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更新日:2018年8月27日

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第103回神奈川県総合計画審議会 審議結果

第103回神奈川県総合計画審議会の審議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 第103回神奈川県総合計画審議会
開催日時 平成23年9月13日(火曜日)10時00分から12時00分まで
開催場所 神奈川県庁本庁舎 3階 大会議場
出席者

小林重敬、○藤原まり子、大賀圭治、大久保一郎、川名和美、斎藤聖美、笹生悦子、佐野博之、志村善一、野村芳広、林英樹、広瀬研吉、藤井繁子、マリクリスティーヌ、丸山善弘、八木正幸、飯田誠、亀井たかつぐ、近藤大輔、根岸孝之、八木大二郎

〔計21名〕(順不同)(◎会長、○副会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

所属名 政策局政策調整部総合政策課、担当者名 一柳

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過

(事務局が委員数30名に対し、この時点で21名の出席を確認し、半数を超えるため、審議会が成立する旨発言。)

1 開会

 小林会長:おはようございます。ただ今から第103回神奈川県総合計画審議会を開会いたします。最初に、今回この審議会に初めてご出席される委員を紹介させていただきたいと思います。恐れいりますが、紹介された方はご起立願います。委員名簿に従いまして紹介させていただきます。まず、志村善一委員です。近藤大輔委員です。根岸孝之委員です。八木大二郎委員です。

2 議事

議題1 東日本大震災等を踏まえた基本構想の必要な見直しについて

議題2 プロジェクトを中心とした新たな実施計画の策定について

 小林会長:それでは審議に入らせていただきます。本日の議題はお手元の次第にございますように、「東日本大震災等を踏まえた基本構想の必要な見直しについて」及び「プロジェクトを中心とした新たな実施計画の策定について」の二議題でございます。合わせてご審議いただきたいと思います。さっそくですが、本日は、まずこの二点について、黒岩知事から当審議会に、諮問をいただくことになっておりますので、黒岩知事からご挨拶いただきたいと思っております。

 黒岩知事:おはようございます。神奈川県知事の黒岩祐治です。本日はお忙しい中、第103回神奈川県総合計画審議会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。私も就任以来4か月半、「いのち輝くマグネット神奈川」を実現したいという思いでやってまいりました。特に、福島第一原発の事故によるエネルギー不足という中で、これを早急に補わないと神奈川県経済も破綻してしまうかもしれないという危機的な思いから、太陽光発電を一気に普及させようと言ってまいりました。当初、いわゆるマニフェストの中では、4年間で200万戸分の太陽光発電をつけるんだ、と言ってまいりましたが、昨日、県議会第3回定例会の冒頭におきまして、4年間は4年間としながらも、さらに2020年を目指して、新たなエネルギー政策を進めていくための新たなビジョンをお示しいたしました。「かながわスマートエネルギー構想」というものであります。これは2020年までに自然エネルギーを20%の割合まで高めていくというもので、国のほうでは2030年に20%という数字を示しておりますので、これを10年前倒ししてやっていこうという新たな決意をお示ししたところでございます。これまで、県では県政運営の総合的・基本的指針として、将来を展望した基本構想とその具体的な取組みを示す実施計画からなる総合計画を策定して、計画に沿った取組みを進めてまいったところでございます。今、私が申し上げましたとおり、新しい知事になりまして、新しいエネルギー政策もお示しいたしました。これは当然のごとく、東日本大震災という新たな事態、この国難を受けてどう県政を運営していくのか、という中での新たな指針ですので、基本構想についても、東日本大震災等を踏まえて、必要な見直しを行うことといたしました。そしてまた、喫緊の課題に対して、柔軟にスピード感を持って対応していくために、重点施策、これをプロジェクトとしてお示しするという実施計画を策定することといたしまして、その骨子(案)を取りまとめたところであります。

本日は、この基本構想の見直しと新たな実施計画の策定について、調査、審議してくださるよう、当審議会に諮問させていただきたいと思います。委員の皆様には活発なご意見、ご提言を頂戴いたしまして、ご指導いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 藤澤総合政策課長:それでは知事から、小林会長に諮問書をお渡しいたします。

(諮問書手交)

 小林会長:ただ今、黒岩知事から諮問がございました。当審議会として、諮問書を受け取ったところでございます。委員の皆様にはこれから基本構想の見直し及び新たな実施計画の策定について、活発なご審議、ご議論をいただき、答申の取りまとめをしていきたいと考えておりますので、よろしくご協力をお願いします。なお、黒岩知事はご所用があるとのことで、ここで退席ということでございます。

(知事退席)

 小林会長:それでは引き続き、議事を進めてまいります。まず、総合計画の策定等基本方針(案)、新たな実施計画骨子(案)について、事務局からご説明をお願いします。

(資料2及び3に基づき、事務局説明)

 小林会長:ただ今諮問のございました二つの議題に関する資料説明をいただきました。これから審議に移りたいと思います。審議に当たりましては、できるだけ簡潔に多くの委員からご発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。それでは、どこからでも結構ですので、ご意見あるいはご質問があればいただきたいと思います。

 近藤委員:冒頭、スケジュールについて確認させていただきたいのですけれども、平成24年度当初からスタートさせたいということで、今から数えていくと約半年ぐらいしかないのですけれども、この審議会はどのぐらいのタイミングで開催しようとしているのか。それによって当然これからの議論の内容も変わると思いますので、何か見通しがあれば教えてください。

 藤澤総合政策課長:スケジュールについては、計画策定の各段階で審議会にご報告するというのが基本方針の内容です。具体的に申し上げますと、県当局として作成いたしました骨子の案につきまして本日ご審議いただいております。また、今後、素案を作成し、この素案について11月下旬に審議会を開催し、ご審議いただきたいと考えています。最終的には、計画案を作成してご審議いただき、成案にすることが必要ですので、平成24年3月に審議会を開催することを想定しています。

