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更新日:2018年8月27日

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総合計画審議会第66回計画推進評価部会 審議結果

総合計画審議会第66回計画推進評価部会の審議結果

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 総合計画審議会第66回計画推進評価部会
開催日時 平成25年10月7日(月曜日)10時00分から12時00分まで
開催場所 神奈川県庁新庁舎12階 第12A会議室
出席者

江口隆裕、○大久保一郎、植松正博、齋藤文子、池本美香、竹中千春、中村広幸、

治田友香、三井逸友、山本佳世子、髙橋克矢、矢野裕美〔計12名〕

(◎部会長、○副部会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

政策局政策部総合政策課計画G 諸星

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過

審議経過(議事録)

《議題に先立ち、大江教授より「神奈川県の人口推計や世帯推計」(案)について説明》

 江口部会長:将来的には、神奈川県だけで27万人ほど減少するということなのでしょうか。

 大江教授:すでに、昨年の1年間に日本全体で21万人ほど自然減少していて、その数は、まもなく50万人になると思われます。2030年代には毎年100万人の減少が始まり、50年間ぐらい続きます。神奈川県では5年間で27万人、毎年5万人ぐらいの減少になると思われます。

 江口部会長:高齢化に伴う単独世帯の増加などのご指摘をいただきました。高齢化に伴い、介護などの様々な問題が出てくるのは分かりますが、人口が減少していくというのは、非常に分かりやすく言えば、地域がスカスカになっていくことだと思います。そういったものは分布をみないと難しいかもしれませんが、人口が減少していくことにより、高齢者や高齢世帯が増えていくだけであればイメージをしやすいのですが、人口減少の大きい県西地域などがどのようになるのかは、なかなかイメージしにくいのです。そういう議論の手がかりになりそうなものはあるのでしょうか。

 大江教授:先日行われた「高齢者を標準とする社会」の会議では、箱根や湯河原というのは仲居さん達の高齢単独世帯が非常に多いという話がありました。その人たちの高齢期における暮らし方と、横浜・川崎で専業主婦をしていた女性が、子どもが独立し、夫と死別して一人になった後の暮らし方は、ずいぶん違う気がします。

県西地域では、郊外住宅地もあれば温泉地もあるし、農業集落もあるので、バリエーションとしては県の東側よりも色々なタイプがあることをイメージしなければいけませんが、どのように類型化されるのかはよく分かりません。

例えば、典型的な郊外住宅地として湘南桂台があります。ここは根岸線の沿線で1970年代前半に開発された大規模な戸建ての住宅地ですが、当時の30代から40代の夫婦と子ども2人で転入してきているため、その後、子どもが独立し、高齢夫婦世帯が増えていくモデルでスカスカになっている郊外住宅地です。ただ、この住宅地が衰退しているかというとそうではなく、街は綺麗に整備されているし、庭の手入れもしっかりされています。しかしながら、40年前のような子どもが遊び回っている状態は無く、高齢者が犬と散歩していて、小学校は廃校になり、街の中心にあるスーパーマーケットの撤退が心配されているといったことが起きています。開発から40年経って、人口は6割ぐらい、高齢人口割合は恐らく40%台ぐらいになっているのではないでしょうか。

ただ、これが最終形ではありません。今、高齢者の平均寿命が80歳や90歳まで伸びています。そうすると、70歳でも、あと10年、20年は生きることになり、しかも夫婦のどちらかが最後まで住むことになると、少しずつ入れ替わりが起きるぐらいしか進みません。この広大な住宅地で大規模な再開発みたいなものは起きないし、少しずつ建て替わったり、入れ替わったりする状態が続くのだろうと思います。

 中村委員:地域がスカスカという意味と、人口や世帯数の減少というのは必ずしも同期していません。世帯数はそれほど変わりません。つまり、人口と「夫婦のみ世帯」のピークが「65歳から69歳」のところから高齢側にシフトして増えるという質的な変化という視点で捉えておかなければいけません。スカスカというのは、人口が減少してしまい、空き家が増えるというイメージではないと思います。

 大江教授:空き家は増えますが、人口が減った分だけ空き家になるわけでありません。4人暮らしが30年経って子どもが独立して2人暮らしになり、夫が死別して1人暮らしになって住宅の居住者が4分の1に減ったとしても、住宅はそのままというイメージの方が正しいと思います。

 山本委員:神奈川県の場合、5つの地域ごとに世帯の類型の変化に差があるのでしょうか。

 大江教授:5地域の世帯推計はしていませんが、違いはあると思います。例えば、「夫婦と子からなる世帯」の場合、全国的にはかなり以前から少しずつ減少していますが、神奈川県はそうでない状態にあります。「その他の一般世帯」では、おそらく6割から7割が3世代世帯で、その割合が、横浜や川崎と県西地域ではかなりの差があると思います。また、「夫婦と子からなる世帯」では、夫婦と成長期の子どもというケースと、今まで、あまりイメージしていなかった高齢夫婦と未婚の子どもというケースがだんだん増えていく傾向にあります。どのようになっているは、まだ十分認識していないのですが、地域差はあると思います。

 池本委員:女性の寿命が長いので、女性の方が多いとは思いますが、単独世帯の増加について男女比はどのような感じですか。

 大江教授:死別による単独世帯については、圧倒的に女性が多く、男性は少ないです。これは、寿命の差と結婚の年齢差という両方が効いています。例えば、女性の単独世帯のグラフでは、高齢期でかなり上昇するようになっていますが、男性の単独世帯では高齢期の上昇が女性に比べると緩やかになっているため、単独世帯における男女比の推移では、女性の比率の方が少しずつ上がっていくという傾向にあると思います。

 池本委員:この増加分は、男性で増えるのか、それとも女性で増えるのでしょうか。

 大江教授:高齢期における男女の違いを考えれば、女性の寄与の方が大きいだろうと思います。年金が十分にない状態の女性の高齢者は単独で暮らすことができず、子どもの世帯に入っていたという状況が改善され、家計を独立できるようになったことが女性の単独世帯の増加に寄与しているのです。単独であることが、孤独であるとか、孤立死を招くとか、ネガティブな面で捉えられていますが、女性が一人で高齢期を暮らせるような資産を持てるようになったことは、ポジティブに評価して良いところだと思います。増加分に占める男女の割合でいえば、たぶん女性の方が大きいと思いますが、それがさらに大きく変化する方向にあるのかどうかは、データを確かめないと分かりません。

 竹中委員:老年人口の65歳以上でも、すごく元気な人たちが増えていますが、その人たちが増えていくと世の中が暗くなってしまうように誤解されてしまうことが問題だと思います。

 大江教授:客観的な事実として、日本全体の高齢者人口は、2010年の国勢調査時点では3,000万人弱でしたが、今はもう3,000万人を超えていて、2040年代の前半に3,800万人ぐらいでピークになるという見通しです。その内訳を前期高齢者と後期高齢者に分けると、2010年では後期高齢者の割合は50%をやや下回っている状況ですが、団塊世代が入ってくると一旦上がって、第二次ベビーブーム世代が入ってくると70%ぐらいになります。

2012年4月時点のデータを使って計算したところでは、後期高齢者のうち、30%近くは要支援・要介護の状態ですが、前期高齢者では4.3%と発生確率はかなり違っています。65歳から74歳の前期高齢者は、身体的にも元気で働く意欲もあるので、どのように生産側に入ってもらうかが大事なテーマであると思います。

 竹中委員:統計には色々な要素を勘案していると思うのですが、例えば、少子化をもっと緩やかにするとか、少しトレンドが変わってくるような要素はあるのでしょうか。

 大江教授:どこがコントロール可能な政策変数になり得るかということでしょうか。一つは、海外からの流入は政策的にコントロールできる部分だと思います。ただ、5、6年前に国連が推計したところでは、生産年齢人口を減らさないためには毎年60万人の受け入れが必要で、それをすぐに実行するのは非常に難しいのです。また、アメリカの場合は移民の出生力が高く、たくさんの子どもを産みますが、日本の場合は国際結婚による子どもの数が少ないというデータがあり、様々な社会制度の部分を整備しないと、外国人を受け入れても、出生数に結びつかないという問題もあって、簡単に改善できない政策変数も含まれているのではないかと思います。

