公文書館だより 31号

掲載日:2014年11月6日

写真で見る「基地県」かながわ

 空母ミッドウェイ      昭和21年頃の厚木基地 

左写真)横須賀基地で働く労働者、後ろは空母ミッドウェイ(昭和50年頃)<県広報課撮影コレクション>

右図)昭和21年頃の厚木基地(BH6-561)

 (図や写真の記号・数字は資料請求記号です。)

本県には、明治以来、基地などの軍事施設がおかれていました。たとえば、相模原などには旧日本陸軍の関係施設が移転することにより、新たな都市が形成されました。

その反面、現在、都市化が進み人口が密集する本県では、厚木基地周辺で騒音問題などが発生しており、基地の存在が県民生活の安全などに障害を与えています。

企画展示 「基地県」かながわと人々

開催期間  10月17日金曜から3月31日火曜まで

戦前の神奈川県には、旧日本海軍の代表的軍港であった横須賀、陸軍士官学校が置かれた相模原などの軍事的機能をもった都市(「軍都」)が存在していました。

戦後、県下には在日米軍が駐留し、これらの旧陸海軍の施設を利用することになりました。その後、米軍基地は、県・市・地元の返還運動により、縮小・返還が進みましたが、現在も県土の約1%(約20.8平方キロメートル)を占めています。こうしたことから本県は、沖縄県につぐ「第二の基地県」と呼ばれています。

今回の企画展示では、明治から現代までを対象に、基地などの軍事施設と人々がどのように関係しながら存在してきたのかを、次のような章立てで紹介していきます。

第一章 「戦前の軍都」。戦後の「基地」(横須賀・相模原・厚木)

第二章 かながわの戦争遺跡・基地

第三章 県行政と基地

第四章 軍隊と人々

(1)一将校のあゆみ

(2)戦前の演習と人々

(3)兵器を製造する都市/軍需産業と軍需動員

(4)県立保健病院の開院と婦人相談所の設置

ここで展示資料をいくつかご紹介します。

下の絵図は、明治期に描かれた横須賀軍港の図(石井家文書)です。軍港内の様子が克明に描かれた貴重なものです。

横須賀軍港図 神奈川宿本陣石井家文書(2199436445)

 

下の写真は、相模原市の相模陸軍造兵廠で作られていた戦車です。

現在の相模原市域には、昭和12年に市ヶ谷から移転した陸軍士官学校を皮切りに、陸軍に関連した施設が数多く進出します。それに合わせて、都市計画に基づくインフラ整備が図られ、「軍都」が形成されていきます。

相模原に作られた軍事施設のひとつが、相模兵器製造所(昭和15年に相模陸軍造兵廠に昇格)で、約1万人以上の軍人と工員が、日本陸軍の主力戦車である九七式中戦車(チハ車)などの生産に従事していました。 戦後、相模陸軍造兵廠は、米軍が接収し、横浜技術廠相模工廠となります(現在の相模総合補給廠)。ベトナム戦争の際、戦車などの修理が行われたことから、市民などは戦車の輸送阻止闘争に立ち上がることになります。  

相模陸軍造兵廠の戦車   G74-0-0014  

下の写真は、神奈川県渉外部が作成した「基地民生安定法(仮称)」制定運動の経過を示したものです。

県は昭和36年から、他県と協力して、同法の成立を政府に働きかけていました。この運動は、昭和41年に「基地対策基本法」の公布により結実することになります。本展示では、「基地対策基本法」の制定に神奈川県が果たした役割をみていきます。

展示は1階展示室で行ないます。ぜひお誘い合わせの上、ご来場ください。

渉外関係知事連絡会議

昭和37年から41年度渉外関係主要都道府県知事連絡会議(KF431) 

ミニ展示「信仰の対象としての富士山―かながわの富士講と富士塚―」

開催期間 10月24日金曜から1月11日日曜まで

浅間大神

平成25年にユネスコ世界文化遺産に登録された富士山。

国際的に評価されたその文化的価値とは、芸術を生み出すインスピレーションの源泉であることに加えて、富士山が神聖なる場所、宗教的な信仰の対象であることでした。

このミニ展示では、富士山信仰の一形態として江戸時代に隆盛を極めた「富士講」と、人々が身近な場所に築造した「富士塚」について収蔵資料を交えながら紹介します。

富士山は、古来その姿の秀麗さが称賛され神聖化される一方で、大噴火を起こし広域に自然災害を及ぼす活火山として恐れられてきました。そのため、怒れる富士山を鎮めるため、「浅間神社」が設けられます。

江戸時代、浅間信仰と修験道の系譜の中から、信仰を目的とした登山によって現世利益を得る「富士講」が生まれ、町人や農民等の間で流行します。富士山登拝を望む地域の人々は講元や世話人の下に集まって費用を積み立て、先達(せんだつ)と呼ばれる宗教面のリーダーに引率されて富士山頂上を目指したのです。

