的に集まる場としては少し距離があると感じます。こういった地域コミュニティができないと、認知症やその他のことで、地域で色々なことを日常的に話し合うことができません。私の住んでいるところでは住宅20戸でコミュニティを作り行事などを行っても、なかなか高齢者を参加させることは難しいのですが、そういったチャンスが増えない限り、お互いの顔も名前も知らない状態では、コミュニティの再生といってもなかなか難しいと感じています。特に、大都市圏の集合住宅で40から50戸程度以下の規模のところに、日常的に集まれる施設が必要と考えます。それを空室対策の例で記載されている「など」くらいの扱いよりも、もっと政策的にはっきり位置づけて、比較的小さい範囲でコミュニティを形成する「場」の提供ということが、ハードとソフトの両面から非常に大事になっていると感じています。私はもともと農業問題の専門家ですが、そこでも課題となっているのは、コミュニティが崩壊して、それをどう再生していくかという点です。高齢化社会というのは、高齢者も含めた新たなコミュニティを作ることが大事ではないかと思っています。日常的に感じているのは、認知症等の人が同一住宅の中に出てくるのを、若い世代や働き盛りの人たちは、迷惑をかける人が現れたという意識で対応をしている場合が非常に多いように思います。同じ住民としてみんなで支えあうといった意識が全くありません。同じ住民だという意識が作れる場を作ることが大事だと思うので、もう少し新たなコミュニティの創造を具体化する方策を考えていただきたいと思います。

 

 江口副会長:26ページの「県土・まちづくり」のところで、良質な住宅・住環境の形成とありますが、ここに、例えば地域のつながりを再構築するための支援とか、ハード面を踏まえて書き込ませていただきます。

 

 大久保委員:27ページに「ICTは、エネルギー、医療、防災等といったあらゆる領域で、課題解決のツールとして活用されています。」とありますが、これはとても強い表現だと思います。「あらゆる領域」、「課題解決」というフレーズは言葉の力が強く、誤解を招く恐れがあります。例えば、「あらゆる」の部分を「様々な」とするとか、「課題解決」を「課題対応」とすると誤解を招くことはないと思います。

 

 江口副会長:ありがとうございます。ここはご指摘のとおり修正していきます。

 

 植松委員:他の委員からのご発言もあったように、ICTは、あくまで「道具」ですから、その辺りのニュアンスを記載した方がよいと思います。例えば、効率が上がる面、いわゆる省力化と、セキュリティーやサイバー上の脅威といった陰の部分を記載した方がよいと思います。ICTをうまく使えば、経済のエンジンを回すことになるし、間違った使い方をすれば、役に立たないといった具合になります。次に、横文字が多いといった委員の指摘がありましたが、略語集のようなものを作って巻末に設けてはどうでしょうか。

 

 江口副会長:今のご意見ですが、最初の2行が積極的な面、一方以下がデメリットの面なんですが、デメリットの部分を丁寧に記載することと、用語については少し整理させていただきます。

 

 谷口委員:1点提案させていただきます。17ページの「安全・安心」の大規模災害等への対応力の強化のところで、大規模地震・津波が取り上げられています。これは非常に大事なことですが、これに加えて、最近は台風による災害が顕著になってきています。台風が日本列島に近づくにつれ勢力を増してくる傾向があります。そこで、例えば大規模地震や津波、台風等といったように加えてはどうかと思います。気候変動の部分へ記載することも考えましたが、台風と温暖化の関係も分かっていないし、実際に台風被害が大きくなっているので、大規模災害等への対応力の強化に記載してはどうでしょうか。

 

 川名委員:都営バスでは全部無線Wi-Fiがどこでも使えるようになっていて、ITのインフラ整備という点では2020年の東京オリンピックを前にして東京都は力を入れていますが、県の方ではWi-Fiを付けるといった環境整備についてどのように対応していくのでしょうか。もう一点は27ページ(2)の「多様な担い手」との連携ですが、「適正な評価」という意見が委員から出たということですが、評価する委員会を作ったり、認定制度で単なるNPOではなく、その中でも力のある、サスティナブルな活動のできるところを評価していこうという動きもあるので、どのような評価を具体的に想定されているのか教えていただけますでしょうか。

