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更新日:2018年8月27日

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総合計画審議会第77回計画推進評価部会 審議結果

総合計画審議会第77回計画推進評価部会の審議結果

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称

総合計画審議会第77回計画推進評価部会

開催日時 平成29年2月10日(金曜日)10時00分から11時45分まで
開催場所 横浜市開港記念会館 2階 9号室
出席者

牛山久仁彦、関ふ佐子、橋本雅代、村井知光、池本美香、木曽順子、小池智子、朱銘江、中西正彦、原大祐、

原嶋洋平、山本篤民、山本佳世子、川崎優美〔計14名〕

(◎部会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

政策局政策部総合政策課計画G 三留
電話番号 045-210-3061(直通) ファックス番号045-210-8819

審議経過

議題 「社会環境の変化と今後の課題」について

《資料「「社会環境の変化と今後の課題」について」、参考資料1「神奈川県の政策課題に関するデータ集」、参考資料1【別添】県内の人口分析、参考資料2「今後のスケジュール(予定)」について事務局から説明。

 

 牛山部会長:前回に引き続き、皆さまより、今後起こりうる社会環境の変化についてご意見をいただきたいと思いますが、前回予告をさせていただきました、教育・子育て、福祉、国際、まちづくり、この4分類で進めていきたいと思います。議論の展開によっては限定されずに様々にかかわってくるところもあると思いますので自由にご意見いただければと思います。前回同様に、キックオフ、最初に問題提起をしていただき、お話のきっかけをいただきたいと思います。まず、最初に池本委員の方から、教育・子育てについてお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

 池本委員:教育・子育て分野では、長期的に10年、20年程度の未来は、人口減少、子どもの人口が減っていくことは確実ですので、教育施設の対応も必要となるという事で、まず一つ、20年程度の、幼稚園の存続危機についてです。ちょうど一週間くらい前に発表したのですが、2040年までに保育ニーズがどう変化するかというのを私どもの方で試算をしましたところ、全体の保育所を合せた人数は減っていくんですけれども、就業率は上がって行くために、幼稚園はかなり減少するといった数字などもあがってきています。神奈川は今、幼稚園は定員充足率は東京と並んで全国一高い県なので、当面は危機感は無いですけれども、20年程度先を見通しますと、幼稚園がどうなっていくかという事を、国としても県としても考えていく必要があるのかなと思います。幼稚園がどう変化していくかということも問題なんですけども、保育所と幼稚園を分けている制度というのが、世界的に見ても特殊になってきていますので、制度改革なども含めて考えていく必要があると思います。それから、教育がらみでは、OECDの方で2030年の教育、教育がどう変わっていくかという図を描く作業も進んでいるようですが、やはりICTとかAIとか、今は暗記して覚えるということがありますが、そんな事をしても意味が無いとか、将来、今ある仕事がなくなってしまうことがほぼ明らかで、うちの息子なんかも運転手さんになりたいといってますが、電車の運転士さんが20年後に職業としてあるのかということ、子どもたちが今後そういった教育を受けていくという関係もあるので、その中身がどうなるのかという議論が必要なので、それにあわせて学校教育などもかなり大きく変わらざるを得ないんだろうと思っています。色々、教育移住とかオルタナティブ教育とか、新しい形の教育が出てくるのではないかと思います。その場合は、特にICTとか、今だと東京に出ないとできない感じですけど、地方の自然豊かな環境の中でも十分いい教育ができるということで、どこで教育を受けるかということも自由度ももう少し高まってくる可能性があるのではないかと思います。それに伴って、神奈川の優位性みたいなものも、どうなっていくのかなと思います。あと、仕事場ということで、男性も大企業に就職すると将来安定というのがあって、今はそれも崩れつつありますけれども、それもどんどん変わっていく中で、男性の生き方というのも変わってきて、それによって、男女共同参画みたいなところも大きく変わっていくのかなと思います。あとは高齢化というところでは、ボリュームとして高齢者の数が増えてきている中で、高齢者の施策と子どもの施策と分離して議論されているんですけど、今の保育士不足という話がある中で、実際高齢者の保育へのボランティアが子どもにものすごくいい影響があるというデータも実例も出てきていて、高齢者も含めて教育のあり方を検討する必要があるかと思っています。あとは、情報格差ですが、色々諸外国の政策を見ていますと、情報をいかに必要なところに届けるかといったところにかなり各国力を入れていまして、日本では保育所を探すにしても親はどこにあるかもわからないし、情報収集に長けた人だけが生き残っていくというところがあるのですが、情報格差をどう解消するか、分かりやすい情報を必要なところに届けるかというところが行政の分野では必要だと思います。教員の研修などにしても、どういう研修をされているかというのもなんとなくあいまいな印象なのですが、保育の分野では先生が研修会を作ってという形で公的なものがきちんと無いわけですが、国できちんと何が研修で必要かということを分析して、講師なども認定を受けた人がやるとか、あとは研修に関する情報サイトも国レベルで整備して、先生たちが困ったときそこにアクセスすればわかるという、そういう情報提供なども教育の分野で必要かと思います。最後に一つ、20年後というか、期待を込めてということですが、日本と海外との教育のあり方の比較をしていますと、子どもの権利という考え方が日本の教育の中では弱いというのがありまして、全ての子供に教育を届けるとか、子どもの意向を反映して学校運営をするとか、海外ではどんどん進んでいる中で、日本では動きが全く無いところなので、さすがに10年20年位する中ではそういった課題も考えていく必要があると思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。ただいま、池本委員から口火を切っていただきましたが、前回同様、委員の皆さまから自由にご発言いただきたいと思います。今のお話と関連してでもいいですし、それ以外のことでも、この分野についてご発言いただければと思います。

 村井委員:貴重なお話ありがとうございました。今、あげられたお話の中で教育移住のテーマにあたるのかなと思うのですが、あるいは、自治体、神奈川県の競争戦略みたいなところかと思いますが、私も、同様に小学生の娘がいる父親なのですが、東京都が最近、私立高校の学費無償化を打ち出し、お父さん、お母さんとかが教育について、話しをするときにかなり魅力的だといいます。もともと子どもの医療なんかで東京都は秀でたものを持っているので、果して、東京都は人口が1位で、神奈川県が人口2位のところで、遠い将来というか、近いうちに神奈川県は、教育費について、東京都とは一線を画して財政的に難しいのでやらないと打ち出すのか、あるいは、追随するのかというような、踏絵を踏まされるような状況になるのではないかと思います。このことは、大きく報道されていないと思いますが、子どもを持つ親としては、結構、話題になっていて、実際に、神奈川などでは、全体の1割程度の方が東京都にお勤めになっているということで、職住近接の魅力もありますし、東京都の教育を絡めて、東京都の方へ転出、流出することもあるのかなと思います。逆に神奈川県としては、そういう、政策、競争戦略みたいなものかもしれませんが、新しい特色とか、あるいは、一線を画して違うことを打ち出して行くようなことが必要だと思っております。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。ただいま、ご意見いただきましたが。それに関連したものでも結構ですし、別の観点からのご意見でも結構です。他の委員の方はいかがでしょうか。

