知事議会提案説明(提案説明 令和元年第3回定例会)〔9月提案〕

掲載日:2019年9月6日

 提案説明に入ります前に、一言申し上げます。

 昨日、横浜市神奈川区の踏切で、京浜急行の列車とトラックが衝突し、1名の方が亡くなり、多くの方が負傷される大事故が発生しました。

 改めて、お亡くなりになった方には、哀悼の意を表するとともに、負傷された方々の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。県では、ご本人のお気持ちに寄り添って必要な支援を行ってまいります。

 今後は、事故の原因を究明し、安全対策をしっかりと講じていただき、このような事故が二度と繰り返されないように願っています。

 それでは、本日、提案しました令和元年度補正予算案ならびにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。

 始めに、SDGsの推進についてです。

 7月16日、国連から招へいを受けて、ニューヨークの国連本部で開催された「SDGsハイレベル政治フォーラム2019」の主要イベント「Local2030」でスピーチをしました。

 スピーチでは、県が昨年、国から「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」の両方に都道府県として唯一選定されたことや、全国をリードするかたちで「SDGs全国フォーラム」を開催したこと、そこで発表した「SDGs日本モデル宣言」は県内33全ての市町村を含む約150の自治体の賛同を得ていることなど、圧倒的なスピード感で様々な取組みを進めてきたことを、世界に向けて発信しました。

 締めくくりに、「みんなで『ミッション、パッション、アクション』でSDGsの実現を目指そう」と訴えると、期せずして参加者から大きな拍手が沸き起こり、本県の取組みに大いに共感いただけたことを実感しました。

 その翌日の、国連開発計画、UNDPのアヒム・シュタイナー総裁との会談でも、総裁から、前日の私のスピーチに対して共感を示していただきました。また、会談の席上、神奈川県から、県が進めるSDGs社会的インパクト評価や未病改善の取組みなどを説明したところ、シュタイナー総裁は、特に秋の「ME-BYOサミット神奈川2019」でモデルを示す予定となっている「未病指標」に強い関心を示されました。

 この会談がきっかけとなり、県とUNDPは、先月の第7回アフリカ開発会議において、SDGsの推進に向けて相互の連携強化を確認するため、連携趣意書、SOIに署名しました。UNDPが地方自治体と署名した文書を取り交わすのは国内初の事です。

 今後も、市町村や国際機関、企業、大学、県民等とのパートナーシップのもと、様々な主体による行動を呼び起こし、SDGsの自分事化を進めるとともに、地域発のSDGsの取組みを神奈川県から国内外に強力に発信していくことで、SDGs最先進県として持続可能な社会の実現をリードしてまいります。

 次に、「いのち輝く神奈川」の実現についてです。

 県は、これまで「いのち輝く神奈川」の実現に向け全力で取り組んできましたが、この「いのち輝く」の理念を海外に向けて発信するにあたっては、英語でどう表現するかが課題でした。これまでは“Life is sparkling”などと訳していましたが、「いのち輝く」のイメージが正しく伝わらないと感じていました。そこで、アルファベットでアイ・エヌ・オー・シー・エイチ・アイと表記し、「Inochi(いのち)」をそのまま使うことにしました。

 そして、7月16日にニューヨークで行われたシンポジウムにおいて、イメージ画を用いながら「いのち輝く」を「Vibrant “Inochi”」として発表しました。

 イメージ画には一本の木を描き、葉っぱの一枚一枚にいのち輝くニュアンスを込めた言葉を並べました。「Well-being」や「Positive Spirit」、「Purpose in Life」、「Healthy Longevity」、「Full of Laughter」、「Good Community and Environment」。そして、木の根元には「Diversity」があり、木の後ろから光がさしているという画です。「Inochi」というのはこのようなニュアンスが同時に込められた日本語で、我々が目指すのは「Vibrant“Inochi”」、いのち輝く社会であるということを訴えてきました。

 今回の訪米中、何度か講演をする機会がありましたが、会場から「これは世界に通じる言葉であり、大変共感、共鳴した」という声をいただき、思いが伝わったことを確信しました。

 また、2025年日本国際博覧会、大阪・関西万博のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」となっています。

 今後は、万博とも連動させながら、超高齢社会を乗り越えるためのキーワードとして「Inochi」の発信を続け、いのちが輝く取組みの輪をさらに広げてまいります。

 次に、未来社会創造につながる取組みについてです。

 コミュニティの再生・活性化に関しては、この夏、地域別首長懇談会において、県内の市町村長の皆様との意見交換を通じて、コミュニティづくりに向けての課題を伺うことができました。

 地域によって、知恵を絞りながらコミュニティの活性化につなげているところがある一方、コミュニティが弱体化し危機的な状況ともいえるところもあります。県民の皆様の笑顔があふれるためには、やはりコミュニティの再生・活性化が重要だと改めて認識しました。

 こうした中、8月に、県と市町村が連携して課題や取組事例などの共有を行う「かながわコミュニティ再生・活性化推進会議」の課題別ワーキングを開催し、「コミュニティに参加しやすい環境づくり」や「地域リーダーの発掘、育成」などについて熱のこもった意見交換を行い、議論を本格的にスタートさせました。

 今後も、この会議を活用するなどして、地域コミュニティや職場、趣味など、様々なコミュニティの再生・活性化に向けて取り組んでまいります。

 また、ドローン前提社会の実現に向けて、市町村や企業、アカデミア等とともに、「かながわドローン前提社会ネットワーク」を立ち上げ、モデル事業とも連携させながら、ドローンの社会実装を促進していきます。

 今後とも、市町村や企業、アカデミアなどと緊密に連携しながら、テクノロジーの追究とヒューマンな触れ合いをクロスさせた未来社会創造につながる取組みを展開してまいります。

 次に、ラグビーワールドカップ2019についてです。

 本当に早いもので、ラグビーワールドカップ2019の開幕まで、あと2週間となりました。

 今月20日から11月2日までの大会期間中、準決勝2試合、決勝戦を含む7試合が神奈川・横浜で行われます。

 4年前、私はイングランド大会の決勝戦を現地で観戦しました。さすが夏季オリンピック、サッカーワールドカップと並び立つ世界三大スポーツイベントといわれるだけあって、街中が興奮のるつぼと化していました。その興奮がいよいよこの神奈川・横浜にやって来ます。

 私自身も、今から身の震えるような感動を覚えるとともに、責任の重さを痛感しています。

 県はこれまで、共同開催都市の横浜市や組織委員会などと連携し、交通輸送、警備など、大会の円滑な運営のための準備に万全を期してきました。また、試合会場とは別に大型モニターを設置して試合の模様を楽しめる「ファンゾーン」の設置など、大会を盛り上げ、より多くの方に体感していただくための準備を進めてきました。

 さらに、世界中から観戦のために神奈川に来られた皆様には是非とも県内観光を楽しんでいただこうと、県内の多様な観光資源を発掘し磨き上げ、このほど、目標としていた1,000通りのツアーを達成しました。そして、来日前のPRとして、海外でのプロモーションや観光関連メディアへの出稿、国際線航空機内での映像放映などを実施しています。また、来日してからは、ポスターやチラシ、SNS等の様々なツールを活用して、ツアーの活用を促進していきます。

 今後は、残された時間の中で、ラグビーワールドカップの円滑な運営と大会の成功に向けしっかりと準備を整えるとともに、国内外の皆様に、神奈川の魅力に触れ、神奈川のファンになっていただき、来年に迫った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功にもつなげられるよう、全力で取り組んでまいります。

 次に、ベトナムとの交流についてです。

 県はベトナムとの相互理解を深め、両地域の継続的な成長と発展を目指し、本日から「ベトナムフェスタ in 神奈川2019」を開催します。

 5回目となる今回は、「見つけよう! 新しいベトナム」をテーマに、神奈川とベトナムの交流を更に進展させるとともに、両地域の新たな魅力を発見いただける場として展開します。

 また、11月には、ベトナム・ハノイ市で、2回目となる「KANAGAWA FESTIVAL in HANOI 2019」を開催します。昨年度の成功を踏まえ、ベトナム大使館やハノイ市から継続開催を期待する声が寄せられたことにも応えて、今年も開催します。

 ベトナムフェスタやKANAGAWA FESTIVAL in HANOIに代表される、ベトナムとの様々な交流の取組みにより、これまで築き上げてきたベトナム政府や財界との信頼関係が一段と深まり、数多くのベトナム企業が県内に進出するなどの成果が表れています。

 今後も、両地域でのイベントの開催などを通して、本県とベトナムとの交流を更に大きく発展させ、絆をより一層強固なものにしてまいります。

 さて、ここで、本県の財政状況について、ご報告申し上げます。

 まず、本年度の見通しですが、歳入面では、米中貿易摩擦に伴う企業収益の悪化などにより、現時点で県税収入が300億円規模の減収となる見込みであり、今後の税収動向を注視していく必要があります。

 また、歳出面でも、年度後半の追加財政需要に対応する必要があることから、引き続き慎重な財政運営を行っていかなければなりません。

 次に、令和2年度の財政見通しです。

 県税収入については、地方消費税は税率引上げの影響の本格化により増収となるものの、世界経済の先行きの不透明感から企業収益の回復が見込めず、税交付金等を含めた実質ベースでは減収が見込まれます。