 近藤委員:具体的に言うと、審議会は概ね3回ぐらいということでよろしいですかね。

 藤澤総合政策課長:審議会は3回ですが、その間、部会において審議を重ねていただきます。

 近藤委員:分かりました。

 斎藤委員:最初に私の反省なのですけれども、今回の震災で、政治、そして政策というのは掛け算なのだということが初めて分かりました。一つでも欠けるところ、ゼロがあると、全てがゼロになってしまう。福島の問題についても、行政として色々なところで努力なさっていたと思うのですけれども、今回の震災で全てが駄目になってしまった。ということは、重点を置いたプロジェクトがあっても、ゼロになるものがあってはいけない。浅く広くなるかもしれないけれども、とにかく全てのことを考慮し、検討し、そしてそこに配慮しつつ、どこに重点を置くかということを考えなければいけないのだなと悟りました。ビジネスをやっておりますと、切れるところは切ってしまって、例えばシステム開発はもう自分たちではやらないで外注するというように、なるべくスリムにして、ゼロを多くするということで経営してまいりました。しかし、政治はそれではいけないのだなと改めて思いました。今回、総合計画の策定ということで、色々、多方面に、多すぎるぐらいのものが盛り込まれています。これが半年前でしたら、私はもっと削ぎ落として重点的にやるべきだと申し上げていたかもしれないけれども、そうではなくて全てに目を配るということがいかに重要なのか、そして、想定外ということがあってはいけないのだなと今回強く思いました。そういう観点から、今回の策定に関しても、私は見てまいりたいと思います。皆様方がどういうふうにご覧になるのか分かりませんけれども、一つの視点として申し上げておきたいと思います。

 小林会長:神奈川県では、あらゆる分野をカバーする総合計画を作り、さらにこの計画がうまく進捗しているのかどうかということを常時チェックする体制ができていますので、斎藤委員のご意見に沿うような形で計画が動き、実施されていると思います。重ねて斎藤委員のご意見を受け止めさせていただきたいと思います。

 野村委員:一点お聞きしたいのですけれども、この計画自体は2012年度から2年程度の、喫緊の課題に対応するものということでございますが、通常、中長期的に考えるものと、足元の短期的なものと、分ける場面があると思うのですが、今回以降の全ての県の政策を2年間ということで位置づけていくのかどうかということ。それ自身は2年間だとしても、1年終わったところで状況が変化し、進捗によってはローリングをしていくのかどうか、それについてお聞きしたいのですが。

 藤澤総合政策課長:総合計画の構成につきましては、これまで、概ね20年後の平成37年を見通した基本構想と、平成19年度から22年度までの4年間の具体的な事業を盛り込んだ実施計画の2層構造でした。もっと以前には、20年の基本構想、10年の基本計画、それから5年程度の実施計画という3層の時代もありました。総合計画は徐々に簡素化する方向にあります。昨年度までは、概ね20年間の基本構想と4年間の実施計画ということで進めてきましたが、東日本大震災等が発生し、社会環境が急激に変化しておりますので、今回の策定に当たっては、当面、2年程度という期間の中で具体的な事業を示していこうと考えております。ローリングをどのように進めたらよいのかにつきましては、部会を通じまして議論を重ねていただければと考えております。

 笹生委員:二点あります。3.11以前にこの審議会に臨んだ委員の皆さん、私を含めまして、そのときと全く違った感情をもって本日を迎えているのではないかと思います。以前の実施計画では、ある程度生活できるということを前提に、それ以上を望んで、こういうふうになっていけたらよいといったようなプロジェクトの話をしてまいりましたけれども、3.11以降、普通に生活すること自体が非常に困難であることを、私たち一人ひとりが身をもって体験しました。その3.11を踏まえまして、特に、子どもたちや私たち一人ひとりがどうやって食の安全を守っていけるのか、非常に関心を持っているところであります。新聞やメディアでさまざまな情報があふれており、最終的には個人で判断してくださいという内容もあります。個人で判断して個人で実行していくようにというのは、一見正しいように思えますが、また一方で無責任な感じがします。先ほど黒岩知事のお話にあったように、メッセージ性が高く、分かりやすい計画の構成を打ち出していきたいということですので、是非とも神奈川県には、県民に対して分かりやすいメッセージを発信していただきたいと思います。

あともう一点なのですが、神奈川県が他県をどのように助けていくのか、相互協力、復興支援について、今回のプロジェクトの中に入ってきていないようですので、神奈川県は今後復興支援をどのような形で盛り上げていくのか、どのように発信していくのかということについても、入れていくのがよいのではないかと思います。

 小林会長:一点目はご意見として承って、二点目については、これから部会を設置して議論をいただく内容になると思いますが、例えば大規模な災害が他の地域で起きた場合、神奈川県がどう支援するか、あるいは神奈川県自体に災害が起きたときにどういう形で他に支援や協力を仰ぐとか、そういうことについてのお考えなり、今回、東日本大震災をベースに基本構想を見直すということですから、そういう内容が含まれる必要があるというご意見でしたが、事務局で何かお答えがあればお願いします。

 川﨑政策調整部長:先ほどプロジェクトの例として、「災害に強く安全・安心なまちづくり」という柱のもと「災害から守る」というキーワードでご説明しました。具体的な施策や事業については、これから委員の皆様方のご意見を踏まえて議論していくわけですが、現在の被災者支援については、県内にも東北3県から大勢の方が今でも避難されており、こういう方々への見守りも重要な視点ですし、一日も早く郷土に帰れるように支援をしていくことも大事な視点であると考えています。また、懸念されている東海地震が起こりますと、神奈川だけではなく首都圏、あるいは隣接の山梨県、静岡県を含めた広域的な災害が引き起こされますので、相互支援、広域支援が大変重要になります。そういった意味で、相互支援の協定など連携体制を構築しているところであり、こうしたこともプロジェクトに位置づけてまいりたいと考えています。

 近藤委員:前回の戦略プロジェクトを見ても、自然災害に対する対応というのは構築されていますが、今回の福島原発のような原子力災害にどう対応するのかというのは、当然、国との関係もあると思いますが、特出しすべき事項ではないかと思います。「大規模災害などに備える防災対策の強化」に全部入ってしまいますが、原子力災害対策の強化というのは入れるべきではないかと思います。もう一点、政策調整部長から東海地震についての話がありましたが、大地震が起きたときに、東京湾の石油コンビナートなどの二次災害も考えられますので、東日本大震災を受けて見直すというのであれば、防災、減災は、特筆していいのではないかという意見を持っております。

 小林会長:昨日、国土交通省の委員会に出席したのですが、国交省関係の独立行政法人の一つとして海上災害防止センターというのがありまして、今回千葉で発生したコスモ石油のタンク炎上の災害防止にあたった方から、あれは万一間違っていたら東京湾が使えない事態になるほど緊急性の高いもので、それを何とか食い止めたということは、あまり世の中で評価されていないようですけど、大変な成果だったというお話がありました。確かに近藤委員のおっしゃるように東京湾がそういう危険な場であるということの認識は必要ですので、是非そういう内容を入れていただければと思います。

 クリスティーヌ委員:今回、和歌山で台風による土砂崩れがありましたが、一番大きなポイントというのは、斜面ごと、きちんと森林伐採をしていなかったためにその重みに耐えられなくなってしまって、土砂災害が多くなってしまったということがあると思うんです。神奈川県は非常に森や自然が豊かで、河川も多いわけですので、集中豪雨があったときに、それこそ相模湖から丹沢まで、全てが被害を受ける可能性もあるわけです。私たちの生活を支えてくれている林業や漁業、農業というのが見えていませんが、非常に大事なことだと思うので、「創る」という中で単なる産業として捉えるのではなく、一つ別な章であってもいいのではないかという感じがしました。神奈川県というのは、ある意味では東京の台所的なところもあるわけで、そうしたものをどのようにして今後創っていくか、そしてきちんと守っていくかということが重要だと思うので、そこのところが欠けているのではないかなと感じました。

 川﨑政策調整部長:このところ連日のように、豪雨による河川の氾濫あるいは土砂崩れなど、大変心配な報道がなされています。本県としても、災害については普段からの強化が重要であると考えており、災害に強い県土づくりに一貫して取り組んできたわけですが、特に一旦災害が起きると山間部については、輸送道路が途絶して孤立が懸念されるという地形上の問題があります。災害の問題では、お話しのとおり林業や農業も関わってくると思いますし、また漁業についても海からの海上輸送ということで道路が使えない場合には有効な輸送手段になります。そういう意味でも、災害に強い県土づくりを進めることが、「いのち」を守るということにつながりますので、そういう視点からの取組みも必要と考えております。なお、章立ての話がございましたが、これは全体として出てきた施策あるいは事業などを見て、改めてご相談させていただきます。

 亀井委員:災害に強いまちづくりということで、一例を挙げながら要望させていただくのですが、ソフトとハードのマッチングということが非常に大切だと思います。神奈川県でしたら、ソフト面で「こちらが避難路ですよ」というのは安全防災局の仕事ですが、避難路として、例えば階段を作るとか急傾斜地をなだらかにするというのは県土整備局の仕事であったりするわけです。それがバラバラですと政策の実効性にタイムラグが生じるでしょうし、マッチングしていかないと本当の意味での安全・安心は提供できないと思うので、そういうところを検討していただきたいと思っています。 

あともう一つ、現状でどう考えているかということなのですが、3.11以降、エネルギー政策ですとか大規模災害への対策という形で打ち出していかなければならないんですけど、プラスアルファでやるとした場合には、財源的な裏付けも非常に必要だと思うんですね。その財源的なものを県としてどう考えているかということをお伺いしたいと思います。

 小林会長:一点目の、災害についてはソフトとハードの対応が重要だというご意見は最近あらゆるところで話題になっており、防災と並んで減災、すなわち災害を減らすということがキーワードになってきている。私もそう思いますが、二点目の財源関係については県でどのように考えられていますか。

 川﨑政策調整部長:東日本大震災以降、災害対策あるいは原発対策について、ここまでやれば大丈夫ということはありませんが、できる限り100%に近づけていくための取組みを進めていくことが必要になります。一方、県の事業全体を考えますと、やはり財源というものには限りがありますので、どの事業に優先的に財源を配分するのかということは大変重要なテーマだと思っています。そういった意味では、選択と集中を図りながら、新たな事業にも取り組んでいくことが必要になります。その際には、従来の事業をそのまま漫然とやっていくということではなく、見直すべき事業はきちんと見直し、より効果の高い新しい事業に転換させながら、財源を確保していく必要があるだろうと考えております。その際には国の交付金や基金など、様々な財源を駆使しながら財源の確保に努めてまいります。

 丸山委員:諮問の中身として、東日本大震災を踏まえたということになっています。本当にこの時期、3.11をどんなふうにして受け止めていくのかということがとても大事だと思います。そういう意味で、色々な言い方があると思いますが、これまでの社会のゆがみと申しましょうか、ひずみというか、そういうものが色々なところに出たということをしっかりと踏まえていかなければいけないということと、私たちとしてはそれを少しでもよくしたいという思いで、本当に心がいっぱいということであります。その意味で、被災地を支援するということを考えた時に、人が人として生きていくということ、分かちあうこと、助け合うこと、共に生きること、そういうふうな基本的な価値観をしっかりと計画の中で、まずベースとして共有化する中で、色々な施策を作っていくことが改めて大事だと認識しておりますので、そういうまなざしをもって、計画を練り上げていきたいと思います。