 

 山本(佳)委員:参考資料1の28ページの相対的貧困率の推移を見ていまして、気になったところ、教育とか福祉とかに関わってくるところで、子どもの貧困率が日本全体では分かるのですが、相対的貧困率、子ども貧困率が高くなりつつあります。子どもがいる現役世帯の貧困率について、大人が1人の世帯は、大人2人の世帯よりも貧困率は高いです。こういったところを見ていると非常に気になりまして、神奈川県のデータがあると、ありがたいと思っています。以前、聞いたところによると、神奈川県の場合、シングルマザーの貧困率が非常に高いということでしたので、その点が気になりました。神奈川県全体で見ると参考資料の別添で年少人口が既に減少に転じていて、良くない環境になりつつある状態です。年少人口が減少に関わらず、良くない環境におかれる子どもが増えている可能性があるのですが、データが微妙に違うので、はっきりとは明確には出せないと思いますが、この点を気にしていくべきではないかと思います。

 

 山本(篤)委員:私は大学の教育に携わっている立場として、先ほどもキーワードの中で少し触れられていたかと思われますが、経済的な要因からの教育の格差の問題がじわじわと大学の中でも出てきておりまして、アルバイトをかなり長時間しないと下宿代や学費などが賄えないということです。色々、教育を施そうと力を入れたのですが、アルバイトの時間に費やされていて、思うように勉強に集中できない、そういうことが起こっているということを、ご理解いただきたいと思います。今、地方創生とかで、東京に大学を増やすなという話になっています。一方で私が大学の営業で地方をまわる機会が多いのですが、地方の高校の先生に話を伺いますと、親御さんの経済的な事情から、なかなか、子どもを東京の大学に送り出すことが出来ない。そういう意味では、一極集中が問題になっていく一方、学生が首都圏の大学に出て行けないという状況が起こっています。大学などでも最近奨学金など、手厚くしていこうという動きがありますけれども、それに加え、行政的な観点からも学習意欲のある学生をいかにバックアップしていくのかということなどが、今後、さらに必要になっていくのではないかと考えます。

 

 橋本委員:今のお話を聞きまして、大学生の方とかアルバイトで勉学の時間がないという話で、藤沢市では、そのことに取り組んでいる市民グループがありまして、空き家とか独居老人のご家庭に住み込みで住む住居の提供を行い、それは見守りにもなるし、独居老人のためにもなるというような面白い取組みをしている団体があります。あと、先ほど池本委員からもお話がありました将来的にロボット化、IT化が進んでいく中で、自分たちの子どもが今までの仕事がなくなってくるということを、私が支援している女性の方たち、特にお母さんたちからそういった声がよく聞かれまして、都内ではお金があればプログラミング教室などは行けますが、藤沢市にはあまりなく、都内に通うと2人で3,000円くらい費用がかかってしまいます。アイルランドで発祥したコーダー道場というボランティアで運営するプログラミング教室を試験的に開催しており、それはとても反響があり、高額なお金をかけなくてもプログラミングを楽しみながら、こういうものだというものを知る機会を作っています。私は藤沢市のロボット研究会にも出ているのですが、農業とか林業とか、一次産業から介護・福祉の分野にまでロボット化が進んでいって、子どもたちは5年後、10年後、プログラマーやエンジニアとして働かなくても、プログラミングというシステムについてわかっている、知っている上でプログラミングを言語みたいな形で理解していないと仕事に就くことが難しくなっていくのではないかと思います。ロボット化、IT化が進んでいく中で、だからこそ、人間しか出来ないことがすごく重要になっていくことも感じておりまして、プログラミング教室をしつつ、コミュニケーションをどうするのか、皆に自分の気持ちをどう伝えていくかということでプレゼンの教室も一緒に開催する予定なんですけれども、そういった形で、子どもたち皆がこういった場を活用できる仕組みを神奈川県でぜひ、やっていきたいと思っています。

 

 小池委員:一生学び続けられる環境を作っていくことがとても大切かなと思っています。2035年、2045年となると日本の仕事の半分は無くなるということで、無くなる仕事がある一方で新たに生み出される仕事もあるわけで、そういう仕事に従事していただければいいのかと思いますが、恐らくそれはこれまでその方が培ってきたスキルとは全く違う領域でのニーズに応えなければいけない仕事に対応していかなければいけなくなるかと思います。

その時に社会が必要としている新しい仕事の創出とそれに併せて学び続けられる、それは子どもたちだけでなく、ミドルの方も、初老の方も含めて、学び続けて何らかの形で社会に仕事として関わっていける、学び直しを繰り返してできるような仕組みが作られるとよいと思います。

2045年にはたぶん無くならない仕事としてケアやナーシングなどがあると思いますが、スウェーデン等の北欧では社会的なケアのニーズに対して訓練をする公的な機関がありますので、何度でもそのような場所で学び直すことができる、そして仕事に従事できるというような仕組みもあわせて作られていくとよいと思いました。

 

 中西委員:最近、地域間の格差の拡大を感じていて、空間的な偏在に繋がっていることを感じています。教育も然りと思っています。ハード面でいけば、学校の再編が不可避となっているときに相対的に田舎の方で間引かなければいけないと、教育の質が下がらざるを得ないということを感じており、地方では既に起きている問題として指摘されるかなと思っています。一方で、財政的には再編せざるを得ないという中で、ハードの整備と教育の質の担保をすり合わせながら進めないといけないのではないかと感じています。そういう意味では神奈川県では地域の差をきちんと分析して全体を通して一定の質向上が図られるよう進めるべきではないかと考えています。一方で、人口の動向を見てみると教育の質が良いところは相対的に若い世代がちゃんと集まってくることがデータとして出ているので、変な言い方ですが人口減少の時代に対して対処の方法の手段として教育をきちんと捉えるということも大事だと考えています。その観点から教育に力を入れていくことの意義付けをすることが必要かと思います。

 

 川崎委員:自分の普段の生活で感じていることがベースなのですが、自分が住んでいるところでインターナショナルスクールが次々と増えています。また、知り合いでインターナショナルスクールの経営を始めた方もいて、親が選んでいかなければいけない時代なのだと感じています。聞いた話ですが、国際バカロレアの認定を受けているインターナショナルスクールもあり、文部科学省では国際バカロレアの普及・拡大を推進しています。日本語を母語にしない子供たちが日本に来たときに高校受験をするのが大変で、それは日本の公立の学校を受けるために日本語を勉強しなければならないためですが、バカロレアの話を聞くと日本語の勉強を止めて英語を基本としたインターナショナルスクールに行って海外の大学へ行けばいいではないかといったようなことも起きています。色々な選択肢があって、その中で情報をいかに子ども、親、先生等で囲むことで選択肢をどうやって折り合いをつけるのかなということを感じています。幼稚園でも英語を前面に出したところも増えていて、ある商店街やレストランが撤退するとそこに入ってくる、というのが日常の風景になっていると思いますので、このあたりが神奈川県はそういうところが増えるという魅力的な地域だということを認識してどうやって折り合いをつけていくかを考えてキーワードに入れました。決して競争力という観点ではなく、多様化が起きているということを子どもがその時に知らなくて、後で振り返ることはできないので、自分自身もどうやったらそういう世界が開けるのかなと考えているということで、意見をいわせていただきました。

 

 牛山部会長:冒頭で申し上げたように、この分野はいろいろと関わりがあり、例えば教育の考え方、国際化の問題、福祉に関わること等様々頂いていますので、ここで関委員に福祉に関して問題提起をしていただき引き続き議論進めていきたいと思います。

 

 関委員:まず、先ほどのテーマの教育について、神奈川県は外国籍の方をどんどん受け入れていこうという政策をしていますので、留学生などが入ってきたときに言葉の問題に加えて生活支援などを充実させていく必要があるのかなと思いました。留学生や親の都合で日本に来た子どもたちへの対策の点からすると、神奈川県にどれくらい外国籍の子どもが入ってきているのかというデータがあるとよいと思いました。神奈川は(県内の)大学をどう位置づけたいのかという方針がより明確になるとよいと日々感じております。例えばロースクール、全国的には廃止しようとする傾向にありますが、東京にたくさんあるから神奈川県に要らないという議論がありますが、神奈川独自にそういったもの(ロースクール)が必要なのかどうか、神奈川として高等教育機関をどの程度位置づけていくかの方針を出していくとよいのではないかと思いました。

引き続き、私から福祉の関係につきまして、お話をさせていただきます。本来であれば、神奈川県のデータに基づいて、神奈川県特有の問題について検討をしていきたいところですが、今後、県の方でもデータ等のご提示をいただけるとのことですので、今回は、全般的な内容についてお話をさせていただきます。

私がやっている社会保障というのは、年金・医療・生活保護など、国が中心となって政策を進めているもので、県としては、それに対する上乗せや横出しの給付など、とりわけ福祉の分野でどのように取り組んでいくのかが重要になってきます。ただし、本日は、社会保障を前提としたものではなく、個人の自立を支える仕組みを考えるうえでの前提となる内容としてお話をしたいと思っています。

皆様もご存知のことと思いますが、日本人の平均寿命が伸びている中で、いつも感心するのは、戦後から見ると68年間で男女ともに30年以上、平均寿命が伸びています。自分のこととして考えたときに、これから30年寿命が伸びるとなると、人生設計を考え直す必要が出てくるなど、非常に大変なことです。そのような状況が全国的に起きている中で、社会や個人の意識が、高齢化の進展に追いついていない現状があり、そのことを改めて認識した上で、施策を考える必要があると思います。

特定年齢(75歳)の平均余命をみると、75歳まで生きた女性は、90歳まで生きるといわれており、既に人生90年時代になっています。仮定として、ひとりの人生を全部自分が働いて支えると想定した場合、人生90年時では、例えば、20歳から65歳まで働くとすると、働いている期間が45年間で、残りの子どもの時代(若者期)が20年、65歳以降(高齢期)が25年となり、支える期間の45年間(20年+25年)を働いている期間の45年間で支えることとなります。いい換えれば、給料が20万円あるとすると、そのうち10万円は、その他の期間のために取っておく必要があるということになります。ひとりの人生で考えた場合でも、自分が老後のために給料の半分を取っておくということは、非常に難しい状況となっています。

それを、例えば、20歳から75歳までの55年を働く期間とした場合には、35年(若者期20年+高齢期15年)を55年で支えることになり、3分の1を老後に備えるという状況となります。長寿命化は、個人で考えた場合でも、非常に大変な状況であり、それを社会全体で負担していくことになります。お金は降ってくるものでもなく、誰かが負担しなければならない状況であるとすると、出来るだけ自立できる人には自活できるような社会を目指していく必要があると思っています。

そういったことを考えると、よく年金の支給が75歳なのか80歳なのかという話しになるが、年金は就労期間との関係があるため、結局、75歳や80歳まで働ける状況でなければ、無収入の状態となり、生活受給や低取得に陥るということになります。平均寿命の伸びだけをみて、年金の支給年齢を上げられるということではなく、まずは、社会全体で、働ける環境を作っていき、自活できる人を増やしていくなど、そういった状況が整ったところで、やっと社会保障制度についても考えていくことが出来る状況になると思っています。

では、どのように働いていけばよいのかというと、働く期間を長くして、年金のことでいえば、薄く長く支給するのではなく、ある程度まで長く働いた上で、充実した給付にしていくという在り方が望ましいのではないかと思います。このような話を60歳代の方にすると、今から75歳まで働くのは無理だというご意見をよく聞きます。今まで、ある年齢を目標に走ってきた人たちに、あと5年働いてほしいというのは、無理な話で、早くリタイアしたいという方が多いのが現状としてあります。そうなると、そもそも若いときからの働き方を変えて、20代、30代からゆっくりと走っていかないと、結局は長持ちしないという状況に陥ってしまいます。そのため、これからは、どのように長距離走を走っていくのかをしっかりと考えていく必要があると思っています。

また、日本の総人口の長期的な推移を将来推計を含め、1850年からの250年間という長期的なスパンで人口をみたとき、人口は増加から減少に転じようとしていることがよく分かります。私がこの変化の中で好きな点は、現在、我々は増加から減少に転じる変革の30年の中に生きているということです。人口が伸びてきた社会と減ってきた社会は、同じ訳ではなく、社会を変えていかなければならないということが、非常に明確に分かると思います。その社会を変えていく時期に今差し掛かっているので、我々が社会を変えていかなければ、将来の社会が生活しやすいものにならないし、抜本的に変えていかなければならない時期にきているとも思っています。同時に、社会全体が人口減少に転じてきたことを、多くの人たちが何か社会が変化していることを感じ始めていると思います。ワーク・ライフ・バランスといった言葉は、以前からあったが、最近になって過労死の問題などが取り上げられ、より一層、実感がある今だからこそ、神奈川県も変わっていければよいのかなと思っています。そうした場合に、神奈川らしい働き方はどのようなものかといった政策を考えていく必要があります。先ほど、ITのお話もありましたが、例えば、神奈川が他の県と違うのは、東京で働いている人が、毎日、会社に行かなくても、週2回会議のために出勤すれば、あとは自宅で仕事をするということも、東京から離れたより遠くの県の人よりも取り組みやすいといった、地理的な利点もあるので、その場合には、自宅でのITが充実する必要があるということも考えられます。神奈川らしい働き方、ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方というのが、あるのではないかと思います。

