ホーム > 電子県庁・県政運営・県勢 > 県政情報 > 総合計画 > 総合計画に関する審議会 > 第107回神奈川県総合計画審議会 審議結果

更新日:2018年8月27日

ここから本文です。

第107回神奈川県総合計画審議会 審議結果

第107回神奈川県総合計画審議会の審議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 第107回神奈川県総合計画審議会
開催日時

平成24年11月26日(月曜日)14時00分~15時30分

開催場所

産業貿易センター 7階 720号室

出席者

金澤一郎、○江口隆裕、○斎藤聖美、牛山久仁彦、大賀圭治、大久保一郎、金子勝、川名和美、中井検裕、広瀬研吉、篠原正治、角野てい子、宮澤泰隆、植松正博、齋藤文子、内野優、飯田誠、近藤大輔、谷口かずふみ〔計19名〕(順不同)(◎会長、○副会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

所属名 政策局総合政策部総合政策課 担当者名 新井

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過

(事務局が委員数30名に対し、この時点で18名の出席を確認し、半数を超えるため、審議会が成立する旨発言。)

 

1 開会

 金澤会長:それでは、第107回総合計画審議会を開催します。最初に、当審議会に初めて出席される委員のご紹介をさせていただきます。おそれ入りますが、紹介された方はご起立をお願いいたします。中井検裕委員です。篠原正治委員です。牛山久仁彦委員です。

 

2 議事

議題 「かながわグランドデザイン」の評価について

 金澤会長:それでは議事に入りたいと思います。今日は議題と報告事項がそれぞれ一つずつございます。最初は議題の「かながわグランドデザイン」の評価についてでございます。ご承知と思いますが、県では3月に策定されました新しい総合計画に基づいて、県政の推進を図っておられるところですけれども、今後はこの計画の進行管理が課題になってくると思います。そこで今後の政策評価のあり方などにつきまして、先日11月12日の月曜日に計画推進評価部会でご検討いただいておりますので、審議に先立ちまして、部会長であります江口副会長から審議の内容等について、ご報告いただきたいと思います。

 江口副会長:部会長の江口でございます。よろしくお願いいたします。

神奈川県では平成24年3月に、総合計画である「かながわグランドデザイン」を策定いたしましたが、私ども計画推進評価部会では、新たな総合計画が策定されるたびに、計画の進行管理のあり方について、審議会へ提言を行ってきた経緯がございます。また、平成21年3月に施行された県の自治基本条例でも、県の総合計画に定める政策の実施状況の公表に併せて、政策評価の実施・公表と政策立案への反映などに努めることが義務付けられております。このため、部会では、今後の計画の進行管理のあり方を整理いたしました。お手元の資料1は、本年6月から11月までの間に、部会において議論した内容をまとめたものでございます。

まず、事務局から資料を説明いただき、その後、私から若干のコメントを加えたいと思います。

(資料1に基づき、事務局説明)

 江口副会長:それでは、私から部会で行われた議論について、補足させていただきたいと思います。お手元の資料の5ページ以降に「評価のあり方」がありますが、その中の、「評価の内容について」、「評価結果の公表について」、それから「県民の意見について」、といった項目に関して、熱心な議論がありました。

まず、5ページの「評価の内容について」でございますが、これは事務局からも説明がありましたように、従来のABCD評価というものが、プロジェクト全体の評価であるような受け止め方をされる傾向が見られた、との反省に立った上で、プロジェクトを一律の尺度でランク分けするのではなく、社会環境の変化を示す統計データなどを併用した評価を行うなどの改善を図りたい、と記載しております。この点について、部会では、「評価の客観性や透明性の確保がまず大切であり、常に変化していく社会の動向についてデータを付記しながら、開かれた形で色々な方々の御意見を聞き、見直していくという姿勢が重要」といったご意見がございました。

他方、ABCDという形式の評価については、「分かりやすさという点では優れている」というご意見が出ました。これにつきましては、そもそも、数値目標だけではプロジェクト全体の成果を十分に評価することは難しいので、そこを踏まえた上で、ABCDという形の評価をどう考えるか、多角的な評価というものをどう担保していくか、これは5ページにあります、「総合分析」にどういう形で工夫できるかということだろうと思っています。