一方で、地域の身近な場所に富士山形状を模して築かれたモニュメントである「富士塚」は、代理参拝を可能にしました。県内にも多くの富士塚が作られました。

展示では、都市化が進んだ現代にその姿を残している富士塚もご紹介します。

野口富士講の祈祷の場に掲げられる富士山の祭神「冨士浅間大神=コノハナサクヤヒメ」神像掛軸野口豊氏旧蔵文書:2200700221

収蔵資料紹介

敵討ち一件

「父の敵、成瀧万助、覚悟!」文政7(1824)年4月27日、常陸国鹿島郡磯濱村(現茨城県東茨城郡大洗町)で、小田原藩の足軽兄弟、浅田鉄蔵・門次郎の敵討ちが見事成就しました。事の起こりは6年前、兄弟の父、浅田只助が朋輩の成瀧万助に討たれたことでした。万助は「乱心」とされ、藩の牢に収容されましたが、2年後に牢抜けして、行方を晦ましました。

それを知った兄弟は、牢抜けをした以上、万助は正気に立ち返ったものとして、決然として藩に敵討ちを願い出ます。「親の仇とは共に天を戴かず」といった強い覚悟が示されています。

藩の許しと養い扶持の支給なども得て、兄弟は敵を求めて旅立ちますが、容易に敵と巡り合えず、4年間のさまざまな艱難辛苦の末、とうとう本懐を遂げたのです。

敵の万助は、萬屋九兵衛と名を変えて町中に潜んでいましたが、あえなく兄弟に討ち取られてしまいました。

さて、敵討ちを成し遂げた兄弟は、直ちに土地の役人に親の敵討ちである旨を自訴しました。

敵討ちの成功を知った藩では、当時老中を務めていた藩主大久保忠真公も大変喜び、兄弟の帰参を許し、それに加えてそれぞれ50石を与え、士分に取り立てました。

この事件は、曽我兄弟の敵討ちにちなんで、「文政曽我」と称され、当時「人口に膾炙(かいしゃ)した(世の人々の評判になった)」と伝えられています。

今回紹介した文書は、神奈川デジタルアーカイブでご覧になることができます。また、先日開催した「古文書解読はじめて講座」でもその一部を教材として使用しました。

江戸時代の敵討ちの実情の一端を物語る資料で、比較的読みやすいくずし字で書かれていますので、ご一読をお勧めします。

 相模国・武蔵国各郡文書 相模国・武蔵国各郡文書(2201320013)

 

公文書館の活動

アーカイブズ実習

この時期、当館には夏季休暇を利用してアーカイブズを学びたいという学生さんがやってきます。

今年は9月2日から13日まで、10日間にわたり「アーカイブズ実習生」として、2名の学生を受け入れました。この実習は、記録管理や史料保存に関心のある大学(院)生を対象に、公文書館の主な業務をひととおり経験することによって、アーカイブズに対する理解を更に深めてもらうことを目的としています。

今年も、歴史的公文書、古文書・私文書、図書・行政刊行物の種別に応じた資料整理・データ入力、行政文書の収集・選別、レファレンス、資料の出納、講座、展示、古文書の取扱い、紙資料の保存・修復、閲覧制限情報の取扱いなど幅広い業務に熱心に取り組み、今後の進路を考えるに当たっての参考になったのではないかと思います。

実習生の募集については、毎年7月に、当館のホームページでご案内をしています。

また、8月7日には、国文学研究資料館が主催する「アーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会)」の実習を一部(公文書の評価選別)を当館で実施しました。

このカレッジは、アーカイブズ学に強い関心を持つ大学院生や歴史資料保存利用機関に勤務する現職者を対象に、アーカイブズの収集・整理・保存・利用等に関する最新の専門的知識を付与し、アーキビスト(記録史料専門職員)の養成を目標として毎年開催されています。

当館では、以前から「アーカイブズの評価選別」の講義と実習を担当しています。実習当日には、34名の受講生が、保存期間の満了した実際の行政文書を教材として、評価選別の実習を行いました。

こうした実習のほかにも、当館では随時施設見学も受付けています。普段は見られない書庫など、職員がご案内しますので、お気軽にお問い合わせください。

リーフキャスティング  古文書整理

  リーフキャスティング                 古文書の整理

利用案内

展示のご案内

企画展示 

 「基地県」かながわと人々   10月17日日曜から3月31日火曜まで

ミニ展示

信仰の対象としての富士山   10月24日金曜から1月11日日曜まで

地域の歴史をつなぐー所在調査の成果からー   1月16日金曜から3月31日火曜まで

常設展示

記録が歴史を語るまで      3月31日火曜まで

講座のご案内

アーカイブズ講座(定員100人)     11月16日日曜

県立公文書館出張講座(定員50人)  12月7日日曜   会場 相模原市立博物館

古文書解読応用講座(定員140人)  2月15日から3月1日までの各日曜日(全3回)

館利用のご案内

開館時間 午前9時から午後5時まで

休館日  月曜日、国民の祝日(月曜日と重なる場合は翌日)、年末年始

利用方法 閲覧室に開架されている資料は自由に閲覧できます。また、書庫内の資料は受付に請求してください。

展示見学は無料です。ご自由にご覧ください。

会議室は午前9時から午後9時まで利用できます。公共施設利用予約システムでお申し込みください。

交通のご案内

電車の場合…相鉄線「二俣川駅」下車、徒歩17分又は相鉄バス「運転試験場循環」で「運転試験場」下車3分

車の場合…「保土ヶ谷バイパス」本村インターから6分

 
神奈川県

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