また、先ほど、長距離走というお話もしましたが、休みながら働かないと長距離走は無理なので、どのように休んでいけるのかを考える必要があると思います。教育の話しもありましたが、このように長距離走を走るからには、65歳を過ぎた働き方が、それ以前の働き方と同じであることは難しいことから、先ほど、生涯教育の話もありましたが、自分が走り続けるための学びも重要になってくるのではないかと思っています。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。今、問題提起をいただきましたが、先ほどのテーマと関わる部分も色々とあるかと思いますので、多面的にご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

 原嶋委員:今日は、今後起こりうる変化ということで、少し極端なことも含めてお話させていただきます。ひとつは、今までは社会全体で「長生きすることは良いことだ」「健康で長生きしましょう」、あるいは「高齢者を敬いましょう」とか、なんとなくそういう認識でいましたが、たぶん今は、若い人を含めて、そういった言葉が心に響かなくなってきている。むしろ、長生きすると老後破産とか施設がないとか、徘徊とか、長生きに対する感覚が変わってきている。高齢者を敬いましょうというのは、いろいろな背景があるでしょうが、ひとつには高齢者が少なかったのでリスペクトしていたという面もあり、それが多くなるとリスペクトする度合いは必然的に減ってくるでしょう。長生きは良いことだという感覚そのものが、これから先変わっていくだろうということです。もうひとつは、前回の部会での話と関連して、社会全体のリソースが、子どものいる家庭や女性に十分配分されていないということ。あえて極端な話をすれば、子どものいる女性に特権を与える、税制にせよ雇用にせよ、それくらいしていかないと今のシニアと若い人の格差や子どもがいる人といない人の格差は解決していかないし、そこが大きな問題だと思います。非常に極端な話ですから、反論やご意見はいろいろあるかと思いますが、それくらいしていかないと、今のアンバランスは解決しないです。今、子どもがいる人のほうがいない人に比べて大変だし仕事も中途半端になってしまって損だというような感覚になっていますから、それを解決するくらいの極端な特権を与える必要があると思います。私はキーワードのひとつに、「ペットの数>子どもの数」と書かせていただいて、これは皮肉交じりのものなのですが、今、私の身の回りにも、いろいろな事情がおありなのでしょうが、子どもがいなくてペットを飼っている人がいます。私は子どもが3人いるのですが、そのペットを飼っている方に話を聞いたら、うちの子どもが食べているものよりもペットのほうが質の良いものを食べていたりする。まあ、これはジョークとして聞いていただければ良いのですが、やはりそういったところを大胆に、長期的に考えていく必要があると思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。特権というかどうかはともかくとして、やはりきちんと支援する体制がないということはご指摘の通りだと思います。他にはいかがでしょうか。

 

 小池委員:とても貴重なご意見をありがとうございました。長寿であることが喜びである社会であって欲しいと強く思います。今後、2030年あるいは2045年になると、高齢者のイメージは恐らく現在とは違ってくると思います。既に現在私達が見ている高齢者は、10年前、20年前の高齢者の姿より恐らく5歳、あるいは7歳から8歳若い身体機能を持っています。これから、アルツハイマー型認知症の予防の薬やメカニズムの解明によって、認知症になるような病気が抑えられたり、悪化しないで済むようになる状況が出てくると思います。ですから、2030年、2045年というのは、高齢者のあり方が元気な高齢者、社会の中で活躍できるような高齢者という姿になっていくのではないかと思います。必ずしも高齢者の方達が、給与を得て75歳、85歳まで働かなくてはいけないわけではありませんが、厚生労働省が進めているシルバー人材を活用した子育て支援、例えば就学児童に勉強を教えたり、乳幼児に食事を介助したり、子育ての仕方をお母さん達に教える、そういった知恵や経験の伝承という形で活躍していただくことも可能ではないかと思っています。そういうことができるようにするためには、ゆったりとした仕事の仕方であったり、ボランティアを含めて社会参画できる機会を増やしていくことが重要だと思います。ひとつ懸念があるのは、高齢者になればなるほど経済的な格差が強くなってくることです。それは健康の格差や介護の格差、住まい方の格差につながっていきます。この格差をどこまでどのように解消するのかということは、本当に考えていかなくてはならないことだと思います。一方で、社会で支える仕組み、地域で暮らし方を支えていく仕組みづくりというものも重要だと思っています。どんなにお金があっても、社会とのつながりが切れてしまった独居の高齢者の方達はやはり健康を崩していきますので、社会とのつながりをしっかりと作っていくことが併せて必要だと思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。確かに、先ほど池本委員からもお話がありましたように、高齢者や福祉に対する考え方、教育にも関わってくることだと思いますし、これからの社会をどうするかという多様なご意見をいただいたと思います。他にはいかがでしょうか。

 

 原委員:関委員のお話を伺い、高齢化と人口減少ということで、安心安全な社会システムを維持していくのは大変なことだと認識しました。経済活動から考えてみますと、日本は今、GDPが世界第3位ですが、一人あたりの生産性で見ると世界で27位だそうです。実は日本は先進国の中でも生産性、一人あたりのGDPはあまり高くない。さらに、30代から40代の男女を比較をすると、女性は男性の4割くらいになる。つまり、女性の生産性が低いというのが日本の特徴である、とデータに書かれていました。女性の社会参画はこの20年で増えたのだろうと思いますが、生産性を上げる、女性が働ける環境をより支援していく必要があるだろうと考えています。それから、これはよく思っていることなのですが、人口はどうしても減少していくわけです。結婚の割合がこのままだとすると、人口1億人を維持するためには女性ひとりあたり3.44人産まなくてはならないというデータを見て、これは無理だと。ということは、間違いなく人口は減少していくわけです。私は県西地域で活動しているのですが、県西地域の市町村の中でも定住化対策を一生懸命やっています。短期的にはそれが正しいと思うのですが、全体的な人口減少のトレンドの中では、それは周辺地域との人口の引っ張り合いになります。そう考えると、今の社会システムを維持しようということも大切ですが、システム自体を人口減少を前提に設計していかなくてはならないと思います。その時に、たとえば我々は評価部会ですから、総合計画について順調かどうかといった評価をしていますが、そうした目標を達成しつつも予算が余ったら評価されるというような行政の仕組みなども考えていかなくてはいけないのではないでしょうか。予算が余ると行政上よろしくないというような感じがしますが、そういうことも含めて考えたほうが良いと思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。行政の仕組みに係ることも多々あるかと思いますが、次のテーマに移りつつ議論を進めていきたいと思います。福祉についても教育についても、国際化、グローバル化が関わっていると思いますが、国際について木曽委員からご提案いただきたいと思います。

