知事議会提案説明(提案説明 令和2年第2回定例会)〔6月提案〕

掲載日:2020年6月12日

 提案説明に入ります前に、一言申し上げます。
 6月5日、北朝鮮による拉致問題の解決の先頭に立ってご尽力された横田滋さんがお亡くなりになられました。改めて、心から哀悼の意を表します。
 横田滋さんは、長年にわたり、娘のめぐみさんの救出活動に懸命に取り組んでこられました。また、全国の拉致被害者家族とともに家族会を結成し、代表を務められるなど、拉致問題の解決に向け、全力を注いでこられました。
 長い間、望んでいためぐみさんとの再会が叶わなかったことは、本当に残念でなりません。
 これからは、横田滋さんの想いを引き継ぎ、県としても、オール神奈川で一丸となって、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くしてまいります。
 それでは、本日、提案しました令和2年度補正予算案ならびにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症についてです。
 先月25日、国は、本県を対象区域とする緊急事態宣言を解除しました。県民や事業者の皆様には、およそ1か月半にわたり、徹底した外出自粛や休業要請にご理解とご協力いただき、ありがとうございました。また、第一線で新型コロナウイルス感染症に対応してくださっている医療従事者や福祉の現場の方々をはじめ、暮らしに不可欠な仕事をされているエッセンシャルワーカーの皆様に心より感謝申し上げます。
 県は、県民の皆様のいのちを何としても守るという強い思いで取り組んできました。
 始めから最悪の事態を想定するという危機管理の鉄則のもと、感染爆発による医療崩壊を避けるため、医療提供体制「神奈川モデル」を構築し、先手先手で実行してきました。具体的には、重症者を受け入れる「高度医療機関」と中等症の患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」を設置し、無症状、軽症の方には宿泊療養施設や自宅で療養していただくことで、感染症患者に対応できる病床を確実に確保しています。
 「重点医療機関」のひとつとして、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、県は、全国初となる臨時の医療施設を湘南ヘルスイノベーションパークに整備しています。
 また、外来診療や検査のキャパシティを拡大するため、地域の実情に応じて医師会や市町村等と連携し、「神奈川モデル・ハイブリッド版」としてPCR検査場の設置を進め、順次拡大しています。
 さらに、精神疾患がある方や乳幼児を含む子ども、妊婦、透析患者等の特別な配慮が必要な方が感染した場合の医療提供体制を整えるとともに、保護者が感染し不在となった子どもや、介護者が感染し不在となった高齢者、障がい者、難病患者の受け入れ体制を整備するなど、感染者の方の状況に応じてモデルを進化させてきました。
 5月6日に県立循環器呼吸器病センターを視察された加藤厚生労働大臣からも、「神奈川モデル」が「役割分担を明確にし、医療体制の充実を図っている。全国の先駆けで国としても参考になる。」と評価していただきました。
 また、県はこれまでに特区制度などを活用して進めてきたヘルスケア・ニューフロンティア政策の成果として、最先端テクノロジーを活用した感染症対策も次々に打ち出してきました。
 まず、県が国際展開を支援してきた抗インフルエンザ薬「アビガン」の臨床研究の早期開始と人道的使用を国に要望したところ、早期の薬事承認に向けた臨床試験が始まるとともに、人道的使用としての観察研究も行われることになりました。
 また、県衛生研究所が理化学研究所と共同開発した「スマートアンプ法を利用した迅速検出法」は、ウイルス検出時間を大幅に短縮するもので、国から異例の速さで保険適用が認められました。現在、県内の衛生研究所等での活用に向け、各機関に対し働きかけを行っています。
 さらに、LINE公式アカウント「新型コロナ対策パーソナルサポート」を開設し、個人の状態に合わせた情報提供や、適切な相談先などを案内するサービスを開始しました。このシステムは70万人を超える方に登録いただいており、全国知事会を通じて全国の知事に紹介したところ24都道府県が導入するなど、全国に広がりをみせています。
 こうした、ヘルスケア分野で進めてきた先進的な取組の成果を生かし、引き続き新型コロナウイルス対策に貢献していきたいと考えています。
 このように、「神奈川モデル」をはじめとして取り組んできた結果、これまでのところ、県は、十分な病床数、医療提供体制を確保し、医療崩壊を起こさずに乗り切ることができました。
 そのような中、緊急事態宣言の解除がなされました。今後は、新型コロナウイルス感染症による医療崩壊を防ぐために控えていただいていた、急を要しない入院・手術等を徐々に再開していきます。
 それとともに、万が一、再び感染の波が高まってくるような場合には、またコロナへの警戒体制を速やかにとっていきます。これからは、「地域の日常医療」と「コロナ警戒体制」のバランスを取りながら、県民の皆様のいのちをしっかりと守ってまいります。
 緊急事態宣言発令後、県は、「密閉」「密集」「密接」を避けて行動し、人と人との接触機会を8割減らすことを目標に、県民や事業者の皆様に外出の自粛や休業を要請してきました。