続きまして、6ページの「評価結果の公表について」でございますが、これは評価を一般向けのパンフレット、つまり概要版で広く公表していくことについて、「難しい内容を単に簡単に示すというだけでは工夫が足りない。もう少し工夫が必要である」といったご意見が出されました。この点は、パンフレットの役割をどう捉えていくか、実際の公表内容を整理する作業の中で考えていく必要があると思います。

同じページの「県民の意見について」でございますが、県民の意見をどう聴いていくか、という点について、様々なご意見をいただきました。主な意見は、子どもの意見をどう把握していくかということや、ソーシャルネットワークをどう活用するか、といったものです。

まず、子どもの権利条約等を踏まえた意見として、「教育や保育などにおいて、子どもの意見をどう聴いていくのか、もっと積極的な対応が必要ではないか」との問題提起がございました。また、どのような「子ども」を対象にすべきか、という点に関しては、「いわゆる優等生的な子どもの意見ばかりでなく、いじめを受けた子どもや、外国籍の子ども、養護施設にいる子ども、ハンディキャップのある子どもなど、一般に県から意見を募集してもなかなか出てこないような子どもたちの意見を聞いていくことが重要」との意見がありました。

これらの議論については、いわゆる「声なき声」をどのように聴いていくか、という基本的な問題もありますし、単なる誘導にならないかなど、といった問題もあると思います。基本的には、行政の各現場で関係者の意見を把握していくことにはなると思いますが、部会においても、どのような手法が可能か、今後の課題として考えていきたいと思います。

なお、県民の意見を把握する方法については、「行政が場を設けて、そこで県民の意見を聴くという、従来型のものから発想を転換して、県民・若者が集まるイベントに出かけて意見を聴いていくなど、県民の実感を大切にするようなやり方の工夫が必要」との意見もありました。

それから、この県民意見の把握の方法については、比較的新しいツールとして、フェイスブックなどのソーシャルネットワークを活用することが考えられるわけですが、これについては、「面と向かってよりもソーシャルネットワークの方が発言しやすい人たちが確かにいるので、こうしたツールで多様な意見を聴くことができる」との意見がありました。

ただ、ソーシャルネットワークは、すべての年代に幅広く普及したツールではないことも事実で、この点に関しては、「利用者が限定されているということをしっかり押さえておく必要がある」、「デジタルデバイドを考慮し、どの程度の年齢層が使っているかも踏まえて、数あるSNSのうち1つの手段だけでなく、複数の補完的な手段を用意することが必要」との意見がありました。

他方で、「SNSの運営にはコストや手間がかかるので、実現可能性も考慮しながら検討することが必要」との意見や、「匿名性が高いと意見そのものが無責任になるので、SNSはフェイスブックなどに限定してよいのではないか」との意見がありました。

まとめとしては、「総合計画について意見を聴く人々には、そのコミュニケーションの特性により様々なグループがあり、そのグループによって、こちらが使うメディアと方法を変えていく必要がある」ことや、「かけられるコストや時間、人的資源などを見た上で、少なくとも複数の手段を用意しておくことが大切で、その際にはできるだけ既存のしくみを活用すればよい」という意見が出ておりました。 

以上、簡単ではございますが、部会での議論をご紹介させていただきました。

 金澤会長:短期間でこれだけきちんとまとめていただいたことに感謝を申し上げます。部会委員の方々にもよろしくお伝えいただきたいと思います。それでは只今のご報告に関して、ご意見のある方は挙手いただけますでしょうか。

 近藤委員:県民意見の募集でSNSを使うのは非常にいいことだと思います。今までホームページ等で奮闘されてきた姿は承知していますが、県政への関心を喚起するべきです。利用者が限定されているという話もありますが、それでも私はやるべきだと思います。事務的な問題やコストの問題もありますが、他の手段と比べた時に、これ以上に効率的・効果的なやり方はなかなかないと思うのです。フェイスブックのように情報を一方通行でなく相互通行にしないといけないと思います。そして、意見に対してコメントを返すことにより、より理解を深めることが必要です。そのためには、コストというよりも人的な配置が必要になると思いますが、人的配置についてどんなことが考えられるのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:基本的にフェイスブックなどのSNSによる双方向のやり取りをする場合には、即時性が非常に重要だと思いますが、県政に対するご意見やご提言、ご質問等をいただいた場合には、なかなか即時性の確保が難しいのが現状です。SNSは、主に発信に活用させていただいて、やり取りについては、ある程度従来型のやり方を活用していければと考えております。

 近藤委員:繰り返しになりますが、発信や共有以外にも色々な副次的な効果が生まれてきますので、なるべくできることからやっていただけたらと思います。併せて言うならば、フェイスブックとホームページと紙媒体の相互連携も検討していただければ、今までやってきた紙媒体の取り組み方も変わってくると思います。

 江原政策局長:SNSは即時性が重要ですが、もう一つ、意見を言いやすくなるという側面もございます。行政の場合は、それなりに調整した上で回答するため、即応というのはなかなか難しいのですが、「いつまでに回答します」というクイックレスポンスはこれまでもやっております。これだけでも全然違いますので、その程度であれば十分できる可能性があります。いずれにしても、色々な意見をいただけるよう、色々なツールを用意するべきだと考えております。

 角野委員:「神奈川力構想」の時には、ABCDできちんと評価が出たので、非常に分かりやすかったと思います。その評価で全体像が推し量られてしまうと言われますが、私の身近なところでは、数値でABCDを出してもらうと、よく分かるという話も出ていました。今回、他の社会的な要因や他の都道府県との比較などを評価の中に入れていくと、少し後退するのではないかという懸念を抱きますが、いかがでしょうか。

 江口副会長:従来のABCD評価がわかりやすいというご意見は部会においてもありました。ただ、目標値をABCDで評価しますと、ある程度達成可能な目標値になりやすいということもあり、設定自体の妥当性に限界があります。したがって、私どもとしては、そういった評価を全く捨ててしまうのではなく、ABCDというランク分けのみでプロジェクト全体が評価されてしまうという誤解を生まないような工夫をしていこうということで、まとめたものでございます。

 角野委員:部会長の言われたとおり、目標値の設定は非常に難しいと思いますが、Aになれば、そこまでは達成できたという安心感はあると思います。

 広瀬委員:9つのすばらしい神奈川モデルに取り組まれるわけですが、これは神奈川県が全国に先駆けて実施するリーディングプロジェクトであります。その進捗状況については、全国の自治体にできるだけ広く知ってもらうしくみにしていただけないかと思います。それによって県民の関心も一層高まると思います。

 内野委員:4ページの「(3)評価の実施主体」には「県の事業部局による一次評価を行い」という記載がありますが、事業実施部局自らが評価するのか、それとも評価委員会などの内部組織で評価するのか、どちらなのでしょうか。

もう一つ、評価の実施時期について「事業実施年度終了後に評価を行い、6月頃に公表することが適当」、評価に当たっては「他都道府県との比較などの視点も取り入れることが適当」ということが、4ページと6ページに記載されていますが、事業実施年度終了直後に他都道府県の数値を取得できるものでしょうか。また、実施計画の内容をみると、市町村と一緒に実施しているものが多くなっています。県単独で実施しているものであれば、事業実施年度終了直後に評価を実施することもできると思いますが、県と市町村が一緒に実施しているものについて市町村の状況を把握しようとしても、この時期、市町村は統計報告の膨大な資料作成に追われているため、数値の取得が難しいと思いますが、どのような工夫を考えられているのでしょうか。

 藤澤総合政策課長:まず、一次評価のやり方についてですが、これまでの神奈川力構想の評価と同じ手法で、事業実施部局が自ら評価することになります。

次に、評価については、できる限り既存のデータを使用することを想定しており、各市町村に改めてデータ作成するようなご負担をおかけすることは想定していません。また、データについては、必ずしも年度終了をもって整理されるデータばかりではなく、暦年で整理されるものなど、様々なデータがあります。それまでのトレンドや直近のデータが把握された時点での課題などを総合的に把握しながら整理をしていきたいと考えています。

 内野委員:海老名市の総合計画では「実施計画」の計画期間を1年としています。これは計画と財政の関係を見える化させるためです。「かながわグランドデザイン 実施計画」で実施する内容を細かく見ていくと「推進」や「支援」という表現となっているため、具体的に評価するのはとても難しいと思います。そのため、27のプロジェクト全てを評価するのではなく、例えば「今年は3つで来年は4つ」などと決めて、重点的に評価していった方がよいと思います。プロジェクト全てを県が実施しているのであれば評価は可能だと思いますが、市町村などと一緒に実施しているものについては、評価が難しいのではないでしょうか。

 江口副会長:貴重な意見をありがとうございます。計画の評価については、資料1の3ページから4ページにある「2 これまでの計画の進行管理手法と課題」で記載のとおり、試行錯誤を繰り返してきています。ご提案のように、27プロジェクトの中から重点的に指定したプロジェクトの評価を行っていくという考え方もあると思いますが、例えば3つずつですと、全てのプロジェクトを評価するのに9年間かかってしまうとか、この3つのプロジェクトをどうして選択したのかといった反論がおそらく出てくると思います。他方では、「評価は重要であるが、こういう厳しい財政状況の時代に、評価に対して人とお金をあまりかけるのはよいのか」という議論があるのも事実です。そういったことも踏まえてのご提案だと思いますので、今後、部会でも議論していきたいと思います。

 金澤会長:他にありますでしょうか。

 大賀委員:数値目標を示してABCDといった形で評価することは、大きな前進であったと思います。数値目標という単純にわかりやすいものと、それを補完する程度の記載にすることによって、評価が明確になっています。評価を総合的な表現にしてしまうと、何を評価しているのかわからない状況になったり、自己評価をする事業部局が高い評価となる実績ばかりを記載してしまう懸念があるため、ABCDのランク付けを柱としてしっかりとやったほうがよいと思います。

事業の評価において工夫するのであれば、可能な限り数値目標の中で相対的な示し方をすればよいのではないでしょうか。例えば、47都道府県における順位などを示せば、自己評価のチェックになるとともに、推移で見ることができてわかりやすい。とにかく、「わかりやすい」ということが大切だと思います。

 金子委員:まず、3ページの「これまでの計画の進行管理手法と課題」についてですが、(1)、(2)、(3)の関係が矛盾しているように受け止められます。

次に、評価の手法についてですが、今までは、県議会、県知事、市町村との調整で、県が集約して我々のような審議会に評価してもらう、というプロセスがとられていました。しかし、フェイスブックを導入して県民の意見を募集することにより、直接、住民の要求や要望を反映するしくみを組み込んだ方がよいということが、先ほどの近藤委員の意見だと思います。目標の設定についていえば、神奈川県で政策目標を立てる時は、ニーズの指標をあげる必要があると思います。例えば、独居老人の現状やニーズに対して医療関係が整っていないという現状があるのだとすれば、医療環境を整える指標を立てて、それを克服するための取組みをやっていくべきです。ニーズがあるものを指標に設定して達成への経路を説明することで皆が納得するようになります。つまり、ニーズの指標に対して、県がどういう役割をしているのかについて、実施結果と効果を説明することになります。それに関して、我々のみならず一般の方々がチェックして、意見が反映されて課題解決のための検討がされるような循環ができないと、目標に対する信頼感がなかなか得られないと思います。そうしたプロセスを踏むのは大変ですが、目標値をわかりやすくするためにはそれだけの手順を踏まないと、なかなかインパクトがあるものはできないと思います。

 斎藤副会長:私からは二つ意見があります。まず、子どもの意見を聴くべきだというご意見が部会で出たということを伺いました。受益者の一部として、今まであまり機会が与えられていなかった子どもに眼を向けたということですが、子どもに限らず、色々な受益者の意見を聴くことは必要であろうと思いました。

また、この中で予算に関してもある程度書いていただきたいと思います。行政の費用対効果を考えるべきで、「こんなにお金を使っているのに、こんなことしかできていないのか」という判断を県民(納税者)はすると思います。納税者からすると、やはり自分たちのお金がどのように使われていくかというのは関心事でありますので、それについて何か書き添えていただければと思います。

 金澤会長:大変貴重なご意見ばかりですが、評価をしていく段階で、いただいた貴重なご意見を取り入れていくことになると思います。審議会としては計画推進評価部会の取りまとめをご了解いただいたということにさせていただいてよろしいでしょうか。