 江口部会長:大江先生、貴重な発表をしていただき、ありがとうございました。

それでは、議題1「新たな政策課題について」に移りたいと思います。まず、事務局より資料の説明をお願いします。

議題 「新たな政策課題」について

《資料「社会環境の変化に伴う新たな政策課題 骨子(案)」、参考資料1「新たな政策課題に関するデータ集」、参考資料2「時代の先端に係る政策課題について」、参考資料3「新たな政策課題の整理について」、参考資料4「評価報告書2012の作成時における委員からの意見」を事務局から説明。》

 江口部会長:ありがとうございました。まず、社会的環境の変化における「近年の社会の動き」についてご意見等をいただきたいと思います。これに関して、本日ご欠席の岡谷委員からのご意見を事務局から読み上げていただけますか。

 鈴木副課長:岡谷委員から、社会環境の変化に対する「1 少子化、高齢化と人口減少」について意見をいただいています。「高齢化の加速、世帯構造の変化という事項が記載されていますが、神奈川県は今後急激に後期高齢者が増えていきます。多くの方が亡くなる多死ということを取り上げておく必要があると思います。また、これに関連して、在宅医療だけでなく、老化によって亡くなっていく人たちの看取りをどうするかは重要な課題になるのではないでしょうか。多死と看取りを追加事項として提案します。」以上です。

 江口部会長:ありがとうございました。在宅の看取りは、「5 くらしの様々な変化」の「近年の社会の動き」にある、在宅医療・在宅介護の必要性の増加に関連する意見になると思います。他にご意見をいただきたいと思います。

 三井委員:神奈川県は、国際化の中で非常に可能性を持っていて、アドバンテージもあります。一つ注目できることとして、2015年の市場統合に向けてASEAN諸国の動きが活発になっているため、東アジア・東南アジア・南アジア含めたアジア圏における日本の経済や産業が、2015年をきっかけにはっきりしてくるのではないでしょうか。そういう意味で、2015年のASEAN市場統合というのは一つの大きな社会環境の変化であり、同時に国内や県内においても国際的な人材が入ってくるため、人口減少という問題にも間接的に係わる部分です。この1、2年、従来からの中国・韓国系だけでなく、ASEAN諸国の大勢の人たちが、観光だけでなく、仕事や学校にも入って来ます。そういうことを踏まえると、2015年のASEAN市場統合とそれに伴う東アジア圏の経済環境の変化は注目していいのではないでしょうか。

 齋藤委員:SNSの進展は「2 国際化と情報化」に入っていますが、若者がSNSにはまってしまい、閉ざされた空間の中で、いじめなどの問題が起きています。そういう若者のSNSやインターネットへの依存が課題ではないかと考えます。

また、生活保護受給者の増加や受給額の削減、来年4月からの消費税8%の導入で社会にますます格差が広がっている中で、ネグレクト(育児放棄)や行路死(路上や公園等で、病気や寒さでの行き倒れ死)まで発展してしまうことがあります。密閉空間で見えにくいし、取り返しのつかない悲惨な事件が続出していますが、これは子育てする能力が無くなってきているからではないでしょうか。

それから、神奈川県が取り上げることはなかなかできないとは思いますが、震災復興は、「5 くらしの様々な変化」の「近年の社会の動き」のところに入れておいた方が良いと思います。

 江口部会長:震災復興は、今までなかったのでしょうか。

 鈴木副課長:「かながわグランドデザイン基本構想」の48ページをご覧ください。神奈川県では、震災による被害が東北3県と比べて大きくありませんが、48ページにある「災害から身を守る意識の高まり」の中で、帰宅困難者の対応や、地震防災対策の抜本的な見直しといったものを掲げさせていただいています。

 江口部会長:今のご意見で、ネグレクトは子育てする能力の低下が招いたというご意見でしょうか。

 齋藤委員:少子化と言われますが、育てる力が不足していて、せっかく子どもを授かっても命を落としてしまうこともあり、それは氷山の一角にすぎません。

 山本委員:インフラの維持管理や老朽化への対応をどのように考えていかれるのでしょうか。参考資料1の19ページや20ページにはそれに関するデータが示されていますが、資料では、「県土・まちづくり」の留意すべき事項(例)に社会資本が触れられているだけで非常に気になりました。高齢化と人口減少を考えると、民間の維持管理の仕方や、新しく作るインフラも考えるべきです。過渡期な財政基盤の中で、すべてのインフラを同じように整備していくのではなく、優先すべきものと、そうでないものに順位をつけていくことも考えるべきではないかと思います。