 宣言後、最初の週末である4月11日・12日には、湘南地域に多くの人が押し寄せ、海沿いの国道で大渋滞が起きたため、地元市町の要望を受けて海岸付近の県営駐車場を閉鎖するとともに、「今は、神奈川に来ないで」というメッセージを発信し、その後の人出を抑えることができました。
 また、感染拡大防止対策や非対面ビジネスモデルへの転換等に取り組む県内中小企業を支援する様々な補助制度を設けるとともに、休業や時間短縮に協力していただいた事業者に最大30万円の協力金を支出し、負担を軽減することとしました。その後、緊急事態宣言の延長を受け、第2弾として、休業要請等に協力していただいた事業者に限らず、広く自主的に休業した事業者も対象とする10万円の協力金制度を設けるなど、様々な事業者支援を展開してきました。
 そして、宣言解除後の5月27日に、事業者の皆様に対し、それぞれの事業所で適切な感染防止対策を講じていただくことを前提に、業種を問わず、一律に休業要請を解除しました。
 しかし、新型コロナウイルス自体は依然として社会の中に潜んでいます。コロナとの闘いは続きます。感染防止対策をしっかりと行って感染の波を抑えながら、社会経済活動を段階的に引き上げていくことが必要です。
 そこで県は、事業者の感染拡大防止等の取組みを支援する補助制度の活用促進を図るとともに、新たに事業者の感染防止対策を「見える化」する「感染防止対策取組書」の発行を開始しました。これは、業種別のガイドラインに基づいて県が作成したチェックリストにチェックをしていくと、その事業者の取組内容がわかりやすく示された取組書が発行される仕組みです。この取組書を店舗等に掲示してもらうことで、事業者が感染拡大防止策に取り組んでいることを多くの方に伝えることができます。
 加えて、取組書に印刷された二次元バーコードを利用者がスマートフォンで読み取ることで、万一、感染者が発生した場合に注意喚起する「LINEコロナお知らせシステム」も構築しました。
 これらの取組により、対策を進めている事業者を応援するとともに、利用者の皆様により安心・信頼して事業者を選んでいただける、よい流れを作っていきます。
 さらに、県民の皆様には、三つの「密」の回避や身体的距離の確保などの基本的な感染症対策を身につける「新しい生活様式」の実践を引き続きお願いするとともに、社会経済活動と感染拡大防止を両立させるため、再警戒の指標をわかりやすくお示しできるよう、「緊急事態宣言解除後の神奈川ビジョン」を発表しました。
 感染者の拡大傾向を表すK値や、新規陽性患者数などから、感染拡大傾向、医療体制の逼迫度などをモニタリングし、その結果を総合的に判断して、状況の悪化を検知した場合は、「神奈川警戒アラート」を発動し、外出自粛や事業者に警戒を呼び掛けていきます。
 こうしたリスク低減策により感染拡大を防止し、慎重に社会・経済活動を再開させてまいります。
 そして、今回の緊急事態は、私たちの社会に前向きな変化ももたらしたことを見逃してはなりません。
 例えば「働き方」の変化です。感染症拡大防止のため、在宅勤務・テレワークへと大きく舵が切られ、働く者の事情に応じた柔軟な働き方ができる「働き方改革」が一気に進み、今後の労働生産性の向上が期待できます。
 また、これまでのリアルな市場から、サイト等を活用したオンライン市場に積極的に乗り出し、ビジネスの領域を広げている事業者もいます。
 更には、医師や患者が新型コロナウイルスに感染するリスクを減らす取組みの1つとして、電話やインターネットを使って医師が離れた場所にいる患者を診療することができる「オンライン診療」の導入が進んでいます。
 こうした変化を確実なものにする中で、コロナウイルスの存在を前提とした持続可能な社会、「ウィズコロナ時代」の経済社会対策を検討してまいります。
 次に、本県を取り巻く経済環境についてです。
 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にあります。世界的な経済活動の停滞により、企業収益は急速に減少するとともに、政府の緊急事態宣言に伴う移動制限や外出自粛により、消費も落ち込んでいます。
 こうしたことから、今後の経済状況をしっかり注視し、企業収益や消費に関連した税目への影響などについて、的確に見極めていく必要があると考えています。
 次に、津久井やまゆり園の再生についてです。
 津久井やまゆり園は先月から基礎工事に着手し、芹が谷やまゆり園は今月から準備工事に入るなど、県は、令和3年度の開設に向けて、ハード整備を着実に進めています。
 今年3月、県は、かながわ共同会に対し、新たな方向性を提案し、指定管理の選定に関する協議を開始しました。具体的には、津久井やまゆり園利用者支援検証委員会による検証内容をもとに、県のモニタリング結果を整理して、かながわ共同会に伝えました。共同会は、事実確認と原因究明を行うなど、この指摘を真摯に受け止めています。
 やまゆり園の利用者からは、新しい施設での安定した生活を希望する声が上がっています。そこで、この利用者の声を最優先に考えました。津久井やまゆり園と、新たに設置する芹が谷やまゆり園の指定管理者は、利用者の生活が落ち着くまでの間、つまり、新しい施設が完成する令和3年8月から令和4年度末まで、引き続き非公募でかながわ共同会を候補としたいと考えています。
 指定管理者の審査にあたっては、運営の考え方や必要な人材の配置など、指定管理施設の運営に不可欠な事業計画を確認することはもとより、ガバナンスのあり方を含めた再発防止策を、しっかりと確認してまいります。
 こうしたことから、本定例会には、元の津久井やまゆり園の指定期間について、現在の令和6年度末までから、令和3年7月末までに短縮する議案を提出します。
 利用者の皆さんが新しい施設での環境に慣れ、生活が落ち着いた令和5年度からは、公募で指定管理者を選定します。
 利用者目線の新しい障がい福祉を目指し、津久井やまゆり園の再生に向けて、ハード、ソフト両面から、今後とも、全力を注いでまいります。
 それでは、このたび提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案では、5月補正予算編成後の状況の変化を踏まえ、早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。
 まず、東京2020オリンピック競技大会が1年延期されたことに伴い、湘南港の既存艇について、新たな大会日程を踏まえた移動費用の負担等を行います。
 また、豚熱等の侵入リスクに備え、令和2年3月に改正された飼養衛生管理基準に基づいた防疫体制を整えるため、生産者団体が行う機器整備等に対して、補助を行います。
 次に、公共事業の追加についてです。
 まず、令和元年10月の台風19号による被害からの復旧を図るため、令和2年度分として国から事業決定を受けた林道施設の復旧工事等を行います。
 また、土砂災害特別警戒区域等の指定に向けて、災害等による地形改変箇所について、改めて、地形確認や測量等の基礎調査を実施します。
 さらに、建替中の県営住宅横山団地の早期提供を図るため、令和3年度に予定していた工事の一部を前倒して実施します。
 以上が補正予算案の概要ですが、補正予算の総額は、一般会計で14億300余万円、特別会計で5億6,300余万円、合わせて19億6,600余万円となっています。
 また、一般会計の補正予算の財源としましては、国庫支出金や諸収入などを充当しています。
 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の制定2件、条例の改正10件、動産の取得2件、指定管理者の指定の変更2件など、全体で30件のご審議をお願いしています。
 まず、条例の制定ですが、知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例及び地方独立行政法人の役員等の損害賠償責任の一部免除に係る控除額を定める条例の2条例は、知事や職員等の地方公共団体に対する損害賠償責任及び地方独立行政法人の役員等の法人に対する損害賠償責任について、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、その一部を免責するなど、それぞれ所要の定めをするものです。
 次に、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
 神奈川県県税条例の一部を改正する条例は、新型コロナウイルス感染症の影響により、イベントを中止等した主催者に対し、チケットを購入した個人が所得税の寄附金控除の対象となる入場料金等払戻請求権の放棄をした場合に、個人県民税においても寄附金税額控除が適用できるよう規定するなど、所要の改正を行うものです。
 条例については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、9件の改正をお願いしています。
 次に、条例以外の主な案件です。
 まず、指定管理者の指定の変更ですが、先ほど申し上げたとおり、津久井やまゆり園については、新たな施設の開所に合わせて、次の指定期間を、令和3年8月から令和4年度末までとするため、現在の指定期間を令和3年7月末まで短縮することをお願いするものです。
 また、三浦しらとり園についても、現在、県で検討している利用者目線の新しい障がい福祉のあり方を令和5年度以降の指定管理に反映するため、令和2年度末に満了する指定期間を令和5年3月末まで延長することをお願いするものです。
 次に、動産の取得ですが、本県の抗インフルエンザウイルス薬備蓄目標を踏まえ、行政備蓄用抗インフルエンザウイルス薬であるイナビル及びラピアクタを買い入れるものであり、指定管理者の指定は、相模湖交流センターなど11件のご審議をお願いするものです。
 このほか、東京都が管理する道路を神奈川県川崎市の区域に設置することに関する協議など3件を提案しています。
 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症に係る対策として、国の第2次補正予算等を踏まえて改めて講じる補正予算案及び、かながわコロナ医療・福祉等応援基金に係る諸議案については、現在、準備を進めています。今後、本定例会に提案し、ご審議いただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、令和元年度の一般会計の決算見込みにつきましては、現在計数を精査中であり、最終確定には至っていませんが、実質収支では黒字決算が見込まれますことを、併せてご報告申し上げます。
 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
 よろしくご審議のうえ、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa