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更新日:2023年3月23日

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定例会見(2023年3月20日)結果概要

過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。

共同会見発表事項

下水疫学調査を用いた新型コロナ等の流行把握

知事: はじめに、「下水疫学調査を用いた新型コロナ等の流行把握」についてです。本日はこの調査を県と連携して進めている、県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科の、鄭研究科長、YOO教授に同席いただいています。県と県立保健福祉大学は、令和3年11月から、相模川流域の下水における新型コロナのRNAの濃度を調査し、感染状況の把握や、変異株の分析、感染予測などへの応用を図る研究を行ってきました。令和4年度には、国の「下水サーベイランス実証事業」の一つに採択され、12月からは、季節性インフルエンザの下水疫学調査も行っています。特に、下水中の新型コロナの変異株調査では、全国に先駆けて、下水から変異株を検出するゲノム解析も行っており、昨年、国内で初めて確認されたBA2.75の存在を、下水中からも確認するなどの実績をあげています。それでは、YOO教授からご説明をお願いします。

YOO教授: 県立保健福祉大学のYOOと申します。それでは早速ご説明に入ります。下水疫学はさまざまなメリットがあります。その一つが高い感度です。下水疫学の場合、ある地域で感染者が少なくても、下水中で検出できるというのが高い感度という意味です。幸いわれわれの共同研究者であります北海道大学の北島先生が開発された、世界でも最高レベルの感度を持つ検査方法を神奈川県内の調査でも使用しております。また、すでにわれわれが実証を始めております季節性インフルエンザを含め、他の感染症にも対応可能です。従来の人を対象とする臨床検査に比べてさまざまな利点が下水疫学にはあります。その一つは、感染状況の検出時期が早いということで、少なくとも1週間、新しい変異株に関しては3週間早いという実証結果が得られております。さらに臨床検査の場合、過去に検査キットが足りないといった事態がたびたび起こりました。下水検査に関しては、このような検査能力の上限がございません。それゆえ下水検査を用いれば、感染のピークがどの時期であるかということが非常に正確に判断することが可能になります。下水の場合、さらに通常20万人以上、多ければ100万人以上の人口を、同時に検査することができますので、非常に代表性が高く、それゆえ疫学データとして非常に高い資質を持っております。こちらが、われわれが2021年から実施しております神奈川県の下水疫学の地域です。絵にありますように相模川流域の右岸、左岸、2ヶ所の下水処理場で実施しており、流域人口は左岸、右岸それぞれ約120万人、50万人となっております。こちらが下水中のコロナウイルス濃度と流域の推定感染者数の相関を示しております。オレンジ色のバーが右の縦軸です。従来の人を対象とする新規感染者数を示しており、左の縦軸が下水中のコロナウイルス濃度を示しており、図中の緑色の曲線であります。横軸が、われわれの検査が始まった2021年の11月から今年の2月末までの日付となっておりまして、ご覧になると分かりますように、昨年度、第7波、第8波、第9波、三つの波が非常に綺麗な相関を見せているだけでなく、緑色のカードがやや左にある。これ実は1週間先に検知できるということを示しております。続いてこちらが下水中のウイルスを、ゲノム解析を行った結果、どのような変異株が出たかというのを調べました。こちら、先程知事からお話がありましたように、日本で最初に検査の実施と、ホームページでの公表を継続して行っております。大ざっぱな流れですが、横軸を見ますと、昨年1月から今年1月までですが、色で申し上げると緑色からオレンジ、さらに青色に変わっている。これはオミクロンの変異株の中ではBA1からBA2と3、さらにBA4、5。さらに黄色がオミクロンの2の亜型である2の75が一部出たことを示しております。