 小林会長:ご意見として承っておきます。

 広瀬委員:意見は三点あります。一点目は防災・減災について、3.11の地震災害で、色々な被害があったわけですが、有効に働いた部分を広く点検して活かすことが大事だと思います。例えばあの時に、新幹線が問題なく停止したとか、福島第一原発では普段使わない消火系のラインを用いて原子炉に注水したことで、さらに大きな被害となることを食い止めたということがあります。つまり、神奈川県内にも色々な施設、ポテンシャルがあるわけですが、本来、防災・減災等に用いないものでも、それを有効に活用する、そういう点検も必要ではないかと思っています。

二点目は、プロジェクト例を見ますと、今回の大震災でも国際的に大きな支援をもらっているわけですが、是非、神奈川県のマグネット力で国際的にも人を引き付け、場合によっては国際的に活躍していくという、国際性というところを考えていただければということです。

三点目は、エネルギー、ソーラー発電ですが、これは、県内の色々な科学技術のポテンシャル、大学もありますし、研究機関もありますから、このソーラー発電などを県内の科学技術力を最大限有効に活用して進めていく、そういうしくみづくりが必要ではないかと思います。

 小林会長:ご意見として承っておきます。

 八木(大)委員:実施計画の点検評価、いわゆる政策のマネジメントサイクルの関係でお伺いしたいのですが、今までは4年間の実施計画ということで、毎年度それを点検評価して、一次的には県の内部で評価し、総合計画審議会で二次評価を行って、最終的な4年間の計画期間の評価を行うということだと思うのですが、今後2年程度ということになってきて、そのサイクルのあり方というのは、これまで同様なサイクルで回していかれるのか、どうなのかということが一点です。

もう一点は、今度、2年程度ということで、2年もあれば3年もあるかもしれませんが、どの段階でどういう評価をして、次期実施計画の策定を何年度からしていくのか、どの段階でそれらを判断していくのかなど、現時点での考えを伺いたいと思います。

 藤澤総合政策課長:現時点で2年程度の計画を考えている理由として、このような状況では、なかなか4年、5年という、先を見通した具体的な事業が作ることが難しいことがあります。これまでは毎年度、白書という形で評価を行い、2年目と4年目に計画全体を点検し、計画の全体の方向性が社会の変化とずれていないか検証してきました。そうした視点は今回のプロジェクトの検討に当たっても重要と考えており、計画推進評価部会の中でどのような目標設定を行うことが県民の皆様に分かりやすい形で整理できるのか、十分に検討してまいりたいと考えております。

 川﨑政策調整部長:冒頭の資料説明でも、2年程度の期間でプロジェクトを集中的に投下するための数値目標を立てて、検証をしていくということをご説明しました。プロジェクト一つひとつをご覧いただきますと、例えば自殺の問題ですとか、大規模災害対策ですとか、交通ネットワークの整備など、全部を2年で達成できるとは思っていません。問題は、数値目標の立て方で、2年間でどこまでやっていけばいいのかが大変重要なポイントであります。そのロードマップとなる取組みと数値目標をどの時点で検証していくのかということのお尋ねかと思いますが、これまでの4年間の総合計画の中でも、2年間の中間的な点検作業を行ってきました。計画のPDCAについては2年計画であっても単年度であっても、それぞれのやり方といったものが当然出てまいります。計画が2年間程度というのは、我々にとって初めての計画になるとは思いますが、新しい手法も取り混ぜながらPDCAサイクルについて取り組んでいきたいと考えています。

 川名委員:プロジェクトの柱と取組みの例の一番下の方に、「神奈川のポテンシャルを活かした活力創出」として、中小企業支援、ベンチャー企業創出、企業誘致、産業人材育成などが入っています。今回の3.11以降、災害時にサプライチェーンが寸断され、中小企業というものが機能しなくなるなど、様々な問題がニュースで入ってきて、かなり打撃を受けている中小企業が多かったと聞いております。実は昨年6月に中小企業憲章が閣議決定され、中小企業研究の中では一つの歴史的な出来事としてかなり評価されておりまして、その中で、中小企業は中小企業のことばかりではなく、地域の中での中小企業という存在を、学校教育など様々な社会政策的にも考えていこうという考え方が盛り込まれています。まさに今年の3.11で露呈されたのが、稼ぐという手段としての中小企業が地域経済にとってどれだけ大切かということです。命が助かっても、仕事がない、会社がないと困っている方がいられる。そういう時に大企業で働けばよいというのではなく、まずは自分たちで生活手段、生活の糧を得ていくところから始まるのがまさに中小企業なのです。災害復興、災害復旧という意味で中小企業をそういった場合にどうやってサポートしていくか。実際には中小企業同士の資材調達、機械の設備対応など、かなり横の連携で災害対策として非常に有効だったとも聞いています。単なる活力の創出の中小企業というよりも、むしろ、災害対策の中でそういった企業に対して、どうやって有事の時にサポートしていくのかも含めていただければと思います。

 小林会長:一昨日、国の国土審議会で防災の議論をしまして、その時にサプライチェーンの話も出まして、ある一つのメッセージが報告書にはございました。常時は中小企業であっても競争し合っているが、非常時の場合は協調することを普段からしっかり約束しておかないと急にはできない。そういう体制を作るべきであると審議会で議論いたしました。おっしゃるとおりでございます。

 大賀委員:「東日本大震災後の社会環境の変化と本県の対応」を見ていて感じたことが二点あります。一つは、「ソーラープロジェクトの推進」とありますが、エネルギー対策を考えますと、今回の震災ではソーラーエネルギーばかりに集中しているような印象があって、もっと幅広くエネルギー供給のあり方をしっかり考えなければいけない。農林水産業の関係で常に考えていることで言えば、日本では間伐材の扱いに困っていますが、もっと分散型の発電システムを考えて間伐材等を狭い地域の発電用に使うとか、風力発電も時々ありますけれども、今回の震災後のエネルギー供給のあり方が専らソーラー発電のことばかりに集中しているように思えます。さらに2年間の実施計画となると、どうしても短期的なものに目が奪われて、長期的なエネルギーの多様化という視点や地域社会のあり方、電力が集中し過ぎてしまって、どこか1か所が崩れると国中が大騒ぎになるような世界が原子力発電所の事故で現れた。もっと小規模の分散型のシステムも含めて長期的な構想を考え、それに合わせて短期的な実施計画を考えていくことをお願いしたい。