 こうした実質ベースでの県税収入の減に伴い、地方交付税及び臨時財政対策債は増額となる見通しです。一方で、近年の予算編成は、前年度の税収増を活用することにより財源不足を補ってきましたが、現在の税収動向を踏まえると、こうした臨時的な財源は見込めないことから、歳入全体としては大幅な減額となる見通しです。

 また、歳出面では、急速な高齢化や幼児教育・保育の無償化などにより、介護・医療・児童関係費が増額となる見込みです。

 以上のことから、令和2年度は、現段階で概ね700億円の財源不足が見込まれています。これまでのような税収増が見込めない中にあって、前年度より更に財源不足額が拡大しており、本県財政は、例年以上に厳しい状況にあります。

 このような厳しい財政状況の下にあっても、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けて、「かながわグランドデザイン第3期実施計画」に掲げるプロジェクトを着実に推進するとともに、県政が直面する諸課題に対しては、的確に、かつ、スピード感を持って対応し、その成果を確実に県民の皆様にお届けする必要があります。

 そのためには、あらゆる施策・事業についてスクラップ・アンド・ビルドを徹底するとともに、「証拠に基づく政策立案」、いわゆるEBPMの考え方に基づき、成果を重視した予算編成を行う必要があると考えています。

 それでは、この度提案いたしました補正予算案につきまして、ご説明申し上げます。

 今回の9月補正予算案では、6月補正予算編成後の状況の変化により、政策課題に早急に対応する必要があるものについて措置することとしました。

 まず、新たな企業誘致施策についてです。

 当初予算において、現行の「セレクト神奈川100」の事業期間を1年間延長しましたが、同施策を実施する上で明らかになった様々な課題に早期に対応するため、現行制度の終期を待たずに、それらの課題への改善策を盛り込んだ、新たな企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」をスタートします。

 具体的には、県内企業の再投資や中小企業の立地に対する支援を拡充・強化するとともに、企業立地における地域の偏りを解消するため、特定の地域に限定して支援対象産業の拡充を行うなど、より実効性の高い制度とすることにより、4年間で200件の企業誘致を目指してまいります。これに伴い、企業立地促進補助金について、170億円の債務負担行為を設定します。

 次に、誰もが支え合い、受け入れ合う持続可能な共生社会の実現に向けて、交通不便地域において移動手段に困っている方々を、地域住民、市、NPO等が互いに協力して支える外出支援モデル事業について、県としても、スタートアップを後押しします。

 また、業務の効率化により、県庁の働き方改革を推進するため、通勤手当の認定など、定型的な業務をソフトウェア・ロボットにより自動化する「ロボティック・プロセス・オートメーション」いわゆるRPAを今年度中に導入します。

 このほか、中小企業高度化資金貸付金の繰上償還があったことに伴い、独立行政法人中小企業基盤整備機構からの借入金の償還等を行います。

 以上が補正予算案の概要ですが、補正予算の総額は、一般会計で3,200余万円、特別会計で1億9,500余万円、合わせて2億2,700余万円となっています。

 また、一般会計の補正予算の財源としましては、繰入金及び繰越金を充当しています。

 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の制定1件、条例の改正11件、工事請負契約の締結3件など、全体で19件のご審議をお願いしています。

 まず、条例の制定ですが、神奈川県流域下水道事業の設置等に関する条例は、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を目的に、神奈川県流域下水道事業に地方公営企業法の財務規定等を適用するため、所要の定めをするものです。

 次に、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。

 まず、企業の立地の促進に係る不動産取得税の税率の特例に関する条例の一部を改正する条例は、先ほどご説明しました新たな企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」の一環として、不動産取得税を軽減するため、所要の改正を行うものです。

 神奈川県青少年保護育成条例の一部を改正する条例は、いわゆる「自画撮り被害」を未然に防止するため、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めることを禁止するなど、所要の改正を行うものです。

 神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例の一部を改正する条例は、健康増進法の一部改正に伴い、法による規制が上回ることとなった規定を削除するなど、所要の改正を行うものです。

 条例については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、8件の改正をお願いしています。

 次に、条例以外の主な案件ですが、工事請負契約の締結は、平塚農業高校商業教育棟新築工事請負契約など3件を、工事請負契約の変更は、分庁舎新築工事の請負金額の変更3件をお願いするものです。

 このほか、平成30年度神奈川県公営企業決算の認定につきましては、監査委員の審査が終了しましたので、ご審議をお願いするものです。

 以上をもちまして、私の説明を終わります。

 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。

 よろしくご審議のうえ、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa