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更新日:2023年6月15日

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知事議会提案説明(提案説明 令和5年第2回定例会)〔6月提案〕

令和5年第2回定例会(提案説明)

 本日、提案しました令和5年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて4期目の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
 私は、知事に就任して以来、「いのち輝くマグネット神奈川」を県政運営の基本理念に掲げ、ヘルスケア・ニューフロンティア政策や当事者目線の障害福祉など様々な政策を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症をはじめとする危機事象にも対処するなど、県政課題に的確に対応してきました。
 一方、県政を取り巻く諸環境に目を向けますと、本格的な人口減少社会の到来が現実のものとなっているほか、地球温暖化による気候変動や国際的なエネルギー不安など、世界規模の問題が身近な問題として突きつけられている状況にあります。
 このように先を見通せない社会情勢の中、私は、多くの県民の皆様が将来に対する強い不安を抱いていると感じています。それゆえ、これまで以上に、県民の「いのち」を守り、輝かせることを目指した県政が求められていると思います。そこで、3期12年の経験と実績を礎に、行政運営の継続性を確保しながら、徹底した県民目線で「いのち輝くマグネット神奈川」のさらなる実現に向けて全力を尽くしてまいります。それが、県政を託された私の使命であると認識しています。
 そうした認識の下、4期目の県政運営に当たり、私が公約として掲げたのが、「県民目線のデジタル行政でやさしい社会を実現」です。進歩の著しいデジタルの力を様々な県政課題の解決に積極的に活用し、当事者の目線に立って県民の皆様の不安を解消することで、「やさしい社会」を作り上げていきたいと考えております。
 それでは、これからの県政運営において、特に優先的に取り組むべき政策について、何点か申し述べます。
 はじめに、デジタル行政の推進についてです。
 デジタル技術の進化のスピードは凄まじいものがあり、世界は、まさにデジタル革命の真っ只中にあります。急速な進化と普及の広がりを見せているチャットGPTをはじめとする生成AIは、機密情報の漏洩や個人情報の不適切利用といったリスクがある一方で、労働力の不足や生産性の低迷などの諸問題を解決できるという期待が高まっています。また、日々の生活においても、手元のスマートフォン一つで健康管理やキャッシュレス決済といった様々なことができるようになるなど、デジタル技術を活用することが当たり前になりました。
 県でも、「新型コロナ対策パーソナルサポート」により、160万人を超える方々に、個々人の状態に合わせた情報を提供したほか、「神奈川県療養サポート」やAIコールによって、オンラインで健康観察や安否確認を行うなど、デジタルの力を有効に活用し、新型コロナウイルスに対応してきました。
 そこで、今後は、こうしたデジタルの力を様々な施策に取り入れていきたいと考えています。例えば、少子化の問題に対しては、デジタル技術を活用して、子育て支援情報をタイムリーに発信し、必要な人に必要なタイミングで情報を届けることで、子育て世代の不安を解消していきます。また、防災の分野においても、国勢調査やハザードマップなどのデータを統合し、被災想定区域の人口や世帯数を可視化することで、市町村における災害を想定したシミュレーションを支援していきます。
 次に、子ども・子育て支援の取組についてです。
 2022年の国内の出生数は初めて80万人を割り込み、合計特殊出生率は「1.26」と最も低かった2005年と並び、過去最低となりました。
 国は、2030年代に入るまでのこれからの6、7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと捉え、少子化対策の取組を加速化させるため、今後3年間を集中取組期間として「加速化プラン」に取り組むこととし、今月13日に「こども未来戦略方針」を閣議決定しました。
 本県においても第2次ベビーブーム以降、出生数の減少が続き、合計特殊出生率も全国より低い水準で推移するなど、少子化対策は喫緊の課題となっています。
 少子化対策で重要なことは、若い世代の将来に対する不安を解消し、希望する人が結婚や出産に踏み出せる環境を作っていくことであり、そのためには、国、県、市町村がしっかりと連携し、結婚、妊娠、出産、育児にわたり切れ目のない支援を行っていくことが必要です。
 支援策の検討に当たっては、当事者の生の声を把握することが必要と考え、子育て中の県職員を中心としたワーキンググループを立ち上げ、実体験に基づく様々なアイデアを出し合い、私と一緒になって検討する「ガチトーク」を開催して、議論を重ねてきました。
 この中で、結婚している夫婦が持つ子どもの数は大きく減少していないというデータを基に、結婚支援を重点的に行うことが少子化対策に効果的であるとの議論がされました。
 こうした当事者の声も取り入れながら、婚活の支援や若年層の結婚の後押しなど、子ども・子育て支援に係る施策を充実させ、安心して子どもを生み育て、子どもが健やかに成長することのできる社会の実現を目指してまいります。
 次に、脱炭素社会の実現についてです。
 地球温暖化などによる気候変動の影響により、異常気象や自然災害による被害の増大が懸念されています。地球温暖化は人類共通の課題であり、その原因である温室効果ガスの排出量を一刻も早く削減しなければ、被害はさらに拡大するおそれがあります。
 県は、脱炭素社会の実現に向けて、2030年度の温室効果ガスの中期削減目標を46%から50%に引き上げました。この極めて高い目標を達成するためには、国、県、市町村、企業、そして県民の皆様といったあらゆる主体が脱炭素を自分事として捉え、オールジャパン、オール神奈川で取り組んでいかなければなりません。
 この取組を加速化させるため、県は、今年度中に、「神奈川県地球温暖化対策計画」を全面的に改定し、脱炭素社会の実現に向けた基本方針や部門別の削減目標等を設定するとともに、具体的な施策体系を見直します。また、県としての組織力を強化するため、この6月に新たに脱炭素戦略本部室を設置しました。
 こうした新たな計画と組織体制の下、引き続きあらゆる主体と連携し、「未来のいのち」を守るために、脱炭素社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、当事者目線の障害福祉の実現についてです。
 本年4月、「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」が施行されました。この条例は、障害者が、障害を理由とするいかなる差別及び虐待を受けることなく、自らの望む暮らしを実現することができ、障害者のみならず誰もが喜びを実感できる地域共生社会の実現を目指すものです。この理念を具現化していくことは、4期目の県政を担う私の重大な責務であると考えています。
 現在、この条例に基づく基本計画の策定を進めているところであり、地域共生社会の実現に向けた目標とともに、当事者目線の障害福祉を推進するために必要な具体的な施策を明記してまいります。
 次に、地域活性化の取組についてです。
 県では、これまで、県西地域活性化プロジェクトや三浦半島魅力最大化プロジェクトなどにより、人口減少が進む各地域の魅力を高め、地域活性化に取り組んできました。
 今後についても、県内各地域の自然や名産品、歴史文化などあらゆる資源を活用できるよう、地域の魅力の掘り起こしを進め、さらなる活性化を進めてまいります。
 次に、県民生活に直結する事業の推進についてです。
 まず、自然災害対策についてです。近年、激甚化、頻発化している風水害から県民の皆様のいのちと財産を守るため、この3月に「神奈川県水防災戦略」を改定しました。今後は、この改定水防災戦略に基づき、被害軽減の取組を加速化させてまいります。
 また、医療の分野においても、コロナ禍で培ったデジタル技術の活用の経験と実績を基に、県民の皆様がどこにいてもデジタルの力で医療につながる医療提供体制の構築を進めてまいります。
 こうした自然災害対策や医療提供体制の構築は、県民の「いのち」に直接かかわる重要な施策であり、これらの事業を着実に推進することで、県民の皆様が安全・安心に暮らすことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、新たな総合計画の策定についてです。
 これまで、県政運営の総合的・基本的指針を示す総合計画として、「かながわグランドデザイン基本構想」を策定し、基本理念である「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けて、超高齢社会をはじめとする様々な課題への対応を着実に進めてきました。
 今後、2040年頃には本県の高齢者数と高齢化率は共にピークを迎え、これまで見据えてきた課題がより一層鮮明化していくと予測されます。将来の不確実性が高まる中、未来の姿をつぶさに見通すことは難しくなっていますが、想定し得ない事態が生じた場合でも、その影響を最小限に抑えることが求められます。
 そこで、新たな総合計画の策定に当たっては、できる限り将来の展望や課題を明らかにし、長期的なビジョンを共有しながら、議会の皆様をはじめ、県民、事業者、市町村など様々な主体からご意見を伺い、計画に反映してまいります。意見の聴取に当たっては、対話の広場などで、私自ら県民の声を聴いて計画策定の参考にしていきたいと考えています。
 そして、デジタル化の加速などポジティブな変化も踏まえ、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向け、新たな総合計画を策定してまいります。
 以上申し上げたテーマのほかにも、県政には取り組むべき課題が山積しており、限られた人的資源の中でこれらの課題に対応していかなければなりません。そこで、デジタル技術や民間活力の積極的な活用により、業務の「断捨離」を実施し、必要な行政サービスが継続的に提供できるよう、組織の業務推進力を高めてまいります。
 今後も、徹底した県民目線で「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けて全力で取り組み、県民の皆様に対し、目に見える形で成果をお届けしたいと考えています。
 それでは、ただいま提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、当初予算に対する肉付けを行うものであり、「持続可能な神奈川」に向けた取組を更に進めるため、子ども・子育て支援に取り組むとともに、デジタル行政を推進する予算として編成しました。
 まず、子ども・子育て支援の取組についてです。