(異議なし)

 金澤会長:ありがとうございます。

 

 

報告事項 新たな政策課題について

 金澤会長:それでは、報告事項に移りたいと思います。新たな政策課題について事務局から資料のご説明をお願いします。

(資料2~3に基づき、事務局説明)

 金澤会長:江口副会長からご発言はありますか。

 江口副会長:若干の補足をさせていただきます。資料3にありますような検討項目について、部会で少し時間をかけて検討したいということです。部会では、慶應義塾大学の大江先生から「日本の人口推計を踏まえた神奈川の人口推計」について中間報告をしていただきました。ポイントを申し上げますと、従来は自然増がベースにあって、その上に社会増減がありましたが、人口減少社会の影響を受けて、神奈川も自然増がほぼゼロ、ないしはマイナスに近づいて、社会増減が人口に影響を与える時代になっています。これは言い方を変えれば、様々な政策や景気などが県の人口に影響を与え得るということになると思います。そういった意味で資料3の視点を整理していますが、今後の部会での検討に資するためにも皆さまからご意見を頂戴したいと思います。

 金澤会長:皆さん方から、率直なご意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

 齋藤委員:資料2の5ページ「(5) 教育・子育て」の部分ですが、これから神奈川県を元気にしていくためには、子どもたちの教育は非常に重要だと思っております。これは大きな政策課題ですので、各論に踏み込むことではないのですけれども、もう少し具体的な、踏み込んだ政策ができたらよいなと思います。部会で「かながわグランドデザイン」の評価を議論した際に、子どもたちの意見をどう聴くかという議論がありました。「意見を言ってくださいね」と色々なところに行って意見を聴くことはできると思いますが、子どもたちが意見を出していくという習慣や土壌が今までなかったと思うのです。子どもは「大人が作った社会だから」という感じで、あまり政策的なこととか、県政や市政に対して意見を言ってくるということが日本ではあまりなかったと思います。しばらく前にあった他県の試みですが、学校現場に大学が踏み込んで、歴史上の人物を候補者に仕立て上げて模擬選挙をやったことがあり、そこでの子どもたちの生き生きした様子が報道されていました。子どもは非常に色々な力を持っていますので、文部科学省の学習指導要領などがあるとは思うのですが、学校や県の裁量の中で、子どもをどのように教育していくかを、実施計画の中にでも入れていけたらと思いました。

 近藤委員:資料2の有識者のヒアリング結果について、非常に興味深く拝見させていただきました。おもしろい視点があるものだなと思った次第です。全体的なことなのですけれども、人口減少や高齢化により活力がなくなって地域が縮小に向かって鬱々とする、何となくぱっとしない方向性ばかりが記載されていて、何とも歯がゆいなと思っております。個人的な意見ですが、文化や芸術など、人間の生きがいや潤いなど、そういう視点が全くこの中に入っていないのです。私も既に人口減少になったり、活力がなくなったりしていく地域の事例を色々と見に行きました。新潟の越後妻有のトリエンナーレや群馬の中野条町のビエンナーレが特に印象に残っていますが、アート、文化芸術振興、地域おこし、地域コミュニティの再生など、今まであったものから視点を変えて、文化芸術でまちをおこすという非常によい取組みが色々と行われています。神奈川には、他のところよりも優れた地域資源がたくさんあると思いますが、既成の行政計画を抜け出せていないのではないかというのが私の率直な意見です。行政の直接的な取組みだけでなく、地域や市町村、NPOや住民団体などと協力する、新たな手法としての文化芸術、そういった視点があってもよいのではないかと思います。意見として申し上げておきます。

 江口副会長:文化芸術といった視点は部会ではございませんでしたので、ぜひ、こういったご意見を部会で紹介しながら、議論を進めていきたいと思います。

 広瀬委員:資料3の新たな政策課題の整理における「新たなコミュニティの創造」なのですが、例えばアメリカでは、高齢者が大学の図書館を利用したり大学で講義を受けたりして、色々な生きがいを得るコミュニティづくりがかなり活発になろうとしています。神奈川にも色々な大学等がありますので、今後、大学と高齢者コミュニティについても検討していただければと思います。