続いてこちらは季節性インフルエンザの検査になります。横軸が、昨年12月からの日付になっております。右の縦軸が従来の医療機関に基づく定点観測データになります。1医療機関当たり1週間当たりの平均が10を超えると注意報レベルになりますが、1を超えると感染が始まったと判断されております。この赤の曲線が定点観測で、青の曲線が下水中のインフルエンザの濃度になります。先程のコロナのグラフに比べると、インフルエンザは赤と青の曲線の相関が低い。これは最大の理由としては、やはり感染者の数が非常に少ない。それゆえ、下水中のウイルス濃度が低いことが一因と考えられます。さらにわれわれは下水中のウイルス濃度をデータとして、感染予測にも役立てております。2種類の感染予測を行っておりまして、その一つが、相模川流域の新規感染者数を予測しました。青色のグラフが推定値。赤色がある意味答え合わせと言えます、実測値。推定値は1週間後を予測しております。昨年の7月からこの予測を行っておりまして、いわゆる第7波、第8波、ピークのところは、青色の推定値が高くなっておりますが、これはわれわれの推定値が過大評価をしたというよりは、実際ピークの時は検査キットが足りない、検査試薬がないというのが大学病院クラスでも起こりましたので、実測値の方が過小評価をしている可能性が高いと考えられます。続いて、県内の入院者数の予測を行いました。こちらは2021年8月にここでも記者会見を行ったEBPMプロジェクト、神奈川県内の感染者数、入院者数を予測するプロジェクトの一環として行っております。緑色の実線が入院者数、県内の予測で、2月21日時点の予測が、白抜きの緑になっておりまして、中が緑の実線が実測ですが、2月22日から3月1日までほぼ重なっているということは、予測がほぼ当たったということを示しております。1週間を超えたところはやや過小評価になっておりますが、やはり政策として重要なのは、オレンジ色の上の直線です。こちら確保病床を確実に下回っているか、拡大期はどの時点で現在の確保病床を超えるかという予測が可能になります。病床の確保というのは、県内二次医療圏ごとに計画を立てておりますので、このように、二次医療圏ごと、八つの二次医療圏ごとにそれぞれ入院者数、さらに今回は実施しておりませんが、重症者数の予測まで行っております。4月以降の計画としましては、今後さらに、コロナと季節性インフルエンザを継続しまして、データの蓄積が多いほど、予測モデルの精度が向上しますので、今後も引き続き感染予測を行ってまいります。コロナに関しては、いわゆる陰性証明ということもできることが実証されておりますので、収束の判断の補完にもなり、さらに、新たな感染症の早期発見にも繋がると予測されております。最後のスライドになります。これまで入院、死亡といった指標以外に、医療費、延命によるクォリティオブライフの改善といった点も考慮した医療経済学的な評価。とりわけ下水検査というのは、単独で行っても意味がありませんので、どのように下水検査を臨床検査と組み合わせるかをシミュレーションによって、現在研究中であります。最後のトピックとしましては、神奈川県のみならず、首都圏を含めた広域の下水疫学のデータを最終的に収集するため、すでに研究会を開始しておりまして、今後、国への働きかけ、広域データの収集の働きかけを考えております。私からは以上です。

鄭研究科長: 私、鄭から一言だけ申し添えさせていただきます。神奈川県立保健福祉大学は、今年20周年を迎えた保健医療福祉のプロフェッショナルを養成する大学でございますけれども、4年前から、少子高齢化や国際化に伴う新たな問題に取り組むために、ヘルスイノベーション研究科及び、YOO先生がいらっしゃるイノベーション政策研究センターを立ち上げて、活動を行ってきたところでございます。我が大学は、県と密接に協力しながら、新たな困難な問題に取り組んでいきたいと思っておりまして、今回の下水疫学調査というのは、その一つの典型的な例であると思っています。今後もこのような取組みをしていきたいと思っています。そして、単に現在の県や県民のニーズに応えるだけでなく、科学技術の力を利用しまして、将来の潜在的なニーズに対しても、今後、取り組んでいきたいと思っております。私からは以上です。

