Q&A 太陽光発電はもう必要ないのか?疑問に答えます!

掲載日:2015年4月14日

太陽光発電はもう必要ないのか

 昨年の9月以降、電力会社が太陽光発電設備の電力系統への接続を制限する事態が発生したため、国が政策を転換し、太陽光発電の導入を抑制するために、出力制御の対象を拡大し、併せて、固定価格買取制度における買取価格を大幅に下げたと受け止めている方が多いと思いますが、それは誤解です。太陽光発電等の再生可能エネルギーを最大限導入するという基本方針について、国と県は一致しています。

 そこで、誤解を解き、疑問に答えるため、「太陽光発電はもう必要ないのか 疑問に答えます!」というQ&Aを作成いたしました。

固定価格買取制度・・・再生可能エネルギーで発電された電気を、10年間(10kW以上は20年間)、価格を固定して電力会社が買い取る制度で、一度適用された価格は、10年間(10kW以上は20年間)変わりません。 

 

Q1 国は、太陽光発電設備の電力系統への接続制限が発生したことを受けて、出力制御の対象を拡大しましたが、今後は太陽光発電の普及を抑制していく方針なのでしょうか?

A. そうではありません。出力制御の対象を拡げたのは、より多くの太陽光発電等の再生可能エネルギーを導入するためです。国も県も再生可能エネルギーを最大限導入するという方針は変わっておらず、今後も引き続き太陽光発電の普及拡大を図ってまいります。

 では、なぜ出力制御が必要になるのか?それは、電気は、常に需要と供給を一致させていなければならず、このバランスが崩れると停電の発生など、電気の安定供給に支障をきたすおそれがあるためです。すなわち、電力会社は需要に対して供給が多すぎる場合には、まず、火力発電などの発電量を制御(下図1(1)火力発電の制御)することで需要と供給のバランスをとり、それでもなお、電気の供給が需要に対して多くなる場合には、太陽光発電等の発電量を抑制(下図1(2)太陽光発電の抑制)することが必要となるのです。

 今回、定められた出力制御の新ルールでは、従来、500kW以上の設備に限られていた太陽光発電設備の出力制御の対象を、住宅等に設置される設備を含む500kW未満の設備まで拡大しました。電力需要が最も少ない時期(春や秋)に出力制御を行うことにより、より多くの太陽光発電設備等を電力系統に接続できるようになり、電力需要が高い時期(夏や冬)には出力制御を行わずに発電できるため、結果的には電力量(下図2(3)太陽光発電の発電電力量の増加)でみれば、より多くの太陽光発電等を導入できるのです。

 なお、東京電力エリアでは、当分の間、住宅等に設置される規模(50kW未満)の設備は出力制御の対象外となります。

             (図1)

最小需要日の需給イメージ

                                 画像元:資源エネルギー庁

            (図2)

出力制御による太陽光発電増加イメージ

出力制御の新ルールのポイント
1.従来は500kW以上の太陽光発電設備としていた出力制御の対象を、500kW未満の設備に拡大したこと。  2.従来は、一日単位で年間30日までとしていた、補償なしの出力制御の期間を、時間単位に変えて、年間360時間までとしたこと。                                                        3.きめ細かな制御を行うため、遠隔出力制御システムの導入を義務付けたこと。

Q1-1 既に設置済みの太陽光発電設備も、出力制御の新ルールの対象になるのでしょうか?

A. 既に設置されている設備に対しては、引き続き出力制御の旧ルールが適用されます。出力制御の新ルールがさかのぼって適用されることはありません。

Q1-2 電気の供給量が需要量を上回る場合は、蓄電池に貯めたり、他の電力会社のエリアに送電できれば、太陽光発電等の出力制御は不要ではありませんか?

A. 蓄電池の導入などは、太陽光発電等の出力の安定化に有効であり、国も今後の導入拡大策として、発電事業者が設置する蓄電池の導入や、電力会社が設置する大型蓄電池の実証事業を支援することとしています。また、電力会社単位ではなく日本全体で最も効率的に再生可能エネルギーを受け入れる観点から、広域的な系統利用を可能とするシステムを構築するため、電力会社のエリア間を結ぶ地域間連系線の利用ルールなどを見直すこととしています。 

Q1-3 県内では、太陽光発電設備を東京電力の送配電系統に接続する際に制約はないのですか?