 

 木曽委員:それでは、私のほうから国際ということで。この領域の課題というのは、国際関係の変化だけではなく、国レベルの政策・制度によって決まる部分が大きいところですし、また、さらに10年後、20年後を見据えてということですので、大変難しいなと思いました。とりあえず今回は、「神奈川県に限定せず」ということですので、基本的には、神奈川県に限定せずにいくつかの論点をお出ししたいと思います。

まず、1点目ですが、今後の外国人の流入と多文化共生社会という課題でお話いたします。人の移動、流入といっても、いろいろな形がございます。例えば、ひとつは、労働力としての流入です。日本が非常に慎重な受け入れ政策をとってきたということはご存知だと思います。そうした中で、在留資格は様々なのですが、流入する外国人労働者数は増えています。厚生労働省のデータによりますと、外国人労働者の数は、昨年10月で108万人強ということで、対前年比19.4%増となっています。平成19年に届出が義務化されて以来、過去最高ということです。一方、国際社会からは、労働条件等について、非難の声もあります。ですから、そうした、労働環境の整備、労働条件の公平化ということに取り組みながらも、外国人労働者への依存が、これからも様々な分野で検討される可能性があるかと思います。例えば、現在、EPA、経済連携協定に基づいて、東南アジアからの看護師あるいは介護福祉士の活用が期待されています。実際には、流入は非常に限定的なようですが、今後は、技能実習制度を活用しての流入が始まるとのことです。日本の高齢化社会の現状、それから、今後の福祉の充実ということから考えますと、先ほどお話に出ましたような、中高年の方々の学び直しも非常に重要な視点かと私は感じましたが、そうした分野での外国人の活用ということも、今後、さらに検討され、期待される領域ではないかと思います。また、オリンピック・パラリンピック関連の建設労働者需要、これもずっと需要が上がってまいりました。それで、実際に、平成27年からは、建設分野における外国人人材の受け入れが始まっています。こうした分野、資格での労働者の流入は、今後も急増が見込まれるということです。

2点目は観光客です。ご承知のように、訪日外国人旅行者数も急増しているということで、2016年は2,403万人になり、過去最高を記録したということです。日本経済や社会へのその影響は、非常に大きいわけですが、ベネフィットとともに今後は、自然災害時や、あるいは、異文化ギャップによるトラブルの発生、これを回避すること等々、さまざまな課題への対応の必要性も高まるかと思います。もう既に対応している行政もあるとも聞きます。

3つ目の課題として、難民の受け入れです。この問題も、世界的に深刻度を深めています。昨今、シリア、あるいは南スーダンも難民問題も含めて、難民が増加しているわけですが、受け入れ対応というのは、国によって大きな差があります。日本は、これもご承知のように、欧米各国に比べて、きわめて消極的な姿勢をとっています。2015年、日本で難民認定されたのは、27名という状況です。しかも、世界的にも、閉鎖性や、規制を強める傾向が見られていて、世界の難民政策自体が大きく揺らいでいるという状況です。そうした中、数日前、日本政府は、今年から5年間でシリア難民を300人、以前150人の留学生を受け入れるということでしたが、留学生とその家族を定住も視野に入れて受け入れることを表明しています。規模がまだ非常に小さいわけですが、今後、難民受け入れ政策がどう変わるのか。そして、定住をどのような形で支援するのかは、その国際環境の中でも日本が問われていくことかと思います。

その他、留学生の流入も含めまして、外国人の流入はこれだけではないのですが、今述べた形の流入であっても、さらに今後定住者となる可能性も含めて、どのような日本社会のあり方を望み、どのような施策をとるのかが長期的な課題になると思います。つまり、建設労働需要の件を考えましても、オリ・パラ以降の、まさに10年後、20年後を見据えて、経済への貢献という側面から注目するだけでなく、労働者、生活者、そして隣人としての外国人との共生のあり方、その可能性の追求ということが必要かと思います。これが、まず一つ目です。

それから次に、国際といいましても、国際貿易であるとか国際資本の移動ということをここで議論するのは不適切かと思いますので、私は、開発経済学を大学で専門としていますので、国際貢献に絡む課題ということで2点ほど挙げたいと思います。

まず、その一つが、企業誘致との関係で、CSRについて考えていくということです。CSR、企業の社会的責任ということで、これも昨今よく聞くことがあるかと思います。国内の社会的課題に対してだけではなくて、国際社会、特に開発途上国との関係においても、企業が社会的責任を果たしていくという期待なのですが、今日、日本でも、多くの企業が盛んにこのCSRの実施を謳っています。このCSRの実現に向けた動きを、行政がもっと支援していく可能性はないのだろうかということです。つまり、例えば、神奈川県でも、神奈川に立地する中小企業は、そうしたCSRへの取組みの支援を受けることができるという施策をとる。そして、企業の誘致を図る。支援を受けた企業は、例えば、直接的な下請関係にあるような海外の事業所だけではなくて、そのバリューチェーンの末端に位置するような事業所の雇用労働環境、あるいは、その取引関係にある国の自然環境保全等に資する活動に取り組む。その結果、企業は責任を果たし、その評価を高める。県は、国際貢献、それから企業の誘致という、2つの側面で効果が期待できるのではないだろうかという、非常に素朴なアイデアです。

それから、もう一つが、フェアトレードの発展支援可能性の模索です。これもCSRに関連するのですが、日本は、なかなかフェアトレードの認知度が高まっていない国といえます。ご存知のように、フェアトレードは公平な貿易を意味するということで、きわめて低賃金・劣悪な雇用労働環境でつくられたもの、これを、ただ安価だからと手に入れるのではなく、取引のしくみを見直し、公正な貿易を行うことで、生産者の労働と生活を保障しようというものです。神奈川県では、逗子市がフェアトレードタウンに認定されていたりします。このあり方についてはいろいろ議論もあるとは思いますが、このフェアトレードへの取組みは、世界の中でも、日本、また神奈川県に対する一つの大切な評価を生むだろうし、国際支援にもつながるというふうに考えます。