 結婚に向けた機運醸成を図るため、市町村等と連携した結婚支援イベントの実施回数の拡充等を図るとともに、マッチングアプリと恋カナ!プロジェクトを連携させる取組を行うなど、婚活への最初の一歩を支援します。
 また、結婚に対する経済的不安を軽減し、若い世代の結婚を後押しするため、結婚に伴う新生活に係る費用について市町村と一体となって支援します。
 さらに、安心して妊娠、出産及び子育てを行える環境を整備するため、産科・小児医療施設等を新たに開設する事業者の施設整備費などに対して補助するとともに、新生児訪問等の母子保健業務などを担う保健師を確保するため、保健師に特化した修学資金貸付制度を創設し、県内外の保健師養成課程在学者へ貸付を行います。
 このほか、仕事と育児を両立できる職場環境の整備を促進するため、男性従業員が育児休業を取得した県内中小企業に対して奨励金を交付します。
 また、保護者及び保育士双方の負担軽減を図るため、乳幼児の使用済み紙おむつを、保護者が持ち帰ることなく、保育所等が処分するために必要な費用等を市町村に対して補助します。
 さらに、コミュニケーションアプリ「LINE」を活用し、子育て支援情報を分かりやすくタイムリーに発信するとともに、県の施策に広く子ども・若者の意見を反映させるため、多様な子どもたちの声を聴く機会を創出します。
 このほか、低所得の方に安心して子育てを行える環境を提供するため、県営住宅をリフォームし、子育て世帯向け住宅の募集枠を拡充するとともに、子どもの居場所づくりを行うNPO法人等へ活動場所の提供等を行います。
 また、近隣の子ども食堂の情報にアクセスできる環境を整備するため、子ども食堂の活動状況を調査し、県のポータルサイトで公開します。
 さらに、虐待リスクが高い事案等に的確に対応できるようにするため、児童相談所と警察が連携してリアルタイムに情報共有できるシステムを構築します。
 このほか、在宅の重症心身障がい児者とその家族が安心して生活できるようにするため、不足しているレスパイト等の受け皿を医療機関への委託により確保するとともに、身近な地域で適切な療育支援を受けられる体制を強化するため、民間委託による療育指導等をモデル事業として実施します。
 次に、デジタル行政の推進についてです。
 AI技術を活用した「消えかけ白線ゼロ」を目指す取組として、道路標示等を早期に補修するため、道路標識点検車両に搭載したカメラの画像を活用し、摩耗状況の自動検知・判定等を行うシステムを導入するとともに、歩行者の安全に直結する横断歩道等の補修を加速化させます。
 また、関東大震災100年を契機に県民の防災意識を高めるためデジタル技術を取り入れて、防災イベントや震災遺構データベースの充実を図るとともに、総合防災センターの防災情報・体験フロアにVRの導入などを行います。
 次に、公共事業の追加についてです。
 県として風水害対策の強化に取り組む「神奈川県水防災戦略」の更なる推進等を図るため、公共事業を追加で措置します。
 その他の取組として、横浜で開催される国際園芸博覧会の機運醸成を図るため、関係団体等と連携し、県有施設や県主催イベント等を活用したPRを行います。
 また、三浦半島の地域産業の担い手となる地元事業者が主体となり、イタリアの活性化事例等を参考に新規事業等を生み出すための新たなプラットフォームの設置等を行います。
 補正予算額は一般会計49億6,300余万円で、財源につきましては、当初予算で計上を留保した県税から9億800余万円を充当するほか、子ども・子育て基金繰入金や県債などを充当し、収支の均衡を図っています。
 このほか、中小企業資金会計及び県営住宅事業会計において、所要の措置を講じたところです。
 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の制定1件、条例の改正7件、動産の取得1件など、全体で10件のご審議をお願いしています。
 まず、条例の制定ですが、知事の給与の特例に関する条例は、県立知的障害者支援施設における不祥事に鑑み、県政を統轄する責任者である知事としての責任を明らかにするため、給料について10分の3、1ヶ月の減額をしたいので、所要の定めをするものです。
 次に、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例は、個人県民税の税額控除の対象となる寄附金を受け入れる指定NPO法人の控除対象期間を更新するなど、所要の改正を行うものです。
 条例については、このほか事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例など、6件の改正をお願いしています。
 次に、条例以外の案件ですが、動産の取得は、本県の抗インフルエンザウイルス薬備蓄目標を踏まえ、行政備蓄用抗インフルエンザウイルス薬であるゾフルーザを買い入れるものであり、地方独立行政法人神奈川県立病院機構定款の変更については、精神医療センターの温室等の除却により、地方独立行政法人神奈川県立病院機構が県から承継した資産について変更が生じたことに伴い、定款を変更するため、地方独立行政法人法の規定により提案するものです。
 なお、令和4年度の一般会計の決算見込みにつきましては、現在計数を精査中であり、最終確定には至っていませんが、実質収支では黒字決算が見込まれることを、併せてご報告申し上げます。
 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
 よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

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