A. 東京電力によると、50kW未満の発電設備についての制約はないとしています。

 なお、50kW以上の発電設備の制約については、需要と供給のバランスによる要因(バランスの面)があることに加え、既存の送電線や変電所において電気を送れる量に余力があるのか(設備容量の面)、通常の変電所とは逆方向に電気が流れることで生じる問題(適正電圧が保てないなど、変電所逆潮流対策の面)への対策はされているか、などの要因にも左右されます。

 これらの要因のうち、需要と供給のバランスの面、設備容量の面での制約は現時点で発生していませんが、一部地域において変電所逆潮流対策の面で対応が必要となるケースが考えられるとのことです。

 同社ホームページで定期的に情報が更新されますので、そちらで最新状況をご確認いただくか、同社に直接問い合わせて詳細をご確認いただくことをお勧めします。

(東京電力HP(当社における系統情報について))

http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/provide/engineering/wsc/yuudo-j.html

Q2 国は、固定価格買取制度において、太陽光発電の買取価格を大幅に下げましたが、今後は太陽光発電の普及を抑制していく方針なのでしょうか?

A. そうではありません。買取価格を下げたのは、設置費用の市場価格が低下したことなどを反映したからです。買取価格の見直しは、意図的に低い価格を設定するようなことはなく、次の買取価格の検討資料を見ると分かるように、太陽光発電設備の設置費用(システム費用)の市場価格等を調査するとともに、発電事業者が適正な利潤(IRR)を確保できるように算定されています。

買取価格の算定方法・・・発電設備の設置費用や修繕費に、発電事業者が受けるべき適正な利潤等(10kW以上の太陽光発電設備の場合、税引き前利益年5%から6%)を上乗せした額が回収できるように算定されています。

太陽光発電(10kW以上)買取価格

平成25年度平成26年度平成27年度
4月1日から6月30日7月1日から
買取価格(税抜)36円/kWh32円/kWh29円/kWh27円/kWh
資本費システム費用28.0万円/kW27.5万円/kW29.0万円/kW
土地造成費0.15万円/kW0.40万円/kW
接続費用1.35万円/kW
運転維持費0.90万円/kW・年0.80万円/kW・年0.60万円/kW・年
設備利用率12%13%14%
IRR(税引前)6%5%
買取期間20年

「平成27年度調達価格及び調達期間に関する意見」(平成27年2月24日)資料をもとに作成

Q3 固定価格買取制度により、大規模な太陽光発電設備である、メガソーラー等への投資は進みましたが、賦課金が増加して電気料金が上がるため、国民にはあまりメリットが生じないのではないでしょうか?

A. 今後、太陽光発電設備の設置が進むと、量産効果等により、設置費用等をもとに算定した発電コストが電気料金より安くなると見込まれており、太陽光発電の普及は国民に大きなメリットになると考えています。

 そもそも、固定価格買取制度の目的は、太陽光等で発電した電気を、電力会社が一定の期間買い取ることを義務付け、安定した収入を保証して初期需要を創出すること、そして、市場の拡大を図り、大量生産により発電設備の設置費用の低下を促進することです。

 また、発電設備の設置費用が年々低下していくと、電力会社に支払う電気料金より、太陽光発電設備を導入して発電するコストの方が安くなる状況に至ります。そうなると、発電設備を設置し、発電した電気を自家消費した方が得になりますので、固定価格買取制度で買い取ってもらう必要はなくなります。

 国民は、固定価格買取制度が運用されている間は、一定の賦課金を負担することになりますが、発電設備の設置費用が低下して、電気を自給自足できるようになれば、電気料金を心配する必要はなくなります。 

 一方、それまでの間は、賦課金の増額をできる限り抑えることが重要です。そのためには、設置費用の低下を見通した買取価格の設定、太陽光パネルの発電効率を上げる技術開発などにより、設置費用の低下のスピードをアップさせることが不可欠なので、引き続き国に要請してまいります。 

再生可能エネルギー賦課金・・・電力会社が買い取りに要した費用は、国民全体で使用電力量に応じて、負担しています。実際の負担額は、毎月、電力会社が発行している「電気ご使用量のお知らせ」に記載されています。平成27年度の賦課金単価(kWh当たり)は1.58円と設定されており、月300kWhの電気を使う標準家庭の場合、月々の負担額は474円程度です。

日本における住宅用太陽光発電設備の価格の推移
                        出典:(一社)太陽光発電協会 太陽光発電普及拡大センター

 

Q4 固定価格買取制度の買取価格が大幅に下がると、発電事業者は採算性が確保できず、太陽光発電の普及にブレーキがかかるのではないでしょうか?