 江口部会長:インフラの維持管理については、県として求められる対応ということですか。

 山本委員:そうです。

 矢野委員:「5 くらしの様々な変化」に関してですが、男女共同参画の進展といいながら、必ずしもそういう感じではありませんので、女性の潜在的能力を引き出すべきです。齋藤委員からネグレクトの話がありましたが、ネグレクトを受けた女性がDVの被害に遭っているデータもあります。

それから、神奈川県は、非常に少量多品目の農業生産県なので、そのあたりの打ち出しが少し弱いのではないでしょうか。

 植松委員:公共施設白書は、基礎自治体に作成義務がないので、全国のすべての基礎自治体で作成していませんが、県内の幾つかの市では、将来的に財政が貧窮すること想定して30年後までにかかる公共施設のコストなどのシミュレーションを実施しています。将来的には、住民も関与しながら公共施設の統廃合などの意思決定をすることも考えられるため、公共施設の老朽化については神奈川県下の自治体でも推計が必要ではないでしょうか。

また、国税庁が平成24年度における民間給与の統計を発表しています。その中では、正社員の平均給与が467.6万円、非正規雇用が168万円となっていますが、このギャップをどう考えるべきでしょうか。近年の社会の動きを反映して、非正規雇用の割合も10年間で30%から36%に増加しており、3人に1人が非正規雇用という現状について、神奈川県としての考え方を記載すべきではないかと思います。

最後に「2 国際化と情報化」の中に、ビッグデータの活用と個人情報の漏洩リスクが併記されていますが、ビッグデータは大量のデータを扱うので漏洩リスクが比例するという意味でしょうか。そうであれば、SNSの進展やオープンガバメントといった他にも考慮すべき項目があると思いますので、併記した意味を確認させてください。

 江口部会長:まず、基礎自治体の公共施設白書は、近年の社会の動きというよりも今後の留意すべき事項へのご意見ですか。

 植松委員:公共施設の老朽化については、今後30年後までのデータを神奈川県として取ってくださいということです。将来的にどのくらいのコストが掛かるのか分かるはずです。

 江口部会長:それは、市町村レベルではないのですか。

 植松委員:広域という意味です。例えば、地域によって人口の構成が変わると、必要となる施設のあり方やインフラに掛けられるコストの視点が違ってくるはずです。

 江口部会長:基本的には、基礎自治体が取ったデータを県がまとめるというイメージですか。

 植松委員:基礎自治体の法定義務ではありませんので、実施している自治体としていない自治体があります。そういった中で、実施していない自治体について、基礎自治体レベルで考えるべきなのか、広域レベルで考えるべきなのかを検討する必要があるのではないでしょうか。

 江口部会長:どこまで市町村に義務付けられるかという、別の問題はあると思います。それから、個人情報の漏洩リスクを併記している点についてですが、事務局から補足的な説明はありますか。

 鈴木副課長:県民の中には、ビッグデータを活用されることに社会的な不安を持つ方も多いと考え、こういう形で整理させていただきました。「かながわグランドデザイン」でも、インターネット環境を悪用した犯罪の増加や個人情報の漏洩が問題となっていますが、ビッグデータということで併記したわけではありません。

 植松委員:オープンガバメントやガバメント2.0というのは、項目として何か考慮されているのでしょうか。

 江口部会長:オープンガバメントとは何ですか。

 植松委員:国や自治体などのデータをオープンにして、住民が利活用できるようするという考え方です。

 江口部会長:それは、情報公開ではないのですか。

 植松委員:情報公開とは制度設計が違います。オープンガバメントについて、県としての考えを入れていただきたいと思います。

 髙橋委員:「5 くらしの様々な変化」の中の「在宅医療・在宅介護の必要性の増加」に関係しますが、在宅医療を進めるにあたっては医師が絶対的に必要です。神奈川県内には、公立大学が1校、私立大学が3校ありますが、修学資金という形で医師をしっかり確保するなど、地元に根ざした医療を志すような働きかけがないと、在宅医療が定着するのは難しいのではないでしょうか。

それから、在宅医療を進めるにあたり、自治体では保健師が現状把握を行うと思いますが、実際は非正規職員の保健師を雇っている自治体が多いと聞きます。そういった専門職を1年限りの非正規職員で雇用していて、質の高い在宅医療の基盤を形成することができるのか、そういう点が課題ではないかと思っています。