もう一点は、今回の災害があって感じたのは、意外と身近なところについて知らないことが多いということです。横浜市民防災センターへ何回も行っていますが、それぞれの身近な地域、あるいは東京湾の沿岸地域がどういう状況になりそうなのかというインフォメーションが大事だと感じました。関東大震災、東北地方の地震など、何十年も前の地震を再現していますが、今回の震災も再現することはそんなに難しくないと思いますので、そういう情報を流すことにより、より一層、県民の関心が高まるので、そういうことも忘れずやっていくことが大事かと思います。

 小林会長:二番目の情報提供というのはある意味、減災の一つのテーマであると思います。一番目のエネルギーについてのご意見ですが、プロジェクトを見る限り、ソーラーだけに絞って議論する内容になっていないと読んだのですが、そのように読んでよろしいですか。

 藤澤総合政策課長:知事が発表したスマートエネルギー構想ですが、原子力に過度に依存しないこと、環境に配慮すること、そして地産地消として集中型のエネルギー体系から分散型のエネルギー体系を構築していくことを基本にしておりまして、これが、まさに委員のご指摘に沿った内容と思います。また、エネルギーの活用につきましては、創エネ、省エネ、蓄エネという視点で、このうち創エネにつきましては、広く自然再生エネルギーの活用を図っていくということで、ソーラーに限らず様々な手法を検討していくことになるものと思います。具体的な内容はこれからということです。

 藤井委員:一県民として思うことですが、「災害に強く安全・安心なまちづくり」というカテゴリーで米軍との協力について県の審議会で議論できるのでしょうか。私は逗子市民なので側に米軍があって、防災訓練などで顔を合わすし、知り合っている中で、非常事態が起きた時に国のジャッジを待たずに早く起動できる体制があれば良いと思ったりするのですが、そういったことは、県のレベルの審議会で要望を出すことができるのでしょうか。

もう一つは意見ですが、スポーツ活動支援が「魅力あふれる人を育てる教育・子育て」のプロジェクトに盛り込まれていますが、神奈川県は長寿というところでもアピールしていきたいと思っていて、シニアスポーツの先進県みたいなヴィジョンを持ってやっていきたいと思っているので、是非検討していただきたいと思います。

 小林会長:二番目はご意見ですが、一番目については事務局から何かありますか。

 藤澤総合政策課長:災害救援は自衛隊が行うことが基本になってくると考えております。アメリカ軍ということでは、国レベルの対応もありますが、先の東日本大震災の対応では、支援物資の輸送について、県が集約した支援物資の輸送を自衛隊にお願いしたほか、米軍にも直接搬送していただいた経緯もあります。そういった中での協力体制というのは個々の災害対策の中で出てくると考えています。

 近藤委員:私も逗子葉山なんですけれども、米軍の家族住宅があるので基地を非常に身近に感じるんですね。先ほども申し上げたんですけれども、横須賀に第7艦隊の基地があったり、空母を始め原子力艦船の行き来もありますので、原子力災害のときには、現状でもアメリカサイドの情報が一定しているはずだと思います。何を申し上げたいかというと、他の方から、神奈川県だけでなく近隣との連携をする必要があるとか、米軍とつながることが考えられないかという意見がありました。それを聞いていて、交流だとか、つながる、連携というキーワードがあってもいいんじゃないかなと思ったんです。近隣の県だったり、自衛隊、米軍だったり、もう少し連携する中でリスクを分散させることも必要だと思ったので私の意見として述べておきます。

 野村委員:二点ですが、まず一点は、知事が力を入れてやろうとされている太陽光発電の関係で、国の方で買い上げの値段と期間が決まっていないわけですよね。そういった中で、現段階で太陽光発電の今後の促進に向けて具体的なものがこの中に盛り込めるのかどうかお聞きしたい。もう一点は、国の方でも、今回の震災によるサプライチェーンの寸断や急激な円高の中で中小企業への支援の問題、それから雇用対策の問題にかなり力を入れて打ち出してきたと思うんですけれども、これまでの国の支援、補助金としてのふるさと再生の問題も含めて新たな財源が降りてくるという状況ができていると思うんです。神奈川としても直接的な被災地ではないが、間接的に中小企業を中心に大きな影響を受けたため、交付金などで何とか県内に雇用をとどめておくことができたと思います。今回の計画の中にも、そういった観点で知事が言われている「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けては、雇用、働ける場所の問題がありますので、是非そういうところに注目した計画としていただきたいと思います。

 小林会長:二番目はご意見として受けておいて、一番目についてお答えありますか。

 藤澤総合政策課長:ソーラーの関係ですが、委員からお話のありましたように、買い上げの価格や期間は今後決定されるということで、ソーラーバンク構想の実現にあたっては、そういったことも条件になってまいります。

また、県の対応ですが、5月、6月、9月の補正予算案を通じて、家庭用太陽光発電設備の設置補助の増強を図ってまいりましたし、集合住宅にも対象を拡大していく対応もいたしました。具体な政策につきましては更に検討を重ねていきたいと考えております。

 斎藤委員:災害に関しまして、自然災害のことは、記憶が新しいので誰もが考えるところですけれども、そうではない災害、例えばテロが日本、神奈川を襲うという可能性がゼロというわけではないので、今忘れかけているテロ対策、自然災害以外の災害についても是非検討して配慮していただきたいと思います。もう一つ、これも要望ですけれども、海外から見たときに日本の代名詞というのは、広島、福島といったネガティブなものばかりが頭に浮かぶようになってしまいましたが、神奈川県として、マグネットとしてひきつける県になるために、日本には素晴らしいところが沢山あるということを発信していくような政策も、是非力を入れていただきたいと思います。