A. 固定価格買取制度の買取価格は、発電設備の設置費用の市場価格等を調査して算定されており、買取価格が下がっても、一定の利益は確保できることに加え、設置費用の市場価格が見通した以上に低下すれば、発電事業者は一層の採算性を確保できることになります。

 ただし、足元の市場動向を見ますと、太陽光パネルは海外から材料を輸入して国内で組み立てるケースが増加しており、円安が進行したことから、以前ほど価格の低下が進んでいません。

 そのため、買取価格が大幅に下がると、発電事業者は、当分の間は採算性の確保が厳しくなると見込まれますが、長期間に及ぶものではないと考えています。

買取価格の適用・・・技術進歩や市場競争による費用の低下などによる発電コストの変化に対応するため、買取価格は年度ごとに決定されていますが、過去に適用された買取価格がさかのぼって変更されることはありません。例えば、平成26年度に国から認定を受けた10kW以上の太陽光発電設備で発電した電気を電力会社に売る場合、1kWh当たり32円の買取価格は、その後、20年間変わることはありません。

 

Q5 県は、薄膜太陽電池の市場創出等に取り組んでいますが、今後の太陽光発電の普及拡大についてどういった見通しを持っているのでしょうか?

A. 県内に多数立地している、工場や物流・商業施設等には、従来の太陽光パネルの重さに耐えられない施設や建物もあるため、こういった施設に太陽光発電設備を導入していくには、薄くて軽い薄膜太陽電池の普及を図ることが効果的です。

 また、これまでの太陽光発電設備の導入は、広い土地にメガソーラーのような大規模な設備を設置することが中心でしたが、出力制御の範囲が拡大されたことなどから、発電事業者の中には、電力系統の容量に余裕がある都市部の事業所等に、中小規模の設備を設置しようとする動きが出てきました。

 一方、今後は発電した電気を電力系統に送らず、自家消費するケースが主流になってくると考えられます。国は自家消費を目的とした発電設備の設置を支援するため、設置費用の3分の1を補助する制度を拡充しました。(独立型再生可能エネルギー発電システム等対策費補助金)

 このような新たな動きも出てきていることから、県内の太陽光発電の導入は、今後、更に拡大していくと見込んでいます。

     <薄膜太陽電池の例>             <国道134号 浜須賀歩道橋のり面に設置した                
                                薄膜太陽電池(防草シート一体型)>
薄膜太陽電池        国道134号 浜須賀歩道橋  
画像元:三菱化学(株)                

Q6 県は、エネルギー自立型の住宅の普及を目指していますが、太陽光発電が普及すると、住宅や事業所は本当に電力系統を頼る必要がなくなるのでしょうか?

A. 住宅については、太陽光発電設備を設置すると年間の電力消費量分程度を発電できますので、併せてエネルギー管理システム(HEMS)や蓄電池等を導入することにより、電力系統に頼らないエネルギー自立型の住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH))を実現することは可能です。

 ただし、そうした機器を導入するコストがまだ高いため、普及させるには費用負担を軽減する支援が必要です。

 次に、事業所のうち電力消費量が比較的少ないオフィスビル等については、省エネを徹底した上で、屋根に従来の太陽光パネルを設置し、窓に薄膜太陽電池を導入することにより、エネルギー自立型のビル(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB))の実現を目指す実証事業が始まっています。

 また、事業所のうち工場等については、大量に電力を消費するので、太陽光発電だけで電力を賄うことはできません。そこで、ガスコージェネレーション等の発電設備を併せて導入することになりますが、全てを自家発電で賄うには多額の投資が必要になりますので、電力需要のピーク時には、電力系統をサブ電源として活用することが一般的になると見込まれます。 

<ZEHイメージ図>
ZEHイメージ図
                                  画像元:国土交通省

<ZEB実証棟>
ZEB実証棟
                              画像元:大成建設(株)

Q7 県は、かながわスマートエネルギー計画において、分散型エネルギーシステムの構築を目指すとしていますが、具体的にどういったシステムを構築するのでしょうか?

A.  分散型エネルギーシステムを構築するには、まず、火力発電等の「集中型電源」から、太陽光発電やガスコージェネレーションなど、電力の消費地のそばで発電する「分散型電源」にシフトさせる必要がありますので、そうした「分散型電源」の普及拡大を図ります。

 次に、「分散型電源」を効率的に活用するため、エネルギー管理システムや蓄電池等を導入することにより、電力系統に頼らないエネルギー自立型の住宅(ZEH)やビル(ZEB)の普及を目指します。

 一方、太陽光発電等の「分散型電源」を導入できない、あるいは「分散型電源」で必要なエネルギーを賄うことができない住宅や事業所もあります。

 そこで、情報通信技術を活用し、個々の住宅や事業所のエネルギー需給の状況を把握するとともに、余った電気や熱を送電線や熱導管等を通じて、地域で融通するシステムを構築する必要があります。

 そうした地域のエネルギー需給を総合的に管理するシステムは、コミュニティ・エネルギー・マネジメント・システム(CEMS)と呼ばれており、今後、県内の各地域に普及させてまいります。

CEMS

 

神奈川県

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