知事: 新型コロナウイルス感染症は、現在、患者の全数把握を行っており、それを判断材料の一つとして感染動向を把握し、県としてさまざまな取組みを行ってきました。しかし、5月8日以降、新型コロナは5類に移行し、感染状況も定点観測での把握に変更され、患者数についても毎日の発表がなくなります。こうした中、下水疫学調査は今後、この定点観測を補完する役割が期待されることから、県と県立保健福祉大学は、令和5年度も引き続き、連携してこの調査研究に取り組むこととしました。下水疫学調査は、ウイルスを検知する感度が高く、新興感染症が起こった際にも、試薬があれば迅速に分析が可能であり、いち早く流行をとらえ、県民の皆様にお知らせする役割も担っていただけることを期待しています。これらの取組みは他の自治体でも有効と考えられることから、同大学が九都県市の地方衛生研究所とネットワークを作れるよう、県は首都圏の公的研究機関における情報共有・連携の基盤づくりを支援するとともに、下水疫学調査の有効性について、九都県市に理解を広げていきたいと考えています。県と県立保健福祉大学は、今後も強く連携し、こうした感染症の状況把握や予測につながる研究の実証化に向けて取り組んでいきます。私からの説明は以上です。この件について、ご質問があればどうぞ。

共同会見質疑

記者: 全般的なところで1点お伺いしたいのですけれども、先程知事から今ご説明があったとおり、5月8日以降、定点観測に変わるので、その補完する役割が期待されるということですけれども、改めて、特にそのデータが全数把握ではなくなるので、県民からすると、今、コロナが流行しているのか、していないのかというのは見えにくくなると思うのですが、今回のその下水疫学調査の研究が、そういった県民の判断、今流行しているのか、していないのかという判断に、どういう安心感を与えていくかというような、そういった視点で一言いただければと思います。

知事: これまでのデータの分析を見ていただいたらよくわかるように、非常にその相関関係が見事出ているわけであります。ですから、こういった疫学調査によって、こういうだけの感染状況が分かってきているのです、ということをまずは皆さんにお知らせするということです。そのような中で一番大事なことは、この感染者が増えてきたときに、その確保病床、これまた柔軟に対応できるかどうかというのは、県としての一番大事なことになってまいります。ですから、これに合わせながら、今、確保病床をこれぐらい増やしますとか、減らしますとか、そういったことを、日常的にお伝えするという流れをこれから作っていきたい。それによって県民の皆さんのご理解を得ていきたいと考えています。

記者: 研究の観点から、全数の報告がなくなることについて、一つお伺いしたいことがあるのですけれども、今のところというか、これまで、少し思い込みかもしれないのですけれども、下水で測った濃度と、実際の感染者数のリンクも調べていらっしゃる、そこで相関を見ていらっしゃると思うのですが、定点の観測になると、その相関が追えなくなるといいますか、当てはめるものが、相関として見るものがまた変わってくると思うのですけれども、そこは研究に影響はないのでしょうか。

YOO教授: おっしゃるとおり、いわゆる答え合わせ先というのがなくなりますので、厳密な意味での答え合わせができなくなります。ただ、下水のデータがあれば、全数調査がもし継続した場合、この程度の感染者がいるというデータを提供できます。さらに、やはり大事なのは、先程も知事がおっしゃったように、現在ワクチンの効果もありまして、軽症な方が非常に増えておりますので、果たして入院キャパシティが十分かという意味で、入院の予測というのも、われわれ行っておりますので、入院の予測に関しても、すでにきょうお見せしたとおり、下水のデータはいわゆるインプットデータで説明変数として入れると入院の予測の精度が非常に上がるというのは、すでにわかっておりますので、下水がどの程度、上下した場合、必要な入院病床がどの程度あるのかというのは非常に大きな問題がありますので、これは引き続き、予測と公開を続けたいと思います。