 

 江口副会長:まず一点目のご意見ですが、7ページに情報化の動きとありますが、県として、例えばWi-Fiを整備するといったような動きはあるのでしょうか。

 

 二見政策局長:Wi-Fiの整備については、具体的に動き始めたところはあります。ただ、具体的にフリーWi-Fiというところまでは進んでいません。日本は通信事業者ごとに契約した人でなければ使えないという範囲の中で、全ての交番にフリーWi-Fiを設置していきたいのですが、第一歩として通信事業者ごとに無料で設置していただいて、通信事業者の負担でWi-Fiを提供しようというところに着手したところです。機器としてはそのままフリーWi-Fiに使えるという要素をハード的には持っていますので、あとは通信のやり方、通信事業者との連携の中で、オリンピックまでには外国人の旅行者が神奈川に来て、ほとんどどこでもフリーWi-Fiが使えるようなところまで持っていければという構想は持っております。

 

 川名委員:特に公共施設でやろうとか、都営バスのようにバスでWi-Fiをやろうというような具体的なものはまだないのですね。

 

 二見政策局長:県は交通に自分のツールを持っていません。県が持っている財産の中では交番が一番利便性が高いだろうということで、県立の施設には全て付けていく予定で、この3月に動き始めた政策でございます。

 

 江口副会長:現状として何か構想があるのであればどこかに書き込んでいただくということでよろしいでしょうか。2点目の評価の件ですが、部会でこのような意見が出たのですが、他方、あまり評価をすれば締め出すことになるのではないかという意見もありました。あくまでもこの審議会として、このような課題があって、こういう方向性があるので留意してほしいという注文を付けるものになるので、県が受け止めていくという意味でここでは両面を書いているということになります。

 

 牛山委員:今まで出されたご意見の全てを県がやるわけではないと思います。市町村が主体的に取り組んでいるまちづくりやコミュニティの政策もありますので、書き込んでいただくのはいいと思いますが、県の政策支援とか、市町村と連携してといった文言をぜひ付加していただきたいと思います。

 

 斎藤副会長:ひとつ居心地の悪さを感じているところがあります。第1章で社会環境について、それから、第2章でそれを課題として受け止めていますが、労働をめぐる状況が課題にきちんと対応していない点が少し気になります。女性の就業状態はM字型になっており、女性が出産・育児後また戻ってきたとしても、非正規の雇用者が非常に多いというのは色々なところで差別をされているわけだし、あまり優遇された働き方ができていないということだと思います。8ページのところで、「5割以上が非正規雇用者となっています」とありますが、それがどうなのかという評価が下されないまま次に移っているところが、居心地の悪さになっています。神奈川県は非常に優秀な女性が多くいる県だと思っているのですが、その女性の能力がフルに発揮できるようなかたちで是非やっていただきたいと思うのです。昔、女性は「女子ども」という言い方で子どもと一緒にされて、先ほどクリスティーヌ委員がおっしゃったように今は高齢者と一緒にされてしまうのでは、女性として大変残念です。女性の問題というのはやはり固有なところがありますので、その辺りをもう少し配慮していただけたらと思います。

 

 江口副会長:ありがとうございます。24ページの女性・高齢者ですが、先ほどもご意見を頂いていますので、ご意見を踏まえて分ける方向で考えさせていただきたいと思います。

これまでにいただきましたご意見につきましては、ある程度ご主旨を確認させていただきましたので、私の方で事務局と調整させていただけたらと思うのですがいかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

それではそうさせていただきます。大変に貴重なご意見をありがとうございました。

 

議題2 「かながわグランドデザイン 評価報告書2013」の作成について

 江口副会長:続きまして議題2の「かながわグランドデザイン評価報告書2013について」に移りたいと思います。まず、事務局から資料についてお願いします。

 