 江口部会長:医師の確保の問題は地域によって違っていて、都市部はあまり不足していないと思います。ご指摘の問題は過疎地が典型的ですが、神奈川県は医師不足の状況はありますか。

 総合政策課:地域の偏在はありますが、他県と比べて相対的に悪くない状況です。

 江口部会長:都市部の横浜や川崎は問題なく、むしろ、県西地域や三浦半島が問題だと思います。

 総合政策課:あとは診療科の偏在という問題があります。

 江口部会長:それは大きな問題だと思います。そういう意味では、医師の確保は留意すべきですが、今後精査する必要はあると思います。また、保健師の正規雇用化はご指摘のとおりですが、実際に雇用するのは市町村で、市町村の財政事情などもありますので、どこまでお願いできるかという問題はあると思います。

 中村委員:情報や情報技術については、その時代の流行を記載する傾向にあります。前回はユビキタスという言葉が入っていて、今回もSNSやビッグデータという言葉が入っています。まず、ソーシャルネットワークを中心としたインターネットサービス、いわゆるインターネットによるコミュニケーションサービスを使うことは間違いありませんが、技術的にはどんどん変化するので、SNSだけが問題ではないことから、あまり狭い範囲で物を考えない方がいいと思います。例えば、ここ1、2年で急速に増えているのが、単身世帯の増加とともにネットショッピングがあります。「2 国際化や情報化」で考えるべきなのか「5 くらしの様々な変化」で考えるべきなのかということはありますが、明らかにサービスや運搬等を含めたインフラをインターネットや情報技術が担ってきているということを再認識する視点が大事だと思います。あまり取り立ててビッグデータと騒ぐと、3年後くらいに何だったのかということになりますので、少し慎重に扱いたいと思います。

それから、植松委員と全く同じですが、個人情報とビッグデータは切り離すべき問題で、さらに言えば、オープンガバメントも情報公開で考えなければならない問題なので、あまり流行に流される必要はないと思います。ただ、20年前は絵に描いた餅だったものが、かなり食べられる餅に変わってきていますので、情報化の議論はしっかりとしておくべきです。

もう一つとしては、「情報格差」があります。情報格差の拡大あるいは障害者・高齢者の増加で、アクセシビリティ(近づきやすさ)というものについて改めて考える必要があります。これは国だけではなく、国連やEUにおいても関連する法や条約を整備しており、障害者権利条約でも原文で触れられています。神奈川県では約23年前に策定した「かながわ情報プラン」の中に、情報格差やアクセシビリティへの対応が提案されていますが、実現には至っていません。資料には「SNSの利用拡大への対応」とありますが、そういう幅の狭い話よりも、ネットワークに基づくサービスを前提とした社会への対応をどうしていくのかについて考えていくのが良いと思います。当時のプランでは、「情報環境アセスメント」という言葉が提案されているので、もう一度、そういう考え方を掘り起こすことも必要ではないでしょうか。

 江口部会長:そろそろ時間もなくなってきていますので、今までは「近年の社会の動き」についてのご意見をいただきましたが、そういった動きを踏まえた「県として求められる対応」にある「留意すべき事項」についてのご意見をいただければと思います。

 竹中委員:資料の構成が「かながわグランドデザイン」をベースに、社会環境の変化や新たな視点、県として求められる対応ということであれば、あまりドラスティックな展開にならず、対応は微修正になってしまいます。「基本的な視点」の部分をしっかり検討して、社会環境の変化を捉えつつ、これからの計画に生かす必要があるのではないでしょうか。

TPPへの参加は、大きなグローバル経済の展開をどのように捉えながら、今後日本や神奈川県がプラスに持っていくのかといった議論です。捉え方によっては、TPPに入るのかどうかの矮小化した議論になってしまうため、そのワーディング(言葉遣い)は非常に重要です。

もう一つ、男女共同参画の話ですが、女性という主体をどのようにしていくかということは、神奈川県として大きな課題となってくると思います。

最後に「道州制議論の活発化」は、今後どのようになるか分かりません。活発化としてしまうと、そうした傾向が続くという意味になってしまうため、現実的に起こったことだけにするべきです。