最後のポイントですが、国際化と次代を担う若者の育成という点です。若者の異文化理解の振興、それから、先ほどのお話にもありましたように、外国人の流入が増える中で、外国語を母語とする子どもたちの支援も、当然、視野に入れる必要があるのだろうと思います。10年後、20年後を見据えるとすれば、ますます多文化共生が重要な課題になるかと思います。こうした多文化共生とか海外交流を求める声というのは、国際環境が変化する中で、必ずしも、一方向性に進むものでもありませんし、非常に多様な考え方があるものだと承知しています。しかし、国際社会の中で、非常に自給率が低い島国、日本が、持続可能な社会を実現するために、次代を担う子ども、そして若者の国際化は、非常に重要な課題だと思います。学校教育の中で、偏見や思い込みを排して、柔軟な心を持つ、多文化共生社会の住民に、また、海外に飛び出して行ける、海外でも活躍できる人材、そういう子どもたち、若者を育成するために、どのような取組みが可能なのか、これも考え続けていくべき課題かなというように考えております。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。木曽委員から国際ということでお話をいただきましたが、いかがでしょうか。

 

 朱委員:木曽委員から様々な興味深いお話を伺い、ありがとうございました。また関委員や小池委員からも高齢化社会等のお話がありまして、それを踏まえて私なりにお話をさせていただきたいと思います。高齢化、少子化というテーマがありましたけれども、私は今母と2人で暮らしておりまして、ある意味母子家庭であります。所謂若い母親と小さな子どもではなくて、年老いた母と中年のおじさんが二人で暮らしているわけですけれども、母は昭和4年生まれで今年88歳となります。そうしますと、この先10年なのかもっとあるのか分かりませんが、私は母を見送った後に問題提起にもありますように独居老人となるわけです。こういった人たちがこれからの日本ではきっと増えていくのではないかと思います。そうなった場合の10年後、20年後の我々の面倒を誰がみることになるのでしょうか。自分のことは自分で面倒をみなくてはいけないのか、そういったところが非常に気になるところです。母は週に3回デイサービスに通っておりまして、そういった形で外との関わりを持たせています。そうでないと、1日中家にいてテレビを見て居眠りをして食事をして、その繰り返しだけになってしまいます。そういった人間が増えていかないようにするためにも、介護の制度やシステム等についてもっといろいろと工夫されたものができるようになればいいと思います。こういうもの、というのが今すぐには思い浮かばないのですが、皆様と知恵を絞って、神奈川だけということではなく、日本全国で何かよい取組みができてくるようになればいいなと思いました。国際という部分の話になりますが、先ほど看護師の流入ですとか建設需要の高まりによっていろいろな労働力が入ってくるという話がありましてけれども、オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要によって益々多くの労働力が流入してくるようになると思います。そういった人々を一概に単純労働者というわけではないのですが、そのようにして入ってきた人々、日本語を母語としない人々が将来日本に馴染んで定住していくことになるのかどうかが気になります。建設労働となると男性の単身者が多いのだと思いますが、彼らが日本に定住した場合、日本で配偶者を見つける場合もでてくると思います。結婚は人の縁ですのでどういったかたちになるかは分かりませんが、日本の方と結婚されて子供が生まれればその子供はダブルの文化背景を持つようになります。私もそうです。私の父は中国から来ましたが、私自身は日本で生まれ育ちました。日本在住で中国文化と日本文化の両方を持ち合わせています。よく日本人と外国人が結婚して子どもが生まれるとハーフといわれますが、ハーフといういい方は私はあまり好きではないのでダブルといういい方をしていますが、そういった2つのよいものを持ち合わせている人々が今後日本でも増えていくのではないでしょうか。観光客が大勢来る場合にも当てはまると思うのですが、やはり文化的な、言語的な摩擦が生じます。クリスマスのころに北海道で大雪が降って新千歳空港で中国人が騒いだというニュースがありましたが、あれもおそらくコミュニケーション不足によって生じた問題なのではないかと思います。観光客が来ることによっての日本経済のプラス面は非常に大きいと思いますし、いかにそういった人々を排除するのかではなくて、どうにかまるく収めて受け入れていくという方法を考えていくことが必要だと思います。また別の例になるのですが、中国人は日本だけではなくて世界各地に観光に行っておりまして、その1つとして台湾に行く中国人がかつては沢山いました。過去8年間は非常に大きく伸びていたそうです。というのも、台湾のときの政権と中国の政権の仲が非常に良かったからです。しかし昨年台湾で政権交代がありまして、中国に対して敵対するような政権ができた途端に中国人観光客が行かなくなるという現象が起きたようです。それによって台湾の観光業界、特に観光バスやホテル業界などは大きな打撃を受けたそうです。幸いに日本ではまだそういった事態にはなっていないようですが、今中国と日本の関係は非常によくないです。中国に対する印象はよくないと回答する日本人の割合が高いというデータが公開されていますが、これはある面ではマスコミのいろいろな宣伝といいますか喧伝といいますか、例えば北京のPM2.5であるとか中国のマイナスなニュースばかり報道することも影響しているのではないでしょうか。PM2.5は確かに存在する話なのですが、そればかりではなくて相手のいいところも見出して欲しいと思います。それは中国もそうです。中国政府も日本の悪いところばかりいっています。ある意味お互い様な状況です。いいところもありますし、もちろん悪いところもあります。その両方を受け入れていかなければ今後発展していかないのではないかと思います。あと、中国人はまだ沢山来ると思います。いいか悪いかは別として、観光客も沢山来ると思います。中国の富裕層の中にはもの凄くお金持ちの人もいるようで、そういった人々の中には例えば日本の医療を受けに来る観光団もあると聞きます。爆買いするのではなくて、これからはもっと冷静な消費活動に移っていくのではないかと思います。補足としましてお互いの理解を深めることが大事ということがよく分かる事例をご紹介しますと、横浜には中華街という所がありますが、横浜の中華街は横浜の開港とともに中国人が定住していって今日の姿があるわけです。日本と中国の関係が悪くなっても横浜の中華街はいつも繁栄しております。一方東京の池袋にも中国人が沢山住み着いていて、そこでもチャイナタウン構想が持ち上がりましたが、結局できませんでした。長い間の蓄積、地元の人々との信頼関係の上に横浜中華街はあるわけですが、池袋では非常に短期間で作り上げようとしたから失敗したのだと思います。長い間の信頼関係を蓄積していってこそ、双方の理解が深まるのではないでしょうか。それともう1つお話させていただきますと、私は今は石川町の駅前にあります中華学校を卒業しました。日本にいる外国人の中で中国人の比率が一番高いのですが、全日制の中華学校は日本に5校しかありません。在日の中国人師弟を受け入れるだけのキャパシティはないということです。ということは、中国人師弟の多くは普通の、公立の小中学校に通っていることになります。彼らを受け入れていただいている日本の行政や学校には非常に感謝を申し上げたいわけですが、そういったところに通われている生徒さんは将来的にはきっと日本と中国、ひいては多文化を有する人間として育っていくのだと思います。人口減少の中で異文化をダブルで持っている人々が沢山増えていくことは大変いいことなのではないかと思っています。