記者: 入院予測ですとか感染者数の予測というのは、以前、県のホームページで定期的に公開されていたと思うのですが、オミクロン株が流行して、公表を中断されていると思うのですけれども、中では計算を続けられていたということで、またこういった予測について県のホームページで公開されるというようなお考えはありますでしょうか。

YOO教授: 実はきょうは間に合わなかったのですが3月中に再開します。下水データを取り入れた予測というのは半年前から行っておりまして、非常に精度が高いという確証が得られましたので、今月中に公開する予定です。

記者: スライドの5ページの考え方でいくつか伺います。緑の折れ線についてなのですけれども、先程おっしゃったように立ち上がりが少し早目にあるということで、これが1週間ぐらい先にわかるという話があったと思うのですけれども、計測し始めた時に、この立ち上がりが、いわゆる計測誤差なのか、本当に立ち上がっているところなのか当初なかなか判断しにくいと思うのですが、そこはどのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。

YOO教授: インフルエンザの場合もそうですが、やはり感染者数が少ない初期は信頼性が低いというのはおっしゃるとおりです。というのもその理由の一つが、個人差が大きいということです。個人のAと個人のBを比べると、下水中に、いわゆる糞便に出すウイルスが実は個人差が10倍どころか、100倍以上出るということが実証的にわかっておりますので、やはり100人以下の感染者数、一応100万人あたり10人まで今、検知できるのですが、やはり100人未満であれば、かなり精度が低くなってしまいます。ただし、少なくとも2週間程度、様子を見る。さらに言えば4週間程度経過すればかなり確実になると思うのですが、実際この感染者の増加とそのあと入院までのタイムラグ、2週間程度、死亡者が出るまで4週間程度というタイムラグがありますので、2週間ないし4週間、時間がかかるというのは、それほど危機的に遅くないと考えております。

記者: 同じ5ページのところ、スライド5のところで、推定流域新規感染者数とあると思うのですけれども、推定なので、何らかの前提を置いて計算されていると思うのですが。実測とどのように違うのか、どういう形で出してらっしゃるのでしょうか。

YOO教授: 実測との違いが、例えば下水が一つの市町村をすべてカバーしているわけではないのです。ある市であれば例えば30%の人口をカバーしている。あるB市はもっと難しくて、人口あたりのカバーが分からなくて、面積あたりで20%カバーしているとみて、ある種の仮定を置いているのですが、それほど大きくはずれていないと思います。

記者: 私は、あまりこういった調査があることすら深く存じ上げていなかったので、少し基本的なことをお伺いいたします。先程、知事はこういった調査方法を九都県市の理解を広めたいというお話ございましたけれども、下水の調査というのは、神奈川が独自にやっているものなのですか。それとも全国的に広く一般的な調査なのかというのをお伺いしたいのが一つと、あと首都圏全体で調査した場合に、神奈川県単独ではなくて、首都圏全体で調査したらどういったメリットがあるのかということを、もう少し教えていただけますでしょうか。

知事: 神奈川県がやっているのは神奈川県独自でやっていますけれども、これは神奈川県だけがやっているわけではなくて、先程国の事業でもあったという話をしましたけれども、他の地域でもやっているところはあります。先程YOO先生から聞いたところ、これは世界中で非常に注目されて、その競争も起きているということを聞いております。できる限り、神奈川県だけでやっていくというよりも、むしろこの九都県市で一体となって、こういう形でデータを出していきながら、皆で感染状況をウォッチしていくということに大きなメリットがあるのではないかと考えています。

YOO教授: 補足させていただきます。実はもうアメリカでは1,200ヶ所の下水処理場で毎週データが公開されております。ヨーロッパ、EUでは人口15万人以上の都市は原則としてすべて下水検査を行っておりますので、ある意味、日本は遅れていると思います。日本の自治体で行っているところは多いのですが、公表を継続して行っている自治体は非常に少なく、われわれ神奈川県と札幌がその代表的になりますが、今、アメリカのように、統一したデータベースといったものがない残念な状況です。少なくとも首都圏でその最初のイニシアティブを取れればということで、月1回、下水疫学研究会というのを、2021年の12月から毎月1回、実施しておりまして、当初は県内の県と政令指定都市の衛生研究所。実は先月から東京都、今月から埼玉、千葉を含めた衛生研の所長と担当者を含めて、研究会で知見の共有を図っております。こういった広域のデータがあれば、実は1週間を超えた、きょうの感染予測、2週間までお見せしましたが、広域データがあれば、2週間を超えて3週間、4週間先までの予測ができるというのは実はイギリス、その他諸外国のデータでも出ておりまして、過去のわれわれの経験でも、通常、東京で感染がおこると1週間から2週間遅れて、神奈川県、埼玉県に広がって、さらに新幹線の駅に沿って増えているというのがありますので、下水データがあれば、さらに1週間早いということで、東京の下水で出れば、埼玉県ないし神奈川県では、さらに3週間後に、実際の感染者が増える、5週間後に入院者が増える、7週間後に死亡者が増える。そういった長期の予測がより立てやすくなると考えています。

記者: 今回のこの研究成果は、きょう初めて対外的にオープンになさったのかそれとも、すでにどちらかの学術誌、学会誌に論文として発表されたという経緯があるのでしょうか。

YOO教授: まだ発表しておりません。下水のデータの一部は共同研究者である北大の北島先生が使われていますが、きょう発表した内容のほとんどはまだ公表を学術論文等ではしておりませんが今後、学術論文での公表を考えております。例えば、2年前、こちらで記者会見を行いましたEBPMの完成予想プロジェクトですが、下水の検査が始まる前の時点までの研究結果をまとめまして、日本の公衆衛生学会という、一番古い学会がありますが、そこの学術誌である日本公衆衛生雑誌に、この神奈川県の感染予測モデルについてのデータ、予測結果について、行政と大学がいかにうまく共同できたかといった内容で所属つきの論文を発表しました。後で共有することができます。

記者: 先程の私の質問に立ち返るのですけれども、5ページのスライドの5に載っている推定流域新規感染者数というのと、スライド9に載っている推定値というのは、考え方が違っていて、先程のオレンジの棒グラフのやつは、自治体の実測値を一定の仮定をもって推定すると、こうなりますよというような面積だとか、そういったものを考えるのだと思うのですが、RNAの計測の濃度から試算をした推定値がこの青い折れ線グラフであるというような考え方でよろしいでしょうか。

YOO教授: そうです。注意していただきたいのは、これは流域のみで、こちらはインプットデータとして下水しか用いておりません。一方、この後の入院予測はインプットデータとして神奈川県庁が独自に開発しましたパランティアファウンドリーというデータベース、その日ごとの医療機関の入院データ、人流データ、あとワクチンの接種率といった、2年前にご紹介したEBPMのプロジェクトとほぼ同じ、かなり多くの説明変数が含まれております。

記者: ちょうどそこのスライドを映していただいているので、ちょっと解釈と言いますか、お考えを伺いたいのですけれども、試算でやられている予測入院者数の方が低めに出ていますけれども、直近では。これはすなわち、病床が空いてくると、入院の基準といいますか、入院させる、してもらう基準が緩くなって、実際、いわゆる症状が軽くても入院してくるということがあると思うのですけれども、そういった変化を考慮すると、実測値になっていて、入院の基準が一定であるという仮定を置くと、下の方の試算のようになるというような考え方なのでしょうか。

YOO教授: おっしゃるとおりです。実際、過去のデータでも、この感染のピークの時と、その谷の時、実は感染者当たりの入院率が3倍以上違います。ということで、残念ながら、入院基準というのは変わります。と言いますか、いつ感染するかによって、実は入院できない方が残念ながら可能性としてはありますので、おっしゃるとおりだと思います。

記者: 最後に細かい点だけ、スライド5の算定平均のところなのですけれども、ごめんなさい、あまり、算数が得意ではないのですが、これは算術の平均ですか。それとも幾何平均ですか。

YOO教授: 算定平均に関しては算術平均です。右岸と左岸に関しては、こちらはかなり、下水処理場ごとに大きな特性が変わりますので、こちらは幾何平均です。幾何平均したものをまず左岸側の総合値として出し、それを最後に、直近3回の30日の算術平均としています。

定例会見発表事項

「企業立地支援件数200件」の目標達成!

 それでは、発表項目に入ります。「『企業立地支援件数200件』の目標達成!」についてです。県では、これまで、企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」等により、今後の成長が見込まれる、「ITエレクトロニクス関連産業」や「ロボット関連産業」などをターゲットに、県内への企業立地を強力に支援してきました。この3年間は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、企業の経営環境にも大きな影響が及んだことや、これまでのように、対面での誘致活動ができなくなったといった困難もありましたが、オンラインでの誘致活動を行うなど、粘り強く取組みを進めました。このたび、10社がこの支援制度を利用して、工場や本社等を新設することになり、令和元年度から令和4年度までの4年間の目標として掲げていた、企業立地支援件数200件を達成することができました。この目標を達成したことにより、県内への投資額は合計で約4,931億円、雇用人数は約14,000人となる見込みで、県内経済の活性化や雇用の創出に大きな効果をもたらすことが期待されます。今回認定した10社ですが、土地・建物等の取得に対し、補助金などで支援する「企業立地支援事業」として、藤沢市に工場を新設する株式会社荏原製作所など8社を認定し、また、賃貸オフィスの賃料に対し、一定額を補助する「企業誘致促進賃料補助事業」として、株式会社ニコンシステムなど2社を認定しました。これらの企業の詳細や、県の支援内容については、参考資料1をご覧ください。今後も、200件の目標達成に満足することなく、引き続き、本県への企業立地の促進に取り組んでまいります。

全国旅行支援「いざ、神奈川!(第2弾)」の実施期間を6月30日まで延長します

 次に、「全国旅行支援『いざ、神奈川!(第2弾)』の実施期間を6月30日まで延長します」についてです。現在、実施期間を令和5年3月31日までとしていたところですが、6月30日まで延長します。なお、4月29日の土曜日から5月7日日曜日のゴールデンウィークについては、割引適用期間から除外します。割引率等はこれまでと変わらず、1人1泊あたり最大5,000円の旅行割引と、県内の飲食店や土産物店等で使用できる地域クーポンを最大2,000円分発行します。これから本格的な春の行楽シーズンとなりますので、多くの方に本県での旅行を楽しんでいただきたいと考えています。

知事出席主要行事

 知事出席主要行事については、事前送付した資料のとおりです。特に私から付け加えることはありません。私からの発表は以上です。ご質問があればどうぞ。

定例会見質疑

「『企業立地支援200件』の目標達成!」について

記者: セレクト神奈川NEXTについてなのですけれども、このセレクト神奈川NEXTはいつまで実施される政策なのか、少し覚えてないのですけれども、企業誘致の流れというのは加速してきています。あまり途切れさせるべきものではないと思うのですけれども、今後の政策の予定といいますか、さらに年限を切ってまた何社と目標を立てるのか、今後の想定について伺えればと思います。

企業誘致・国際ビジネス課長: セレクト神奈川NEXTは来年度、令和6年3月までの取組期間となっております。今後につきましては、まだこの先どうするかというのは具体的には検討しておりませんけれども、今そのあたりでのセレクト神奈川NEXTの課題であったりとか、そういったものを検証して今後どうするかという点についても整理を進めているという状況でございます。

「全国旅行支援『いざ、神奈川!(第2弾)』の実施期間を6月30日まで 延長します」について

記者: 全国旅行支援の件なのですけれども、また3ヶ月ぐらい延長されるということで、ここに込めた知事の期待について改めて伺えればということと、これはもう1点は多分、当局のお答えになるかもしれないのですけれども、予算については追加されるのかそれとも現状の既決の予算で足りるのか、この点を伺えればと思います。

知事: 観光庁から令和5年3月8日付で各都道府県に対し、現在年度内に設定している実施期間を令和5年4月以降に延長し、予算の執行状況等を踏まえつつ、引き続き、適切に事業を実施するよう事務連絡がありました。県内の旅行状況については、大きく回復してきていると考えておりますけれども、観光産業の回復をもう一押しするため、割引適用期間を延長することといたしました。

観光課長: 予算についてですけれども、12月補正予算、それから2月補正予算、合わせて71億強、これを予算として割引に充てる予定でございます。

子ども子育て政策について

記者: 先週の金曜日に岸田総理が少子化対策について記者会見を行いまして、基本方針をいくつか明らかにしました。主には男性の育休取得の促進ということで、育休中の給付金を引き上げる等の経済面の政策が多かったと思います。このことに対する知事の受け止めと、全体のパッケージというのは3月末ですので、まだ全体像が明らかにはなっていませんけれども、知事としてどのようにご対応されていくようにお考えでしょうか。

知事: 国は、次元の異なる少子化対策として3月末を目途にたたき台を取りまとめ、6月の骨太方針までに大枠を提示するとしております。今回の総理大臣の発言に従って具体的にどのような対策が打ち出されるのか、引き続き注視し、情報収集していきたいと思っています。また、県も新たに「神奈川県子ども・子育て基金」を設置して、国の動きに迅速に対応するとともに、子ども施策の充実に向けた準備を行っております。今後、市町村とも調整し、実効性のある施策を打ち出せるよう、速やかに対応していきたいと考えています。今回の総理の発言はありましたけれども、3月末という中で、具体にどのような話が出てくるか、まずはそこを見ながら対応していくという方がよいかと思います。

教育現場のマスク着用について

記者: 教育現場でのマスクの着用について、4月1日から基本外すという方針が出されましたが、県ではどのようにされるのか、もし方針があれば教えてください。

知事: これは基本的には同じ方針です。今の段階でも卒業式等は卒業される学生さんはしなくていいですという話はしています。たまたまこの間、県立保健福祉大学の卒業式に行ってまいりましたけれど、会場にいる学生の9割以上でしょうか、マスクはしていました。しなくていいですと言ってもまだマスクをしている状況でもありました。ただ4月1日以降、学校現場ではしなくていいですといったことを、これは県もそのとおりの方針を取りますけれども、しかしそれを強制するというわけではないですから、どうなるのか少し様子を見ていきたいと考えています。

特殊詐欺被害防止に係る絵本作品の募集について

記者: 発表項目ではないのですが、特殊詐欺のことでお伺いさせてください。先日公表された県警の統計によりますと、今年1、2月の累計被害額が前年同期と比べて58%増えたということで、また改めて被害が増えているようなのですけれども、これの受け止めと、県としてはどういった取組みをしていくかということを教えていただけますでしょうか。

知事: 県では、これまで、県警察や市町村等と連携し、防犯キャンペーン等の啓発活動や高齢者への迷惑電話防止機能付き機器の補助事業等に取り組んできました。そうした中にあっても、特殊詐欺の被害が増加傾向にあることについては、大変憂慮すべき状況だと思っています。今後は、関係機関と一層連携し、高齢者だけでなく、より幅広い世代への被害防止の啓発を強化する必要があると考えています。そこで、幅広い世代への啓発の一環として、先週記者発表させていただいたのですけども、特殊詐欺被害防止に係る絵本作品の募集を行うことにしました。