 内野委員:資料2の4ページにある「高齢者の位置づけの見直し」に係る有識者の意見についてですが、これはすごくよい意見だと思います。私も、65歳以上を一律に「高齢者」とする位置付けはおかしいと思います。65歳以上でも元気な方は多いので、神奈川県内の市町村と連携して変えていってもよいのではないでしょうか。

在宅介護や在宅医療について、市町村の現状から一言申し上げると、高齢者福祉施設に入りたい人と保育園に入りたい人の数はもう逆転していて、高齢者福祉施設に入りたい人は保育園に入りたい人の実質10倍くらいいます。ところが、在宅の人は貧弱なのです。課題解決に当たっては、そういったギャップを踏まえて具体的にどうするのかという話になるのです。地方の高齢者福祉施設に都市部から多くの入居者が流入してしまいます。視点としては、在宅がよいのか、施設介護がよいのか。これは在宅がよいと決めていますが、在宅のマンパワーは十分なのか。ヒアリング結果には非常によいことが書いてありますが、高齢者福祉施設を造れば在宅の数値が下がるのですから、そういった面で、現実のデータを分析して、各市町村や各地域が抱える課題を広域行政体の神奈川県としてどう関わっていくかという視点が必要だと思います。先ほどの文化芸術もそうです。市町村ではなかなかできないことでも県単位であればできるわけですから、それをしっかりやっていただくようお願いしたいと思います。

 江口副会長:貴重なご意見をどうもありがとうございました。私から一点、介護保険についてお話をしますと、介護保険の中に地域密着型サービスというものがあります。これは、当該市町村が指定を行うことができ、指定した効力は当該市町村の被保険者にだけ及ぶものです。つまり、地域密着型サービスで施設を作ると、他の市町村の人は当該施設に入れないということになります。今、おっしゃったように地域密着型サービスではない場合には、他の市町村の人が来る場合もありますが、地域密着型サービスのように地域の実情に応じた介護サービスのしくみができていますので、既存の制度の活用というものも考えられるのではないかと思います。

 中井委員:大変興味深く、有識者ヒアリングを拝見しました。説明にもありましたが、新たなコミュニティとして、地域に頼っていろいろなことを解決していこうというような考えが出てきているようです。しかし、現実的には、共助による課題解決力を期待できるところがどれくらいあるのか、かなり疑問のところがあります。すでに横浜市でも郊外に行けば、かなり空き家があり、またフードデザートといった場所も現れ始めています。地域コミュニティは市町村が中心に取組みをしているので、県の取組みとしてどういったことができるのかという観点で考えると、私は、市町村連携がその一つだと思います。資料にも外部資源の導入等についての記載があり、どのようにして連携の推進と外部の力をうまく取り込むかがポイントになると思います。ぜひ、県で、市町村の連携をうまく進めていくような取組みをしていただきたいと思います。

また、コミュニティのことや都市的土地利用の縮減といったことについては、感覚的には分かっているのですが、実態がどうなっているのか、よく分かっていません。先ほどのPDCAの議論のところにもありましたが、県がある程度のお金をつけて調査をするべきところはしないと、ピンポイントの政策は打てないのではないかと思います。その意味では、評価等には余りお金をかけたくないというようなご発言があったかも知れませんが、ピントが外れた指標を使うことで余計なお金がかかるよりは、しっかり市町村と協力して、実態を調べて、どういったところに取り組んでいけばよいかということを県の責任として把握し、計画的に実施していくことが大事なのではないかと思います。