 

 牛山部会長:どうもありがとうございました。他にはいかがでしょうか。

 

 山本(佳)委員:少し話が変わりますが、外国人の方々については特に神奈川県は多いと、定住している方々も多いということですので、日本全体が高齢化が進んでいることを考えると、外国人の方々の高齢化も進んでいくのだと思います。とすれば、そういった方々は医療とか社会福祉サービスですとかそういうものをきちんと受けられるのかどうか、それもやはり大きな問題としてこれから考えていかなければいけないのではないでしょうか。定住されているとしても、例えば医療であれば痛いとか症状をきちんと日本語で説明ができるのかとか、難しい場合にはその方の母国語を理解できる方に間に入っていただいて日本人医師とのコミュニケーションをとるのかなど色々なことを考えなければいけない時代になってきていると感じました。もう1点はまた別の話で、私のプライベートな経験から感じたことなのですが、私の研究室は工学部の研究室で、文系の方々よりも人間関係がかなり密です。留学生が1年に1人は絶対いらっしゃるのですが、研究室が少し特殊でキッチンが備えられているため、お互いに何かを作って食事会をしたりして、不思議な料理といいますか、妙に辛いものを食べさせられたりいろいろな経験がそこでできています。そういった経験を若いころからすると、異文化に対して自分たちからも理解しようという気持ちを持てるようになるということもあると思います。そういった類の経験を何らかの段階で若い人たちができるといいと思いました。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。まだご意見あるかと思いますが、次のテーマであるまちづくりについて中西委員から問題提起をお願いします。

 

 中西委員:まちづくりとは社会や人々の活動を支えるためという意味がありますが様々な分野で使用されています。また、私は都市計画を専門としていますのでここでは、ハード寄りの話をさせていただきます。

世界的な動向として、都市計画がどう動いているかということですが、計画的に、硬直的にプランを作成し、それを実現するという話はだいぶ前に終わっておりまして、今日のプランニングの状況というのは、いかに状況に応じてプランを柔軟に見直しながら、それを合意形成のツールとして使い、臨機応変に対応することと、高い都市空間の創出につなげていくという難しい両立を狙ったプランニングに変化しています。さらに、都市政策全般の話ですが、ハード整備だけでなく、地域経済やQOL向上を組み込んでハード・ソフト両方にわたるプランに変化しています。実際、呼び方もプランからストラテジーに変わってきています。ただ、日本の都市計画制度は非常に硬直化しており、問題点を指摘されながらも変わっていない。政治の問題もあると思いますがそういう状況です。先ほども国際化の話でもありましたが、そういった現在の日本のある意味「蛸壺化」した状況がおかしいという指摘も、外の状況を知らないと出来ないし、意識も高まらないという意味でも広く世界に目を向けた国際化というものは大切だと考えております。

まちづくり・都市計画はローカルな世界ですので、日本国内や神奈川県はどうなのかという点を考えていく中で、共通する課題として、人口減少・超高齢化が神奈川県でも顕著となることは避けがたいと思います。ただ、大都市圏では、人口減少よりは、超高齢化の影響の方が大きいと考えます。都市のストック(基盤・公共的な施設・建築物)の老朽化も進行している。また、その担い手の行政・民間含めまして、衰退しておりますので、メンテナンスができないという例があります。これらの動向が偏在して起きていることにとても注意が必要です。率直に言えば、東京や横浜、川崎など政令市の中心部は色々な方々が努力されるので、なんとかなるのかなとも思うのですが、そうではない地域で問題が生じやすいと考えています。あるいは、超高齢化によって福祉・医療が課題となりますが、サービスの総量では語れなく、総量が十分であってもサービスが届かないという空間的なマッチングが難しい問題として起きています。しかも、総量自体を維持することも困難である中で、どうやって空間的偏在を解決していくかが問題です。

国の方も、立地適正化計画制度を導入し、コンパクトシティとうたっています。ただ、大都市では分かりやすいコンパクト化は困難で、メリハリをつけた都市構造を造りながら全体として持続可能な地域へと誘導していくということが本当の狙いですので、コンパクトという言葉に引きずられてはいけないと考えます。いずれにせよ、メリハリをつけたハード整備、メリハリをつけたサービス配置をせざるを得ないので、その課題の実現を総合計画レベルの大きな方針としてうたっていく必要があると考えます。

具体的には、公共施設の再編などを行いながら、民間ストックの利活用を進め、サービスが届かないところには、技術革新、例えば自動運転などを使いながら全体としてQOLを維持・向上させることが課題です。これまでは空間整備として、お金をかけながら行ってきましたが、そういった時代は終わっておりますので、行政においては、別部門とされていた領域としっかり連携しながら地域経済、医療、福祉、教育の需要と必要性を支える形で空間整備を行うようにならなければならないと考えます。そういった意識をお持ちの方も多くいらっしゃると思いますが、実際には縦割りの部分が残っていますので、今後5年から10年間で如何に連携していくかが大切だと考えています。また、行政内部の部門別の連携や県と市町村の関係も考え直す必要もあると考えています。というのは、市町村への権限が降りて、地方分権が進みましたが、語弊を恐れずに申しますと、若干進みすぎではないかと思うところもありまして、その中で特に神奈川県のような県の立ち位置は難しいだろうなと思います。そういった役割を制度上、運用上どう整理するのかという課題があります。あるいは、特に県西部の市町村間の連携がどうなり得るのかなど、行政組織の話が、裏にある重要なテーマとして潜んでいるのではないかと感じています。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。ただ今中西委員からご提起いただきました。時間が限られておりますが、ご意見いただきたいと思います。

 

 原嶋委員:都市計画やまちづくりはヨーロッパなどでも色々なアイデアがでてきていますが、問題は導入する意思決定です。縦割り行政という話もありましたが、なんとなく、今の社会の仕組みの意思決定がぎくしゃくしてスムーズにいかないという印象があります。例えば、シニアと現役世代、現役世代でも子どもがいる世帯といない世帯あるいは外国人と日本人の世帯など色々な形があり、社会の意思決定の仕組みを少し見直すとか、選挙も年齢を見直すなど変えようとしていますが、そういったことも含め、まちづくりを決める意思決定の仕組みをどう変えるかが肝というか、重要ではないかと考えます。