 江口部会長:「かながわグランドデザイン 実施計画」の計画期間は平成26年度までとなっています。基本的な視点のような部分は、次の計画に繋がっていくものと理解しています。

 山本委員:エネルギーと環境について、環境汚染や海洋汚染などはありますが、他国からの環境影響も留意する必要があります。

池本委員:男女共同参画の部分で、「女性活躍支援」という世界の動きに対して日本が大きく取り残されていますので、その言葉を強調していただきたいと思います。これに係わる保育の問題や待機児童も国が解消化プランを出しましたので、神奈川県も保育の問題はかなり大きなテーマになってくると思います。

もう一つ、海外との比較では、「子どもの権利」に関する意識が非常に低いことが明らかになっています。欧米のほか、おとなりの韓国でも、子どもの権利がきちんと守られているかをモニターする機関を設置していて、日本にだけないのが実態です。昨年からいじめや体罰について深刻な状況になっていますので、子どもの権利や福祉をしっかり保障するという視点をどこかに入れていただきたいと思います。

 中村委員:家族形態の変化が、最近大きくクローズアップされています。女性や子育ての問題とも関わってくるので、家族形態の変化をどこかに入れた方が良いと思います。

 江口部会長:「近年の社会の動き」にある「世帯構造の変化」に家族形態の変化を加えることになります。他に留意すべき事項はありますか。

 三井委員:県としては、規制緩和や企業誘致だけを打ち上げただけなので、もっと積極的にロボット特区などを示していただくことは大事なことです。財政事情が厳しく色々な事はできないと思いますが、ある程度見えるものを出していただきたいと思います。

 中村委員:「多様な就労形態」が出てきていないような気がします。テレワーキングなど、幾つかの社会の動きは分析していますが、それ踏まえた対応が無いように感じます。高齢者や障害者も含めた多様な就労形態を考えていかなければなりません。

 江口部会長:雇用の問題として、「多様な就労形態」への対応が留意事項に入ってきても良いと思います。

 竹中委員:実施計画でやってきた政策の評価をどこに入れるのでしょうか。

 江口部会長:それは夏までに過去の評価をした上で、今回はさらに新しい変化や留意事項について議論しています。

 竹中委員:今まではプラスか、あるいは足りなかったかをベンチマークで評価していましたが、それを入れた上で留意すべきなのでしょうか。

 江口部会長:今後の流れを説明した方が分かりやすいかも知れません。

 鈴木副課長:参考資料5「今後のスケジュール」をご覧ください。今年度の前半は、「かながわグランドデザイン」の評価を議論していただきました。来年度は現行計画の最終年度であるため、今年度の後半は、新たな取組みの方向や色々な課題を整理するということで、本日は骨子(案)をお示ししました。本日のご意見を踏まえた後、10月31日の総合計画審議会に骨子(案)を諮り、ご議論いただくことになります。その後、平成26年1月頃に計画推進評価部会を開催し、報告書(素案)をお示しさせていただいた上で、報告書(案)を3月上旬に部会へ、3月下旬には総合計画審議会へ出して、まとめていきたいと考えています。今までは、平成18年には「中長期的課題等将来ビジョン」を、直近では、平成22年3月に「社会環境の変化に伴う新たな政策課題について」をまとめさせていただきました。今回は色々な社会状況を踏まえて、今後の取組みの方向性をまとめ、次の総合計画に繋げていくものです。

総合計画をどうするかは、まだ決まっていませんが、次に向けて課題を整理しておくことも必要なため、今回はこのような形で作業を進めさせていただくものです。

 江口部会長:全体の大まかな流れはよろしいでしょうか。時間も過ぎていますので、これだけは発言したいという方がいられればお願いします。

 齋藤委員:農業が産業や労働だけでなくて、環境やまちづくりのところと有機的なつながりを持てるような試みを入れていただきたいと思います。

 江口部会長:大変恐縮ですが、まとめに入らせていただきたいと思います。本日のご議論については、10月31日の総合計画審議会に私からご報告させていただきます。委員の皆さんからいただいたご意見については、私の方で預からせていただき、事務局と調整しながら総合計画審議会に向けて修正したいと思います。

大江先生におかれましては、ご多忙の中、当部会へご出席をしていただき、ありがとうございました。改めてお礼申し上げたいと思います。

本日は、これで終了させていただきます。どうも皆様ありがとうございました。

会議資料

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