記者: 絵本というのはどういう狙いで、どういった形を考えて、どういった対策を考えているのかもう少し教えていただけますでしょうか。

知事: 増加する特殊詐欺被害を防止するためには、高齢者はもとより、周囲の気づきで抑止するといったことも重要です。そのため、幅広い世代を巻き込んで心に響く啓発を推進する必要があると考えて、特殊詐欺を題材とした絵本作品を募集することとしたわけであります。今回の募集では、最優秀作品に選出された作品を県内すべての小学校の新入生等に配布することを予定しておりまして、絵本を受け取った児童を通じて、両親や祖父母等にも特殊詐欺のことを考えてもらう機会にしてほしいと考えています。また絵本の公募を通じて応募していただいた方々にも、特殊詐欺について考えていただく機会になると考えています。

知事の3期の総括について

記者: きょうの定例会見が、任期中最後の定例会見になると思いますけれども、改めて3期目でできたこと、課題として残っていることをどう考えているのか、改めてお伺いします。

知事: 3期12年の任期は、まもなく終わりますけれども「いのち輝くマグネット神奈川」を実現したいとずっと言ってまいりました。今振り返ってみても、やはりやってきたことは全部そこに繋がっていると思います。そのような中で、超高齢社会を乗り越えるために、未病コンセプトを打ち出しながら、それと最先端のテクノロジーを組み合わせたヘルスケアニューフロンティア政策等々進めてまいりました。たまたま、つい先程、遼寧省の当時の政府外事弁公室長(正しくは「人民政府外事弁公室アジア処長」)がお見えになってお話をしたのですけれども、今年遼寧省との提携は40年になり、35周年のときに私自身が向こうにお伺いしました。そのときに、向こうの予防医学センターのドクターの皆さんを前にして、実は講演をしました。それはまさにヘルスケアニューフロンティアの講演でありまして、要するに、未病という考え方は中国のもともとの伝統的な考え方なのだけれども、これを、われわれは現代にアレンジしましたので、未病と最先端のテクノロジーを合わせていくということによって、大きな課題である超高齢社会を乗り越えるといったことを今進めているのですという話をしたら、先程聞いて、私もびっくりしたのですけれども、それが非常に向こうのドクターたちの心を動かしたといったことで、未病という言葉は今、遼寧省で非常に一般化していると。それまでは未病と聞いても、中国の今の人たちはあまり分からなかった。それとともに、西洋医学にあまりに偏りすぎて、中国の伝統医学を軽視するような風潮があったけれども、私が未病ということと、最先端のテクノロジーを合わせるといったことによって、日本が超高齢化社会を乗り越えようとしているといった話によって、中国伝統医学の未病という考え方が再認識されて、いま、どこに行っても未病、未病と言っているということを聞いて、こんな広がりもあったのだなと。つい先程、ここに来る直前に確認をした次第でありました。そういったことをやりながら、例えば、いろいろな危機も訪れました。大規模な災害、大きな台風がやってきて、いろいろなところで、大きな、死者が出るような災害もありました。それから、火山活動が活発化するという事態もありました。そしてまた新型コロナウイルスが、これほど蔓延するということもありましたし、最近で言えば、この急激な原油高、物価高と、さまざまな危機がありましたけれども、そういったことについて、皆で心を一つにしながら、向き合ってきたなといった実感はあります。ただ振り返ってみると、12年間のこの最後の3年間は、コロナに追われ続ける毎日でありました。ただ、そのコロナの中でも、今までやってきたそういう医療関連の政策が、ここで実を結んだという実感を持っていて、医療提供体制「神奈川モデル」を始め、40以上のモデルを作って、国のコロナ対策をリードできたのではないかと思っているところであります。そのような中で、任期を終えるということになって、あとは、そういった思いを、私自身が選挙で訴えるということになってくるとは思いますけれども、振り返ってみると、いのち輝くマグネット神奈川を前進させるために、全身全霊かけてきた12年間だったという感じがいたします。

(以上)

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