 佐野委員:青年会議所の佐野でございます。私どもも早い段階から被災地に入りました。支援物資は大変集まるんですが、現場の県や市町村にお渡ししてから避難所で配るのが遅れたと聞いております。その部分で事態が解決されたのが、佐川急便さんですとかヤマト運輸さん、いわゆる民間のロジスティックスの会社が入って大分スムースに流れ出したというふうにお伺いしました。プロジェクトを見て、官民協働プロジェクトが見えづらいなと感じた次第です。想定外を想定しなければならない部分で大変だとは思うのですが、いざ災害という際には、民間企業としても協力しなければならないので、是非ともその辺を踏まえた上で計画していただければと思います。

 小林会長:何か事務局からお答えございますか。官民協働というのは神奈川県として、基本的なタームですよね。

 藤澤総合政策課長:NPOをはじめとした県民協働につきましては、これまで重点的な施策として取り組み、事業レベルではかなり進んでいると考えております。今回の震災におきましても、NPOの災害支援ボランティアの取りまとめなども行われております。

 小林会長:今のご意見は、NPOとか、いわゆる新たな公以外に、災害時には一般の民間企業との協調も必要だというご意見だと思いますが、その辺は、記録に留めておいていただきたいと思います。

 志村委員:我々は農業の団体ですので、3.11を踏まえて、方々で災害に関する話が出ます。特に、東日本大震災の後、三浦の断層が云々という話が出まして、もし三浦で今回のような大きな地震が発生したら、横浜はどうなるのか、東京湾に津波は来るのか、こんな話をしています。ここにおられる委員の方々に、そうした地震を予想されている方がおられるのであれば、今回の計画も、今回の津波を予測したような計画になるのかなと思っていますが、三浦で地震があった場合は、東京湾の津波の心配はあるのかどうか。また、災害というのは、地震や津波だけではなく、台風とか集中豪雨とか複合的に来ることが予想されるが、そうした予測に基づいて対策をしているのか。そんなことをお聞かせ願いたいと思います。

 藤澤総合政策課長:県では、地震防災戦略を策定しております。そこではいくつかの地震を想定して、それぞれ地震の大きさ、津波による死者数などを想定しております。ただ、東日本大震災では、想定を超える津波が押し寄せたことから、見直しが必要になっています。本来ですと、国が防災基本計画を示して、それを基に都道府県が地域防災計画を検討することになっていますが、神奈川県は相模湾を抱えており、津波による被害が大きく懸念されますので、国の動きを待たず、県として先行して津波対策を検討しております。

 小林会長:各市町村、特に相模湾に関わる市町村は、県の検討結果を待ちわびているようですので、よろしくお願いいたします。

 笹生委員:過去、審議会で何度も議論になっていましたが、プロジェクトの数値目標の設定につきまして、どの様に考えているのか教えていただきたいと思います。

 藤澤総合政策課長:昨年の点検を通じまして、審議会から数値目標の設定については、ご示唆をいただいております。ただ、ある程度の期間を見通した中での数値目標と異なり、今回、計画期間を2年程度とする中で、数値目標をどのように設定すべきかという問題があり、そうした点についても、審議会や部会とも相談しながら、詰めてまいります。

いずれにしましても、県民が成果を肌で実感できるような、いわゆるアウトカムの数値目標を中心に、短期的な設定が、どこまで可能なのか検討を進めてまいりたいと考えております。

 小林会長:数値目標をアウトカム、成果指標に組み替えるのは懸案でございまして、部会で精力的に議論していただいていますが、ただ、全部をアウトカムにするのは難しいと個人的に考えています。

 野村委員:これまで計画を立てるときには知事の任期が関係したと思うのですが、今回2年ということだと、知事の任期が4年間なので、あと1年残りますよね。中長期というのは今の時代3年でもいいし、足元の短期は2年でもいいと思うのだけれども、財源の流動性を少し懐深くやるという意味でも、緊急のものは2年でいいとしても、実施計画としては3年という形があってもいいと思う。私一人の考えかもしれないが、その方が知事の政策への責任だとも思うので、もう少し考えてもいいと思う。

 吉川政策局長:先ほどから、期間について議論されておりますが、基本的には先ほど事務局から説明したとおりでございます。ただ、事業によっては、例えば2年間ではなくて、もう少し長いスパンで考えなければいけない課題もありますし、むしろそうした課題の方が多いと思いますが、今回の場合は、重点的にこれをやっていくんだということを明確にして、それをメッセージとして県民の方にお示しし、その中で具体的にこういうことをやるんだということをお見せする。そういう意味では、スピード感をもってやっていくためのプロジェクトを作っていきたい。それ以外にローリング、そして次の計画という話が出てくると思います。現段階では白紙ですが、単純に考えて2年間で終わりということは有り得ませんので、その後をどうするかは、審議会や県議会の意見をいただきながら考えていくべき課題であります。ただ、喫緊の課題として、国難の中にあって何をしなければいけないのか、かなり明確になっている。そうしたものをいかに速やかにやっていくというメッセージをプロジェクトとして作っていきたいと考えております。審議会では、そういう視点も含めて議論をさせていただければと考えています。決してそれで終わりではないということはご理解をいただければと思います。

 野村委員:よく分かるんですよ。大きな環境変化というのがあって、喫緊の課題に果敢にチャレンジするのは2年間というベースでいいと思うが、ルーティンというか継続しなくてはならないものもありますよね。そういったものとの関係を、どう考えていくのか。先ほどからいろいろな数値化とか評価の問題というのが出ていますが、そういった意味で、私自身は、2年は2年で、もしかしたら1年でやらなければならないものもあるかも分からないが、一方で、責任ある施策推進という意味で、黒岩知事が進められる訳なので、任期との関係は離れられないのではないかと思う。逆に2年間が終わって、何かしようとしてもまた新たな形になった場合、それはちょっと無責任なのかなと危惧するのであえて言っているんですが。

 吉川政策局長:総合計画のあり方については、総計審で審議していただく内容として諮らせていただいていますが、それとは別に、県政の各分野では個別計画や条例に基づいて政策が行われております。むしろ、全体のボリュームからいけば、そういった内容の方がかなりあると思います。これは、もう既に課題として整理がされており、例えば、高齢者保健福祉計画や、地域医療計画などがあり、それはそれで着実に進めてまいります。最初に斎藤委員からも全体的な指針として、各分野にわたることが大事だとのご指摘がありました。まさにその通りで、総合計画のプロジェクトだけが全体をカバーするものではなくて、あくまでも、今やらなければいけない喫緊の課題を抜き出した形で、プロジェクトとして進めていくという整理でございますから、ベースにある各分野の施策は、個別計画や条例できちんと担保されて実施されていくと考えております。これらが両輪相まって実施されていくとご理解いただければと思います。

 クリスティーヌ委員:今回、災害が起きてすぐの時に、たまたま荒浜にボランティア活動で行ったんですね。それで一番思ったのは、茅ヶ崎と藤沢周辺、大磯までの海岸線だったんです。これだけの大津波が来たときに、荒浜の場合は平地ですから、結局、みなさん逃げる場がなくて、車を出したところ、車の渋滞に巻き込まれて逃げられなかった。高台も近くにない。2年計画とはいっても、今、早急にどうやって避難路を作っていくかとか、そういう考えられるところは全て早急に関わっていかないといけないと思います。先ほど丹沢の話をしたのも、和歌山の災害が神奈川に来たらきっとこうなるだろうなと思うところがあったからです。

それから、私は葉山に住んでいるんですけれども、たまたま友人の家はソーラーになっていたので、計画停電の時にコンピューターを充電するのに彼女のところに行けばいいかなと思っていたら、うちのソーラーは使えないのよと言われまして、どうしてと聞いたら、家にソーラーパネルがあって電気を作っても、結局、持って行かれてしまうそうなんです。ですから、再生可能エネルギー買取法が出来ても、やはり、その中でどういうふうに買い取られていくのか、どう活用されるかということは、きちんと考えていかなければいけないと思うんです。例えば、8月とか一番暑い冷房を使うときに作ったエネルギーを自分で使いながら余ったものを売るとか、そういうことにするのならば住まわれている方にとっても一緒に得になると思うんですけれど、ただ持って行かれるだけで、災害が起きたときや有事の時に自分たちが使えないものになってしまうと、エネルギー施策を作るにしても、役に立たないと思うんですね。自分の家の周囲にソーラー発電が出来る家があるのなら、そこで発電した電気を近所にも供給できるしくみにしていけば、停電があったときに非常に役に立つわけですので、一つの大きなシステムづくりを神奈川県というのは考えていかなければいけないのではないかと思うんです。

それから、さきほど民と公の話がありましたが、友人に頼まれて、仙台の若林区に子どもたちのミルクのためにお水を持っていったんです。そうしたら、みんなに行き渡らない限りは区としては受け取れませんと言われました。たまたま私たちのNGOグループの中には、被災した方がいたので、彼らが出てきてくれて私たちの持って行ったものを受け取ってくれたんです。ですので、こういう災害とかが起きる前から、こういうことが起きたときには、官が出来ること、出来ないこと、そして、NPOやNGOグループを早くに組織化して、被災した方々に対しての指示が出来るグループというのを平常の時から作っていくことによって、いろいろなことが出来るんではないかと思うんです。例えばJCの話もありましたけれど、阪神淡路大震災の時、日本全国のJCが交代で神戸に行くんですが、一般の民間団体をJCのバスに乗せてくれて、中まで連れて行ってくれたので、私たちがものを運ぶことが出来たんです。これを神戸市に持って行きましたら、市役所は若林区と全く同じ対応の仕方で、みんなに行き渡る数がそろうまでは、物資は配れませんと言われてしまったんです。そうすると自治体は何をやっているんだという話になってしまいます。そういうことも想定した上で、たくさんの教訓があると思いますので、そういうシュミレーションを先に作っておけば、こういう時はこうしようということになり、スムースに行くんではないかと思うんです。

 小林会長:ありがとうございました。体験に基づくご意見でございました。

 大久保委員:コメントを二つ。キーワードの例で「守る」というのがありますが、「健康を守る」というのがあってもいいのかなというふうに感じました。

それと2年のプロジェクトの評価ですけれども、数値目標という議論がいろいろ出てきましたけれども、2年で評価が出てくる数値目標というのはほとんどないんじゃないかと。そして、多くの統計は早くても1年後、普通は3年後4年後に出てくる統計もあるものですから、そういう統計で数値目標を作って行くと、2年を評価する前に2年が終わってしまって次に進んでしまうようなことが起こるので、数値目標以外の目標も合わせて考えないとうまく評価して次の段階に進めないではないのかなとちょっと心配しております。

 小林会長:一番目はご意見として受け止めます。二番目は、必ずしも統計に頼って数値目標をチェックしている訳ではないですよね。統計に頼る場合もありますが、独自に評価もしていますので、その辺はどうですか。

 川﨑政策調整部長:評価については、これまでも審議会で様々ご議論をいただきました。一つは客観的な評価というのが非常に重要なポイントだったと思っております。県ではこれまで、事業の進捗を踏まえて一次評価を行い、それに対してこの審議会で客観的な二次評価、外部評価という形でご議論いただいております。そうしたことも組み合わせながら、どういった評価が一番県民の皆さんにとって、あるいは議会の皆さんにとって納得のいくものになるのか、しっかりと調整してまいりたいと思います。

 広瀬委員:プロジェクトはこれから非常に重要なものになると思うのですが、二点事務局にプロジェクトのイメージを伺いたいと思います。一つは今回プロジェクトを全体でいくつぐらい作ることをお考えなのか。もう一点は、プロジェクトは政策とは違いますので、具体的な実効性、効果、成果が出るということであれば、相当具体的な切り口のものを考える、例えばここでは「人をひきつける魅力ある地域づくり」というかなり広い切り口でお示しいただいたのですが、実際のプロジェクトはもっと具体的な切り口のものになるという理解でよろしいかどうか。その二点について、お伺いしたいと思います。

 藤澤総合政策課長:平成19年度から22年度の実施計画では38の戦略プロジェクトがございました。新たな計画で具体的にどれくらいの数のプロジェクトをお示ししていくのかということについては、まだ今後の議論でございまして、現段階で具体的に数を申し上げる状況にはございません。もう一点につきましては、現状でのプロジェクトの柱を例としてお示ししており、この下にいくつかのプロジェクトをぶら下げていくイメージでございます。具体的なイメージを整理している段階ではありませんので、なかなかイメージがつかみづらいと思いますが、今後はプロジェクトごとの具体化を図り、次回の審議会には部会の整理も踏まえた形で委員ご指摘のような、具体的な内容をお示ししてまいります。

 志村委員:今、話があった取組みの例の中に、医食農同源や地産地消とあります。これは黒岩知事が言ってられる内容だと思うんですが、その前にやはり総合計画の中に、神奈川の農業をどう育てていくか、ということがこの中に入っているのかどうか。お聞かせ願いたいと思います。

 藤澤総合政策課長:委員からもご指摘がございましたように、農業というのは非常に多面的な機能を有しており、環境面での貢献、食の問題、また農業自体が産業ですので、活力創出という整理もできます。その辺も含めて、整理を深めたいと考えてございます。

 小林会長:ではそろそろ時間でございますので、討議をこの程度にさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

 小林会長:多々貴重なご意見をいただきましたが、事務局から提案いただいた二つの内容について、これは反対だというご意見を承ったというように考えてございません。これからの検討の方向性、それについてかなり基本的なご意見から具体的なご意見まで多岐に渡るご意見をいただいたと思いますので、今日ご審議いただきました事務局案、二つの案がございましたが、それについては基本的に審議会にご了承いただき、今日のご意見を基に、今後更なる検討をするということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

 小林会長:それではそのようにさせていただきます。

議題3 その他

 小林会長:もう一つ、その他ということで議題がございます。計画策定専門部会についてでございます。既に審議会の下には計画推進評価部会を設置いたしまして、計画の推進に関し、調査、検討をしていただいているところでございますが、この度総合計画の策定等について諮問をいただきましたので、改めて計画の策定等に関し、調査、検討する計画策定専門部会を設置いたしたいと思います。計画策定専門部会の委員としては、計画推進評価部会の委員の皆様に兼ねていただきたいというご提案でございます。この点について、事務局からご報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(参考資料2から4に基づき、事務局説明)

 小林会長:新たな部会の設置と、構成する委員の提案でございます。これらについて、何かご意見をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(意見なし)

 小林会長:それではこの審議を部会に付すということでご了承いただけたということにさせていただきたいと思います。他に事務局からございますか。

(参考資料5及び6に基づき、事務局説明)

 小林会長:ただ今の説明についてご意見はございますか。

(意見なし)

 小林会長:それでは本日の議題はひととおり終了いたしました。事務局から何かありましたら、お願いします。

 吉川政策局長:本日は大変ご熱心にご検討いただきまして誠にありがとうございました。私自身といたしましても、3.11の東日本大震災、福島第一原発の事故、これらが鮮明に残っている中での今日の諮問ではなかったかと思っております。これからの地震防災のあり方、とりわけ津波の問題や液状化の問題について、ただ今検討している最中でありますが、各委員の皆様には、年度内に結論を出すことを前提にして、この審議会にお諮りをしていきたいと思っております。

また、県では、三浦半島の地震も含めた地震の想定をしておりますが、3.11の評価、受け止め方というのは「想定を超えた」ものであり、これからは、想定を超えるところまで想定した上で、大規模災害対策やきめ細かい対応が求められるものと思っております。

また、財源の議論につきましては、最終的には知事の判断になりますが、今後はソフトとハード、防災だけでなく減災を十分頭に入れなければ対応できません。東日本大震災において、防潮堤による防災に限界があった事例を見ても、防災だけではだめで、減災をいかにするのか考えていく必要があります。また、そうしたときに、市町村、県民の方とどのように連携を図るのかが大きな課題だと思っております。やるべきことには、きちんと財源を確保することは当然でありますが、もう一方で市町村や、県民の方と一緒になってやっていくことも大きな課題であり、こうした対応も図っていきたいと思っております。

もう一点、先程ご指摘があったように、昨年も台風9号で県西部を中心に大きなダメージを受けました。今回の台風12号でも大きく出てはいませんが、山北では相当土砂崩れがありました。災害については、神奈川も例外ではないということを肝に銘じながら取組んでいかなければなりません。そのようなことを踏まえてどのような対応をすべきなのか、プロジェクトとしてどう考えなければいけないのか。また委員の方に諮らせていただきながら、私どもとしてはしっかりとしたものを作っていきたいと思っております。

もう一つ、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現をめざして、地震防災などの災害対策だけでなく、医療・生活の問題、安全・安心の問題等を含めて幅広く、諮問させていただいています。そうしたことを我々は緊急にやらなければいけないということを肝に銘じて、大きな柱は作りましたが、どのように組み立てるのか、また、一つひとつのプロジェクトについて、先程数の問題もありましたが、どのような内容が適当なのか、委員の皆様の意見を伺いながら、スピード感を持って作って行きたいと思います。

いずれにいたしましても、今年度中の基本構想の見直しと、新たな実施計画の策定にこれから本格的に着手していきますので、今後ともご指導いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

3 閉会

 小林会長:本日の審議会はこれで終了させていただきます。ご熱心なご討議・ご審議ありがとうございました。

会議資料

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