(資料2、参考資料4に基づき、事務局から資料説明)

 

 江口副会長:お手元に「かながわグランドデザイン 評価報告書2012」がございますが、これの2013年版を作成するということです。作成の過程でもちろん委員の皆様からご意見をいただくわけですが、作成の前に構成の部分でご意見があればお願いします。

 

 柏木委員:昨年実績でよいのですが、概要版というのはどの程度の部数を作られたのでしょうか。あるいは、今後新たに何らかのツールを使ってリリースするようなことを考えられていられるのかどうか教えてください。

 

 守屋総合政策課長:概要版につきましては、昨年度30,000部作成いたしまして、県の主要機関で配布をさせていただきました。それから、県と業務面で包括協定を結んでいるコンビニエンスストアにも置かせていただき、普及に努めております。ホームページにも掲載しております。

 

 柏木委員:県のたよりはどうでしょうか。

 

 守屋総合政策課長:県のたよりにも掲載いたしました。

 

 江口副会長:我々もこうやってエネルギーを注いでいるわけですので、なるべく多くの方に読んでいただきたいということで努力はしておりますが、今までにも増して普及してほしいということだと思います。他にございますでしょうか。なければ、この議題については昨年度と同様に評価報告書を作成するということでご了承いただいてよろしいでしょうか。

 

(異議なし)

 

それではそのようにさせていただきます。本日の議題は以上ですが、事務局から何かありますでしょうか。

 

 二見政策局長:政策局長の二見でございます。本日は熱心なご議論をいただき、本当にありがとうございました。今日まとめていただいた報告書を踏まえまして、今後、県では「かながわグランドデザイン」の政策全般の点検を行うことになっております。本日いただきましたご意見はその中で確実に生かしていきたいと思いますし、審議会の皆様には随時ご意見をいただいて、それを我々の点検作業の中に生かしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。また、議題2の「評価報告書2013」につきましても、ご指摘ありましたようにより多くの県民の方に知っていただくよう努めてまいりたいと思います。「評価報告書2013」を周知することによって、県民の意見を点検作業の中に取り込んでいけるのではないかと考えております。最後になりますが、当審議会の学識経験者や公募委員の皆様で、3月末をもって任期満了をお迎えになる方がいらっしゃいます。任期中、大変お忙しい中、当審議会のためにご尽力いただきましたことを厚くお礼申し上げます。引き続き、立場をお離れになっても、県政に関しましてお力添え、また、ご意見をいただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日は、誠にありがとうございました。

 

 江口副会長:ありがとうございます。本日の議題は以上で終了でございますが、今お話のありましたとおり、当審議会の学識経験者や公募委員の皆様の任期は2年間となっており、この3月31日をもって終了いたします。この2年間、皆様お忙しい中、審議会に御協力いただきましたことに、金澤会長に代わりまして、厚くお礼申し上げます。多くの方々には、引き続き委員をお願いすることになるわけですが、この3月をもって退任される委員の皆様をご紹介させていただきます。マリ・クリスティーヌ委員です。植松正博委員です。齋藤文子委員です。長い間ありがとうございました。

それでは、以上を持ちまして、本日の審議会を閉会いたします。本日は熱心なご審議、ありがとうございました。

会議資料

資料1 社会環境の変化に伴う課題について(案)[PDFファイル/1.94MB]

資料2 「かながわグランドデザイン 評価報告書2013」の作成について[PDFファイル/8KB]

参考資料1 第68回計画推進評価部会(平成26年3月4日)の意見と対応[PDFファイル/8KB]

参考資料2 第67回計画推進評価部会(平成26年1月28日)の意見と対応[PDFファイル/13KB]

参考資料3 社会環境の変化に伴う課題整理 骨子[PDFファイル/70KB]

参考資料4 「かながわグランドデザイン 評価報告書2012」に関する県民参加意見の概要[PDFファイル/35KB]

参考資料5 今後のスケジュール(予定)[PDFファイル/50KB]

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