人口が減少する中で、県土全体を均等に発展させるという考え方にこだわることが必要かどうかは十分に議論する必要があると思います。極端なことを申しますと、人が住まない地域があっても良いのではないかと、定住化施策を推進されている基礎自治体の皆さんには怒られてしまうと思いますが、そういった大胆な考え方も長期的には必要ではないかと考えます。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。

 

 原委員:我々の住んでいる地域でも空き家・店舗増えていまして、同時に一番問題かなと思っているのが、使っていない公共空間、これがまた結構広かったりするものですから、これをうまく利活用するということが、まちの魅力をもう一度魅力づけするということに非常に近道なのかなと思います。ただ、そのときにPPPのようなもう少し民間活力を活用するような方法というのがあるんだと思うんですけど、基礎行政のほうにもそういったノウハウがないということがありまして、そういうことの支援であるとか、そういったことをやらないといけないのかなと思います。今まさに使われていない公共空間のために管理費がでて、その管理費がでていくために福祉や教育に金が回らないということになりますから、地域の中でたぶん一番土地をもっているのは行政だと思うので、使っていない公園・道路、そういったものを活用しながら稼ぐ地域づくりをしていかなければならないのかなというふうにすごく感じています。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。他の委員の方いかがでしょうか。

 

 山本(篤)委員:前回私、一部話をさせていただいたところなのですけれども、今日の中西先生のお話にもあったように、今後やはりメンテナンスということが非常に重要になってくるのではないかと思います。新しくつくるより、今あるインフラをいかに維持していくのか、それがないとやはり、住み続ける地域はできないわけでありまして、その点からも地域の建設業の振興を図っていくということが必要になってくるのではないかと思っています。それともう1点、中西先生への質問になるのですが、住み手の立場からすると、防災とか減災とかが非常に関心の高い分野になりまして、神奈川県でも当然地震の起こりやすい地域だと思うのですが、そのあたりの対策とかお考えなどがありましたら一言聞かせていただければと思います。

 中西委員:防災は直接の専門ではないのですが、ただ、住む場所をどう誘導するかという土地利用計画のジャンルに私はいるのですが、その中で防災は当然重要なテーマです。立地適正化計画について、これは神奈川県内の市町村で作成の動きが見られるのですが、わかりやすくいうと、居住誘導区域とか、都市機能誘導区域というのを定めて、そこに人が集まりたくなるような整備をしていきましょうという趣旨の仕組みです。これは長らく都市計画の怠慢だと思うのですが、どの範囲に人が住むかということについて、1968年のいわゆる線引きですね、市街化区域と市街化調整区域のところと、大きな都市構造を誘導するような上手な仕組みがつくれていなかったのですが、この立地適正化計画は良し悪しの評価はありますが、私としては都市構造をしめそうというものと手段をセットにした興味深い資料になっています。その策定に私もいくつか関わらせていただいているのですが、そこでかなりやはり防災上、例えば水害が起きる場所、ハザードの問題があるところについては、きちんと見て、区域設定をしております。こういった大きな都市構造を考える制度のなかで、きちんと防災の取組みをうたっていくということも必要かなと思っています。一方で、これは釈迦に説法だと思うのですが、自治体レベルでみると、昨今の地震の動向から災害区域として一生懸命すすめていますので、そういった着実なものも図られておりますので、もう少しそれが市民の認知度が高まれば、実効性もあがるのではないかなと思います。お答えになっていないかもしれませんが。

 

 牛山部会長:ありがとうございます。本当にまちづくりというと防災から福祉やバリアフリーなどさまざまな分野に及ぶので、非常に多面的に議論しないといけないのかなと思うのですが、議論はなかなかつきないかと思いますが、時間の関係もございますし、また県の方でも、委員の皆様に個別にヒアリングなどもお考えになっておられるようですので、今日のところはこのくらいでしめさせていただきたいと思いますが、事務局の方から総括的にコメントがあればお願いします。

 

 杉山総合政策課長:本日は本当に活発なご議論をいただきましてありがとうございました。今回、4つの視点、教育・福祉・国際・まちづくりという、非常に多面的な今後起こりうる社会環境の変化についてのご議論をいただきました。神奈川県でも知事が人生100歳時代の設計図を進めていこう、そういう考え方がある中で、今回、関委員から人生90年時代というお話がありました。これからどういうふうに一人ひとりが生きていくのか、そしてそれをどういうふうに社会システムとして支えていけるようなかたちをつくっていくのか。それはたぶん行政だけでは考えきれない部分もあるのかもしれません。その際には大学の皆さんであったり、民間の皆さんだったり、NPOの皆さんだったり、様々な主体と連携しながら取り組んでいくのかな、そんなふうに考えているところでございます。今日のご意見なども活かしながら、次回以降もより神奈川にフォーカスしていくような議論、そうしたことをぜひお願いしたいと思います。

 

 牛山部会長:ありがとうございました。ただいま課長の方からもお話がございましたけれども、関委員からは90年という話として、もう10年、行政もいろいろ我々の生活を支えなければいけないといっていたところが、さらにもう10年、今後どんなふうにこの計画を見据えていったらよいのか、なかなか本当に大変なことだなということでございますし、また先ほど冒頭で東京のお話もでましたけれども、東京はいっぱいお金があって、人が集まって、どんどんよくなるのかもしれませんけれども、選挙にはそれでよいのかもしれませんが、本当にそれでよいのかなとか、神奈川県としても、いろいろなことを、県民としても考えていかなければいけないのかなと思いながら伺っておりました。

大きく8つのテーマに分けて、2回にわたって、キーワードを出していただきました。前回のご意見、それから今回の部会でいただいたご意見などを含めて、社会環境の変化について、キーワード等をおまとめいただきたいというふうに思いますし、また先ほどのお話にありましたとおり、今後時間をかけて引き続き議論をしていただくということで、今回かなり、自由に大枠の議論で出していただきましたので、引き続き今後ともご議論よろしくお願いいたします。また次回の部会につきましては、年度があけての開催になるか思いますが、グランドデザイン2016年度の取組みについての評価というのも今後していただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日の議事につきましては以上ということになりますが、事務局の方から何かございますでしょうか。

 

<参考資料2「今後のスケジュール(予定)」をもとに事務局から説明>

 

 牛山部会長:委員の皆様から何かご発言等ございますでしょうか。よろしいですか。それでは、これをもちまして本日の部会を閉会したいと思います。本日も活発なご議論をいただきましてありがとうございました。

会議資料

資料:社会環境の変化と今後の課題について[PDFファイル/101KB]

参考資料1:新たな政策課題に関するデータ集[PDFファイル/3.51MB]

参考資料1【別添】:県内の人口分析[PDFファイル/1.3MB]

参考資料2:今後のスケジュール(予定)[PDFファイル/58KB]

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