 金子委員:9つの神奈川モデルのうち、知事が明確に公約していたのは、神奈川スマートエネルギー構想、医療・福祉、防災の分野だったと思います。それを踏まえて、有識者ヒアリングを読んでみると、産業集積や環境などの意見は割と古い発想のように思えます。おそらく医療のライフイノベーションも医療情報通信技術もスマートエネルギーも、中心となっている技術は「コンピューターの大容量化と高速化と小型化」で、「次世代ログ技術」なのです。横浜が経済産業省のスマートシティの指定を受け、川崎もバイオマスや太陽光など先端的なエネルギー分野をすでに集積し、スマート化の実験をやっています。スマート化は、不安定なエネルギーを中核で大量のデータと結びつけることによって成り立つしくみになっています。最近、衝突を避ける車が話題となっていますが、あれも次世代ログの技術を活用しています。要するに、単にデバイスを作っているのではなくて、ソフトやコンテンツと結びつけたものづくりというのが基本になっています。神奈川にはそういう企業も一部集積していますが、新しい技術開発や産業集積がどういう方向に向っていて、どのような人材を育てていくのかという、技術の進化に対する認識を持たないと産業戦略にならないと思うのです。太陽光パネルを何枚張りましたとか、電気自動車を何台買いましたとかは分かりやすい目標ですが、産業の進路がどちらに向っているかだと思います。例えば、医薬品がスパコンでシミュレーションを入れて薬作りする方向へ移り始めていますが、それとほとんど同じ新しい技術基盤なのです。人材づくりについても、かながわ国際ファンクラブなどを通じて技能を持った人たちを集めてくるとよいと思います。アメリカの社会学者であるフロリダという人が、知識社会で競争するアメニティーが強いところに競争力のある優秀な人材が集まってくると言っていますが、県庁内などに、新しい技術がどちらに向っていて、それをどのように育てていくのかという問題意識が出てくることによって、先端的な産業の集積につながるのだと思います。

もう一つ、健康・福祉に関して申し上げると、国民健康保険は市町村レベルで抱えていますが、面積ごととか人口ごとに病院が何個あればよいかという医療計画は県が立てています。本当に医療ニーズに合っているのかとか、市町村の役割に対して県はどう補っていくのかなど、役割分担に対するしっかりした立体的な計画を立てないと、実りのある計画にはならないと思うのです。そういう意味で、例えば、ICTを活用し患者と医療機関が情報を共有する「マイカルテ」を推進していく際に、川崎は東京と生活圏が重複するので本当に医療圏として有効に機能するのかとか、県と市町村が負っている役割と計画がずれていることによりもたらされている問題を具体的に解決していく方策が見えてくれば、納得性が増すのではないかと思います。医療もある程度のところで効率化していかなければなりません。全てのニーズに応えることはできないので、可能な限り応えられるような効率化はやっていく必要があります。市町村に対して県はどのような役割を負えばよいしくみができるのか、というところでも積極的なメッセージを出していけば、市町村も納得するし、多くの住民にとっても非常に便利なものができます。ただ、メッセージの発信を部会がやってしまってよいのでしょうか。

 金澤会長:いいと思いますが。

 金子委員:本来は多少でも政治家に何らかの方向性を示してもらわないといけないと思いますが、いきなり専門家がやっていいのでしょうか。そこのところの関係がよく分からないので、そういうことを説明して欲しいと思います。

 金澤会長:これから部会で議論していただくに当たり、大変貴重な意見をいただきました。新たな政策課題については、ただ今の色々なご意見を踏まえて、次回の部会においてもう一度しっかりと議論していただいて、いずれかの時点でお示しいただけると思います。それでは事務局から何かありますか。

 江原政策局長:本日は大変ご熱心な議論をしていただき誠にありがとうございました。本日ご審議いただいた「かながわグランドデザイン」の進行管理につきましては、概ねの方向は認めていただいたと考えております。今後、具体的な制度設計をしなければなりませんが、これは部会に諮りながらしっかりまとめていきたいと思います。また、新たな政策課題に関しては、もう少し時間をいただいて、よく議論して進めていく問題であると考えております。例えば今の医療計画の問題でも、部会に全てお願いするのではなく、あくまで県としての仕事のベースがありますので、そこのところは県できちんとやっていき、その中で、部会としてどのような提案を出していただけるかについて、相談しながら進めていきたいと思います。金澤会長、江口部会長をはじめ、委員の皆様からは本当に貴重なご意見をいただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。今後とも総合計画の推進に当たって、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 金澤会長:これで終了しますが、私も高齢者の一人なものですから、高齢者という表現には違和感があります。せめてシニアがよいと思います。勤務先の大学院の下が赤坂の図書館で、来館者のシニア率が高いのに驚いています。シニアは学習することも結構ですが、できれば労働者であって欲しいと思います。

 

3 閉会

 金澤会長:本日の審議会はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。

 

会議資料

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は政策局 政策部総合政策課です。